先日行われた新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)の試射を視察した金正恩総書記に、李雪主(リ・ソルチュ)夫人と10歳前後と見られる娘が同行した。

国営朝鮮中央通信の記事は、名前や年齢などに一切言及していないが、明確に「子」(日本語版記事)と紹介し、金正恩氏の実子であることが明らかにされた。

海外はもちろん、北朝鮮国内の人々も初めて知った金正恩氏の娘。北朝鮮国内の反応を知るために、デイリーNKは首都・平壌の高位幹部と、両江道(リャンガンド)の住民とのインタビューを行った。

ーメディアを通じて金正恩氏の娘が初めて公開されたが、その理由をどう見るか

平壌の高位幹部のAさん(以下A):委員長同志(金正恩氏)も愛する娘を育てる家庭の父であることを見せたかったのだとと思う。また、子どもの頭上に立ち込める戦雲を取り去り、戦争のない平和な未来を開くという意思表示でもあったと思う。言い換えると、ご息女のメディアデビューは、後の世代のために全身全力で取り組む人民のオボイ(親)としての親の歩みで、人民を鼓舞するのが目的だ。

両江道の住民Bさん(以下B):元帥様(金正恩氏)の娘愛を見せつけて、一家の父親で家長であるということを見せたかったのだろう。それで人間味のある親しい姿を人民に宣伝しようというものではないか。

ー地元の反応は?

A:親しい家庭の父として元帥様を慕う人もいて、そうでない人もいる。元帥様とご息女が(ミサイル)発射場に共にいった事実が公表された翌日に、朝鮮労働党中央委員会と国家保衛部(秘密警察)からデマや根拠のない噂を遮断せよとの布置(布告)が下された。ご息女が出て次の日に組織から布置が下されたので、公開の場で話す人はほとんどいない。引っ越してきた隣人について噂するように、ひそひそ話をする程度だ。

B:幼い娘を他ならぬ核ミサイル実験場に連れて行ったことに首を傾げる人が多い。ご息女を公開するのは今回が初めてなので、驚いている人も多い。ほとんどの人は、元帥様の娘を見て「両親に似てかわいい、母親に似て福々しい」などと肯定的に話している。一部には、人民、子どもの幸せを守るために国防力強化の必要性を認識させようというものではないかと見る人もいた。

ー娘の初印象は?

A:背が父親と変わらず、「小さい頃からよく食べてよく育った」「元帥様の家庭だから何ひとつ不足ないだろう」と思った。両親によく似ており、特に母親によく似ている。

B:両親にそっくりという人が多い。中には、何ひとつ羨むことなくいい暮らしをしているから、あの歳にしては背が高く落ち着いて見えるという人もいる。

ーなぜ息子ではなく娘を連れてきたと思うか?金正恩氏に息子がいるということは知っているか?

A:息子がいることは知っている。具体的には知らなくても息子がいるだろうということは考えている。息子がいなければ女史(李雪主氏)が軍事パレードのときに壇上に上がれないだろうからだ。わが国(北朝鮮)は文化的に、跡継ぎ息子を産めない女性は「朝鮮の母」になる資格がないと考える。朝鮮の母として優遇されているのだから、当然人々は息子がいるのだろうと思う。息子は後継者なので存在を隠して、20歳以上になってから世の中に姿を表すだろう。10代の少年のときに公開する必要はない。

娘は未来の人民の指導者ではないから、連れて出てもいいと考えたようだ。さらに、海外で既に知られているので、海外に留学に行かせられないので公開したと思う。娘は後継者ではなく、元帥様の叔母(金敬姫<キム・ギョンヒ>氏)のように、首領(金正恩氏)を補佐して、党に忠実な戦士となる人だろうと評価するのが今の空気だ。

B:息子がいるという噂が立ったが、何歳なのか、何番目の子どもなのかはわからない。息子が末っ子ならば、連れて出てこれなかっただろう。一番上の子だったら、他の国に留学に送り出して(北朝鮮に)いなかったかもしれないので、娘を連れてきたのではないかという噂が立っている。ただし、息子ではなく娘だったので、後継者ではないだろうと考えている。次には息子を公開するのではないかという人もいる。

ー金正恩氏の娘と関連した教育、宣伝はあったか

A:ご息女に関する党、政府、軍の責任幹部対象の学習班の講演が2回あった。主に「元帥様も愛するご息女と共に休日には休みたい家庭の父だ。しかし数千数万のこの国の家庭の幸せと次世代の明日のために昼夜を分かたず苦労されている。その道に元帥様の家庭もともにある。偉人中の偉人の家庭ということが示された感銘深い歴史的な絵だった。全国の感動のるつぼにした瞬間だった」という内容だった。

B:今のところ、これといったものはない。