〈国産若鶏もも肉 税込113・40円〉。中堅スーパー「OKストア(オーケー株式会社)」のチラシに載っている商品は値段の末尾が銭単位である。安売りにこだわる同社の気概を窺わせるが、関西スーパーマーケット(以下、関西スーパー)を買うために示した値段は670億円だ。

 その関西スーパーが阪急阪神百貨店などを傘下に置く「H2Oリテイリング」との経営統合を発表したのが8月31日のこと。これに反対するOKストアは9月3日、関西スーパーにTOB(株式公開買い付け)を行う考えを明らかにした。

 証券会社の流通担当アナリストが言う。

「OKストアは関東を中心に店舗網を持ち、売り上げは約5千億円です。早くから関西進出に意欲を見せており、足掛かりとして、2016年、関西スーパーの株を大量取得しました。これを警戒した関西スーパーは、すぐにH2Oリテイリングとの資本業務提携を発表、今回の経営統合に発展したわけです。一方、7・69%の株を握るOKストアも今年に入ってから熱心に買収を持ち掛けていました」

 関西スーパーの関係者によると、6月に始まったOKストアとの話し合いでは、「御社を買収した場合、『関西スーパー』の名前は残せない」との強気な発言も飛び出した。結果的にこれが、H2Oリテイリングとの経営統合を早めたといえるが、対抗するOKストアが明らかにしたTOB価格は1株2250円。経営統合を発表する直前の株価の約1・7倍である。関西スーパーの規模(売り上げ約1300億円)からいって、高すぎるとの見方もあるが、

「もはや値段の問題ではありません。OKストア社内で特に買収に執念を燃やしているのが創業者で会長の飯田勧氏だからです。飯田氏の亡くなった長兄は日本橋で120年以上続く酒卸問屋の会長、次兄は居酒屋『天狗』で知られるテンアライドの故・飯田保氏、弟さんはセコムの創業者で最高顧問の飯田亮氏です。この4兄弟の中でも勧氏は“攻め”の経営にこだわることで知られているのです」(先の流通担当アナリスト)

 経営統合を株主に諮る臨時株主総会は10月29日。すでに株主の4割以上はH2Oリテイリングとの統合に賛成していると見られるが、OKストアの「出血価格」に釣られる投資家はどれだけいるのだろうか。

「週刊新潮」2021年9月23日号 掲載