4月末と5月初めに、財務省・日銀が行ったとされる2度の為替介入。その司令塔である神田眞人財務官は、SNS上で「神田暴威(ぼうい)」とも呼ばれている。個人投資家として知られている「岐阜暴威(ぎふぼうい)」氏(39)の名前をもじったものだ。

「8兆円ともいわれる介入資金を差配する神田財務官と、資金が数千万円程度の岐阜氏とでは比べるべくもありません。が、資金を投じる際の思い切りの良さが似ていることから、そう呼ばれるのでしょう」(投資ライター)

“逆神”のあだ名

 もっとも、2年前に神田氏が為替介入を指示した際は、国庫に約4兆円の利益をもたらしたが、岐阜氏はもっぱら損することが多い。

「彼は日本株から米国株、商品取引、FXなど幅広く投資しているのですが、買いを入れると相場が下がり、売ると逆に上がってしまう。そのことから逆をやれば儲かるとうわさが広まり、個人投資家から“逆神”というあだ名もつけられるようになったのです」(同)

 損していても、投資家と呼んでいいのか分からないが、岐阜氏の「X」(旧ツイッター)には、なぜか14万人以上のフォロワーがいる。儲かっても損しても明け透けに報告するせいか、ファンが多いのだ。

「負けが続き、身動きが取れなかった」

 ところで今回の大規模介入で、岐阜氏はどう立ち回ったのだろうか。神田暴威(財務官)は4月29日と5月2日にドル売りを指示したとみられ、円は6円近く急騰している。儲かるにせよ損するにせよ、個人投資家としては見逃せないタイミングだ。だが、

「今回はただ見ているだけでした」

 と岐阜氏。大相場を前にしておとなしかったのはなぜか。

「今年は負けが続いており、介入が入った時は身動きが取れなかったのです。具体的に説明すると、1〜2月は米国株と日経平均先物の空売りで570万円のマイナス、3月には原油先物を同じく空売りして300万円の損失を出してしまいました。さらに同月、日経先物を買ったら今度は下落し、またもや100万円のマイナス。その他に何やかんやで150万円負けています」

 そんなわけで、これまでに投じたトータル4500万円のうち、損失は2700万円に上るという。

 逆神は健在だった。

「週刊新潮」2024年5月16日号 掲載