最近、中国遼寧省の瀋陽とその周辺で、北朝鮮レストランの数が増えていると米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えている。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて営業が困難になっていた既存のレストランがそれぞれ、いくつかの小規模な店舗に分かれて開業したのだという。

現地在住の中国朝鮮族の消息筋はRFAに対し、瀋陽には以前、20店余りの北朝鮮レストランがあったが、最近ではその数が40余りに増えたと説明している。

この消息筋によると、「もともと、規模の大きい北朝鮮レストランは本国から派遣された管理者によって独自に運営されたが、営業が難しくなると、中国企業に運営権を譲渡する方法で活路を模索した」のだという。

北朝鮮が海外で、現地資本との合弁によりレストランを運営する例は以前から見られた。たしかし本国から近く、また貿易会社など営利企業のほか、特殊機関のフロント企業も多数進出している瀋陽では、独自資本で運営されるレストランが多かったのかもしれない。

消息筋はまた、「中国資本が経営する北朝鮮レストランのウェイトレスたちは毎月、中国人民元で5千元(約700米ドル)の給料を支給されている。そのうち4千元は当局に上納され、1千元(約140米ドル)はウェイトレスに賃金として支払われている」と説明した。

毎日、客の前で歌や踊りを披露するため、閉店後も深夜まで練習を続けるウェイトレスたちの仕事は激務だ。しかし、食生活などの心配がなく、毎月140ドルを蓄えられるというのは、北朝鮮のほかの海外派遣労働者と比べ相当に恵まれている。

だが、問題がないわけではない。

2021年にはあるレストランで、中国人経営者がウェイトレスたちを殴打する事件が発生したという。

ウェイトレスらの多くは、平壌はじめ大都市の商業大学の出身で、中には金正恩総書記の妻・李雪主(リ・ソルチュ)夫人も出た名門校、金星学院などの卒業生もいる。北朝鮮では「お嬢様」とも言える女性も少なくないのだ。

従業員に対する殴打はそれ自体が重大な犯罪だが、彼女らのショックはさずや大きかったはずだ。

また前出の消息筋は「中国ではゼロコロナ政策の余波で、まだまだ飲食店の営業はうまくいっていない。こんなときに、北朝鮮レストランの新たな開店が続いていることが理解できない」としながら、「北朝鮮の外貨事情は、われわれの想像以上に逼迫しているのかもしれない」と述べている。

そのような状況下、金正恩政権はミサイル乱射で貴重な外貨を蕩尽しているわけだが、そのしわ寄せは、客を呼び込もうと必死の営業を続けるウェイトレスたちにも向かうのだ。