北朝鮮は今年も、異常気象に悩まされ続ける一年になりそうだ。

昨年の北朝鮮は、春に深刻な少雨に、夏には猛暑や大雨に悩まされた。それにより、農業が深刻なダメージを受けた。

当局は、農業機械に加えてその燃料、ほかの様々な営農資材を供給し、今年こそはと意気込んでいるが、見通しは明るくない。すでに異常高温と、その後にやってきた異常低温に苦しめられているからだ。

平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋によると、道内でも山間地にあたる价川(ケチョン)、陽徳(ヤンドク)、北倉(プクチャン)を中心に、異常気象による果樹栽培の被害が深刻だ。

中でも北倉が最も深刻で、价川でもほぼすべての農場の果樹作業班が被害を受けたとの報告がある。

3月の異常高温で開花時期が例年に比べて早まったのに、4月には異常低温が到来した。韓国気象庁の気象資料開放ポータルによると、陽徳では4月初旬には最高気温が25度に達したが、その後には最高気温が10度、最低気温は氷点下まで下がった。

このように異常高温と低温が交互にやってくる気温の乱高下に耐えきれず、実がならずに落下してしまう花も多く、生き残った実も品質に難が生じる。中でもリンゴの被害が最も深刻で、モモやアプリコットもかなりの被害を受けている。

また、朝鮮労働党の指示で野菜、ジャガイモ、トウモロコシも急いで種まきをしたことで、異常低温の被害を受けてしまった。果樹より、人々の生活にとってより重要な野菜や穀物の収穫量が減ることが予想されている。

まもなく到来する梅雨では極端な大雨が降ることが予想されている。東シナ海の海水温が高く、それが黄海に流れ込むことで低気圧が発生し続ける「線状降水帯」ができ、韓国のソウル首都圏、北朝鮮の黄海道(ファンヘド)、平安道(ピョンアンド)に何日も続く集中豪雨を降らせる。

防災インフラの整っている韓国でも大きな被害が発生するが、それが不足している北朝鮮では、さらなる被害が予想される。ゼロコロナ政策による深刻な食糧不足が未だに解決できていない状況だが、もし今年も異常気象が続けば、北朝鮮の人々は、さらに飢えに耐え忍ぶことになる。