ジャニーズ事務所のタレントを広告起用しないと表明する企業の“撤退ドミノ”が続いている。その影響はCMのみならず、年末年始の番組にも及ぶという。
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民放テレビマンは言う。
「日本テレビは来年の『24時間テレビ』のメインパーソナリティーに、ジャニーズのタレントは起用しないことを決めたそうです。1978年の第1回から最重要スポンサーを務めてき日産が、『当面の間、ジャニーズ事務所のタレントを起用した新たな販促物は展開しない』と表明したからです。日テレとしても、今年、なにわ男子がメインパーソナリティーを務めたものの、記録的な低視聴率に終わったため、今後どうすべきかを検討していたそうですが、スポンサーに提供してもらえなければ番組は制作できませんからね。日産の件が決定打となったようです」
年末年始の特番にも影響が出るという。
「ここ数年、NHKの『紅白歌合戦』をはじめ年末年始の音楽特番は、たとえヒット曲が少ないジャニーズのグループでも、“ジャニーズメドレー”という方法を発明して、なんとか視聴率を獲得してきましたが、今年はそれもできなくなりました。いかにも性加害を連想させるようなジャニーズの若い男性グループの起用はゼロになるでしょう」
若いグループでなければ大丈夫なのだろうか。
「ピンで活躍するTOKIOや嵐のメンバー、そしてV6の元メンバーや役者の生田斗真(38)、風間俊介(40)などは大丈夫でしょうが、関ジャニ∞やジャニーズWEST、ジャニーズJr.などは、グループ名からして厳しい。これらのグループのメンバーは、なんで社名を変えなかったんだと思っているのではないでしょうか。若手では両横綱のSixTONESとSnow Man、そして、なにわ男子も危うい。例外と言えば、タレントを引退し、その後、ジャニーズ事務所も退所した滝沢秀明(41)のプロデュースで、アメリカでの修行を経て昨年デビューしたTravis Japanくらいでしょう」
NHKはスポンサーなど関係ないのでは?
「紅白」もゼロ
「視聴者の皆さまから受信料をいただいている以上、余計に難しいと思います。『紅白歌合戦』は、近年では5〜6組がジャニーズ枠になっていましたが、多すぎるという声もあった。スポンサー企業や民放が起用していないのにNHKは使うのか、という批判もありえますから、今年はゼロになるのでは。出場の可能性があるのは、ジャニーズ色がついていないTravis Japanくらいでしょう」
スポーツ紙などは、「ミュージックステーション」(テレビ朝日)が男性7人組のアイドルグループ・BE:FIRSTに出演交渉を始めたことから、「非ジャニーズに“門戸開放”」と報じている。今後はジャニーズ所属以外の男性アイドルグループが取って代わることになるのだろうか。
「これまで男性アイドルは、確かにジャニーズの独壇場でした。ただ、それはテレビ局の忖度ばかりが理由ではありません。ジャニーズと非ジャニーズのアイドルを比べると、個々のスキルとオーラが明らかに違うのです。それはジャニー喜多川氏のプロデューサーとしての慧眼に他ならないのですが、性加害問題を抜きにして公平な目で見て、朝ドラや大河ドラマに出演する彼らのオーラと実力は、他社の男性アイドルには望めません。嵐以降の若手でも、Snow Manの目黒蓮(26)やSixTONESの松村北斗(28)、King & Princeの永瀬廉(24)などは、変な意味ではなく、男性が見ても惚れ惚れするほど。そうでなければ目黒が出演したドラマ『silent』(フジテレビ)も、あそこまでのブームにはならなかったでしょう」
EXILEが立ち上げたLDHやK-POPのアイドルならどうだろう。
ジャニーズの強さ
「一時はEXILEを擁するLDHの男性アイドルグループが、ジャニーズに取って代わる勢いがありました。しかし、三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE以降は、それもなくなった。BTSを筆頭にSEVENTEENなどのK-POP勢も人気ですが、彼らは住んでいる世界が違います。海を越えて日本の音楽祭を席巻するのは無理でしょう」
ならば老舗芸能事務所は?
「ホリプロ、ワタナベエンターテインメント、サンミュージックプロダクションといった老舗大手は、女性グループを育てるノウハウはあっても、ジャニーズの牙城だった男性グループには手を出しませんでした。ジャニーズの男性アイドルを作るノウハウは、1962年にデビューした初代ジャニーズの時代から連綿と築き上げられたものです。そう簡単には真似できないと思います」
ジャニーズの存在感低下で、今後の芸能界はどうなるのか。
「歌謡界は、Mrs. GREEN APPLEを筆頭に、Official髭男dism、King Gnu、マカロニえんぴつといった男性バンドの実力が再認識され、男女混成グループでも米ビルボード・グローバル・チャート“Global Excl. U.S.”で首位を取ったYOASOBI、緑黄色社会、Awesome City Club、SEKAI NO OWARI、女性グループも新しい学校のリーダーズ、NiziU、乃木坂46、日向坂46だって捨てたもんじゃない。ソロシンガーでも、あいみょんもいれば、Vaundyだっている。ジャニーズ枠が空いても、誰かがそこに座りますよ。芸能界はイス取りゲームのような世界ですから。しかも、楽曲主義、実力主義に戻れば、かつてのような国民的ヒットだって生まれるかもしれません」
では、イスがなくなったジャニーズ事務所のタレントはどうなるのか。
「グループタレントはファンありきです。今回の性加害報道でもSixTONES、Snow Man、なにわ男子らのファンが急速に離れるとは思えません。テレビの出演が減る分、かえってファンはツアーに大挙して押し寄せることになるでしょう。もともとジャニーズ事務所にとってテレビや映画への出演は、そこで稼ぐという考えはなく、ツアーの宣伝でした。ツアーに動員し、グッズ販売、そしてファンクラブの会費で稼ぐという姿勢ですから、当面は大丈夫だと思います」
デイリー新潮編集部