「黄海北道の青年たち、人民経済の主要戦区(重要部門)に嘆願」
「平安北道の高級中学校卒業生たち、重要戦区に嘆願」
「慈江道の青年たち、困難で骨の折れる部門に嘆願進出」

北朝鮮国営の朝鮮中央通信は、このように、都市部の若者たちが数十人から数百人単位で、誰も行きたがらないような農村、炭鉱など3K労働の場に「嘆願して」向かったという記事をしばしば配信している。

もちろん「嘆願」は全くのウソで、実際は地域ごとに人員のノルマが課され、半強制的に送り出されるのだ。相対的に豊かな都市部とは異なり、ビジネスチャンスが少なくインフラも未整備で、一生貧困から抜け出せないような「陸の孤島」に行くことを自ら望む者など、まずいないだろう。

コネやワイロを使ったり、様々な事情を並び立てて、なんとか対象から外してもらおうとするものだが、それが大失敗に終わる事例もある。デイリーNKの内部情報筋が伝えた。

江原道(カンウォンド)の青年同盟(社会主義青年同盟)は、嘆願事業を進めていたのだが、「健康上の問題がある」「個人的事情がある」などの理由で、嘆願を避けようとする現象が起きていることを問題視、朝鮮労働党江原道委員会(道党)に、こんな提案をした。

「嘆願を拒否する者は、家族もろとも奥地に追放する」

道党は、「国が苦しくつらい時期に、党の愛と温情に忠誠の玉の汗で応えることは考えず、自らの享楽ばかりを追及し、党の方針と指示を拒否するのは利敵行為」だとし、この提案を受け入れることとした。

まずは、嘆願を拒否した若者を公開批判舞台に上げて思想闘争会議で徹底的に「吊し上げ」にすることを指示し、元山(ウォンサン)市青年同盟会館で先月中旬、800人の若者が集められ、思想闘争会議が行われた。

嘆願を拒否した若者たちは批判にさらされたが、その親も呼びつけられ、「躾がなっておらず、党に心配をかけた」との反省文と、「農村に行って誠実に働く」という決議文を書かされた。

かくして、複数の若者とその家族は、黄海南道(ファンヘナムド)と黄海北道(ファンヘブクト)の山奥の村に追放された。彼らは、追放先で家を与えられたものの、屋根は抜け落ち、床はむき出しで、唖然としたとのことだ。

この地域は、インフラ全般が著しく立ち遅れた地域として知られている。

見せしめとして追放された彼らだが、情報筋は「今は都会でも生きていくのが大変なのに、農村に自ら望んでいく人がどこにいるのか」として、当局が若者を強制的に3K労働の場に送り込んでいる実態を明らかにした。

さらには行った先で問題を若者らが起こしたり、すきあらば逃げ出そうとしたりするなど、定着させるのは難しく、人をいくら送り込んでも、ザルで水をすくおうとするのと変わりない。