北朝鮮国営の朝鮮中央通信は27日、金正恩総書記が新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星砲―17(火星17)」発射実験の功労者と記念写真を撮ったと伝えた。

この場には、19日に初めて紹介された娘も一緒に登場した。

ICBM開発の労を称える場であるはずが、同通信が公開した写真を見る限り、むしろ娘の方が主人公のようだ。

金正恩氏がこのタイミングで娘の存在を明らかにした意図については様々な分析があるが、公開された写真からは、金正恩氏が彼女を溺愛している印象を受ける。

金正恩氏自身が育った環境は複雑だ。

母親の高容姫(コ・ヨンヒ)氏は在日朝鮮人の帰国者出身で、北朝鮮に親戚の類はほとんどいないと見られる。公務で多忙な母に代わり、幼少期の金正恩氏兄妹の面倒を見ていたとされる叔母の高英淑(コ・ヨンスク)氏も、2001年に米国に亡命してしまった。

また、高容姫氏は最後まで金正恩氏の父・金正日総書記の正式な妻となっておらず、正恩氏ら兄妹は祖父の金日成主席と会ったことがないとも言われる。

その一方、金正日氏の女性関係は荒れまくっており、そのことを高容姫氏も知らないはずがなかった。何しろ、金正日氏が不倫相手である有名女優を口封じで処刑してしまったことは、海外にまで知られているのだから。

そのような過去のせいか、金正恩氏の行動には、亡き父親を敬慕していると思わせる部分がほとんど見られない。たとえば金正日氏は、1994年に金日成氏が死んだ後、「遺訓統治」を強調した。「建国の父」である金日成氏のカリスマを、自らの統治に利用したのだ。それと比べ、金正恩氏は遺訓を強調したことがごく少なく、最近ではほとんど言及がない。

金正恩氏とは対照的に、金正日氏は生前、自分の家族の存在を最晩年まで公にしようとしなかった。その理由は、後継者問題でなかなか判断がつかなかった部分もあろうが、そもそも家庭の状況が、国民や国際社会にお披露目できるようなものではなかったのかもしれない。

金正恩氏が娘の存在を公にした本当の理由はまだわからないが、「自分は父親とは違う」ということのアピールにはなっているのは確かだ。