朝鮮語で「ケグリバプ」と呼ばれる植物がある。直訳すれば「カエル飯」となるが、日本語で浮草のことを指す。カエルの餌くらいの意味合いと考えればいいだろう。ただし、カエルは肉食であるため、浮草を食べることはない。そんな「カエルも食べない草」を、北朝鮮の庶民は食べているとの衝撃的な情報が伝わってきた。

北朝鮮は「農業第一主義」を掲げているが、コロナ鎖国による肥料不足や、度重なる自然災害により収穫が減少。穀倉地帯ですら、食べ物が底をつく「絶糧世帯」が続出する事態となっており、人々は浮草で糊口を凌ぐ事態となっているのだ。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

平安北道(ピョンアンブクト)の情報筋は、最近になって、川や池で浮草や、北朝鮮で独自開発した動物用の飼料である「愛国草」を取る人が人が多いと伝えた。なお、この愛国草がどのような植物であるかは不明だが、国営の朝鮮中央通信は「粗蛋白質の含量が多く、各種の微量要素が十分に入っているので牛、ヤギ、羊、ウサギ、ガチョウ、豚のような家畜によい飼料になる」と報じている。

深刻な食糧不足に直面した人々が、このような草を食べて、飢えを凌いでいるのだ。

当局は、1990年代後半の大飢饉「苦難の行軍」のころ、浮草と愛国草を育てるよう指示を下した。水さえあればどこでも育つ、ビタミンの多く含まれた飼料という触れ込みだったが、これを人が食べているというのだ。

情報筋にによると、浮草と愛国草が食べられるようになったのは今年の夏からで、トウモロコシの粉に混ぜて粥にして食べるとのことだ。以前は、山に入って山菜を取り、粥にして食べていたが、山林保護のために入山が制限され、食べられる山菜が取り尽くされたことから、これらの草を食べるようになったのだ。

現金のない人は、これらの草を取って乾燥させたもの2キロを、1キロのトウモロコシ粉と交換しているとのことだ。

首都・平壌郊外の穀倉地帯、平安南道(ピョンアンナムド)の情報筋は、農民の間でこれらの草を食べる人が増えているという。以前は、農場の収穫物を少しずつ盗んでいたが、今では朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の兵士が、自分たち用の穀物(軍糧米)を農民に盗まれまいと24時間体制で警備に当たっているため、それすらままならない状況となった。それで、草を食べるようになったという。

農民も気の毒だが、食糧調達を協同農場の収穫に頼っている軍も、危機的な食糧難にある点で苦境は同じだ。

なお、これらの草を食べることによって、赤痢などの伝染病が広がっているとも言われる。情報筋は「苦難の行軍のころより今の方がひどい」と嘆いた。