北朝鮮国営の朝鮮中央通信は先月2日、このような記事を配信している。

「人民経済の部門別・職種別技能工競技大会―2022」左官競技が始まる

【平壌7月2日発朝鮮中央通信】「人民経済の部門別・職種別技能工競技大会―2022」左官競技が1日、和盛地区1万世帯分の住宅建設現場で始まった。
今回の競技は、技能工の技術・技能水準をいっそう高め、建設物の速度と質を党が求める水準で保障することに目的を置いている。

全国の各単位で選抜された優れた左官が参加した競技は、個別的に作業対象を選定して壁塗り作業の量と質を評価して順位を決める方法で行われる。

競技は、10日まで。−−−

その結果、「参加者は、競技期間に建設工法の要求を厳格に守りながら、1600余平方メートルの天井塗りと6000余平方メートルの壁塗りを遜色なく行った」と、先月12日の同通信は報じているが、現場では工事のやり直しをする状況となっている。あまりにも仕上がりが悪いからだ。平壌のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

競技終了後、現場の指揮部からは、建設現場の総合指揮部に意見と信訴(告発)が相次いだ。競技で1〜3等を受賞した現場を除き、他の現場の仕上がりはひどいもので、壁はでこぼこだったという。

結局、軍と民間から人員が投入され、でこぼこになったモルタルを剥がし、塗り直す作業が行われたのだが、20日間にわたり1日18時間もの突貫工事を行うこととなった。

全国から選ばられた左官工が腕を競い合うための今回の競技だが、問題は、計画よりも早く工事を進めることが良いとする「速度戦」だ。スピードを重視するがあまり、質が度外視される。その結果として、手抜き工事の建物が量産されるなど、非常に弊害が大きいのだが、長年行われてきたことから、そこから抜け出すことができないのだ。

その尻拭いに動員された人々からは「こんな競技はもう辞めて欲しい」「競技でスピードを上げれば、やり直しが避けられない、もっとゆっくりやる方がきれいで、質も保てる」などの声が上がっているが、現場指揮部の中には、やり直し工事を適当に済ませて、上部に「競技のおかげで工事が早く進んだ」と虚偽報告をするところすらあるという。

一方、良心的な現場指揮部からは「建設の質を変えるには、建設指揮官の思想と態度を改めなければならない」との指摘が上がっているが、あまりにも根深い速度戦信仰を変えるのは非常に困難なことだろう。