コンビニに敗北?

 J-CASTニュースは6月24日、「ミスタードーナツ閉店相次ぐ 4年間で国内200店減、ツイッターに『目撃情報』」の記事を配信した。

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 記事では、2017年には全国で1160店舗が稼働していたが、21年3月には961店舗に減少したことを紹介。同社に取材を申し込み、以下のような回答があったとした。

◆少子高齢化や生活スタイルが多様化したにもかかわらず、従来通りの商品展開、店作りを踏襲してきたため、新しいニーズの対応に遅れてしまった。

◆駅ナカの店舗やテイクアウト専門の店舗、出前館によるデリバリー、ネットオーダーの展開など、より利用しやすい店舗展開に注力する。

◆海外では店舗数が伸びている。台湾、タイ、フィリピン、インドネシアなどで展開しており、2017年には4190店舗だったが、21年3月には7892店舗に増加している。

 ミスタードーナツはダスキンが運営しており、6月24日に株主通信「ナビダス No.28 2021 夏号」を配信した。

 ミスタードーナツを中心とする《フードグループ》の売上は、2020年3月期が362億6300万円だったのに対し、21年3月期は365億6100万円と微増を記録したという。

 同誌の《POINT》を要約してご紹介しよう。

オーナーの高齢化

◆新型コロナウイルスにより、一時的な休店や営業時間の短縮、ソーシャルディスタンス確保のため席数を減少させたことの影響は大きく、客数とイートイン売上が減少した。

◆コロナ禍でテイクアウトの売上は増加した。特に菅田将暉(28)のスペシャルテイクアウトボックスは売上増加に寄与した。

◆「ピエール マルコリーニ コレクション」や「ポケットモンスター」とのコラボ商品は好評だった。

 フードサービス・ジャーナリストの千葉哲幸氏は「少なくとも日本国内では、なかなか明るい展望を描けないというのが実情だと思います」と指摘する。

「店舗数の減少は、後継者不足の影響も大きいでしょう。ミスタードーナツは1971年に日本で初めて店舗をオープンさせました。それから50年が経過し、かつての人気を支えたフランチャイズ店のオーナーが高齢化してしまったのです。後継者が見つからずに閉店することになった店舗はかなりの数に上るはずです」

 だが、日本マクドナルドも同じ1971年に初店舗をオープンさせている。コロナ禍でも快進撃を続けているのはご存知の通りだ。ミスタードーナツとの差は大きい。

「主食」と「スイーツ」の差

「70年代は、アメリカ文化を消費者が熱烈に支持していた時代です。マクドナルドとミスタードーナツの日本進出は、その象徴と言えます。それから半世紀が経つと、マクドナルドのハンバーガーは日本人にとって“主食”の1つとして認識されるようになりました。ところがミスドの場合は、あくまでも基本は“スイーツ”の専門店でしかありません」(同・千葉氏)

 お腹が空いたら、消費者は“主食”を食べる。だが、スイーツは様々な理由から我慢することができる。これが最も大きな違いだという。

「健康ブームの影響で、ドーナツは身体に良くないというイメージが浸透してしまいました。おまけにコンビニスイーツという強力なライバルが出現しました。ミスタードーナツは、中華麺や炒飯、パスタといった商品を充実させていますが、やはり一般的にはドーナツの専門店だと思われています。消費者は『甘いものは太る』とミスドに行くことをためらっても、コンビニには行きますし、その際にスイーツをついで買いしてしまうのです」(同・千葉氏)

 かつて会社員は昼食を終えると、ミスタードーナツを訪れてコーヒーとドーナツを食べていた。だが、今ではコンビニに行き、コーヒーとスイーツをテイクアウト、オフィスに戻って楽しむというわけだ。

日米のドーナツ不振!?

「ティラミスが80年代末にブームになると、コンビニ各社が商品化して評判になりました。続けて90年代初頭はパンナコッタもヒットさせ、『コンビニはスイーツも美味しい』と消費者に認識させたのです。それから30年近くが経ち、コンビニには高レベルで多様なスイーツが並んでいます。ミスタードーナツは基本的にドーナツだけですから、商品の多様性という点でも遅れているといえるでしょう」(同・千葉氏)

 アメリカでは1990年、食品大手企業アライド・リヨンズがミスタードーナツを買収。同社が所有するダンキンドーナツに転換された。今のアメリカでミスタードーナツのまま経営を続けているのは、イリノイ州の1店舗だけだという。

 実のところアメリカでも、ドーナツは消費者の支持を得ていない。ダンキンドーナツの英語版公式サイトを閲覧すると、商品紹介はドリンクがトップで、次に表示されているのはサンドイッチだ。ドーナツはベーグルの次、7番目という位置づけになっている。

「ミスドもパスタや中華麺に力を注いでいます。商品ラインナップを主食化し、脱ドーナツを目指しているわけです。その影響で、消費者は統一のなさを感じていると思います。サイゼリアはファミレスですが、イタリア料理以外はありません。少なくとも日本の消費者は、こうした統一感を好みます。率直に言って、ミスタードーナツを取り巻く環境は八方塞がりだと指摘できると思います」(同・千葉氏)

デイリー新潮取材班

2021年7月11日 掲載