最近、相次ぎ弾道ミサイルを発射した北朝鮮。しかしその国内では、庶民が怒りに震えているという。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK情報筋によると、中国との国境に接する道内の会寧(フェリョン)市では、中国キャリアの携帯電話などで外部と連絡を取り合う住民を通じ、弾道ミサイルが立て続けに発射されたとの情報が急速に広まっているという。

北朝鮮は4日朝、5年ぶりに日本を飛び越える弾道ミサイルを発射した。ミサイルは青森県上空を通過し、太平洋上に落下。日本政府が一部地域の住民に避難を呼びかける事態となった。

北朝鮮は今月1日朝にも、弾道ミサイル2発を朝鮮半島東の海上へ向け発射した。それまでの1週間で4回目の発射であり、前例のない頻度だ。

北朝鮮当局は発射の情報をメディアで公開しておらず、国民にも知らせていない。しかし、海外で大々的に報道されれば、その情報が国内に流入するのは時間の問題なのだ。

なお、以下に伝える内容は、韓国デイリーNK編集部が9月30日までに取材したものであることをあらかじめ断っておく。

情報筋は「庶民たちは食糧難を克服するため辛い日々を送っているのに(国は)いつもミサイルを撃って虚空におカネをばらまいている。それで人民の生活がよくなるわけでもなく、住民たちに『自力更生』を強要するだけの権力のやり方に皆が怒っている」と話した。

特に一部の住民は「ミサイル発射にかかる莫大な費用を食糧難の解決に使うべき」だと主張しているという。

また、「当局が発射の情報を国民に知らせないのも、食糧難のさ中でその事実が知られれば、1990年代の『苦難の行軍』のときのように、社会不安がさらに深まると懸念しているからだ」との見方が語られているという。

情報筋も「最近も病気になったり飢えたりして苦しんでいる住民が多いのに、人民生活は気にかけずミサイルを撃ちまくっている。そのためのカネはあっても住民に食糧を供給するカネはないかのかと、問わないわけにはいかない」と話す。

金正恩総書記の執権以降、北朝鮮は人民の生命と安全を守るために国防力の強化にさらに拍車をかけなければならないとして、核兵器の開発を続けてきた。しかし庶民は、そんなことは言い訳に過ぎず、体制維持に汲々とする当局のやり方に怒っていると消息筋は指摘した。

そして「ミサイルを撃つことで、食べていく問題が解決されるのなら人々は拍手を送るだろうが、現実は何も解決されない。そのうえ、『情勢が緊張している』と言って住民統制を強化しているのだから、ミサイル発射に誰が拍手を送るものか」と強調した。