3時のヒロイン・福田麻貴さん(35)がフジテレビのドラマ主演に大抜てき。来年1月からスタートの「婚活1000本ノック」にて、3時ならぬ水曜夜10時のヒロインとして登場するという。オファーを受けた福田さん自身も不安を漏らしたというが、ネットでは賛否両論が渦巻いているようだ。

「女芸人No.1決定戦 THE W」での優勝後、売れっ子となった3時のヒロイン。ただ同世代のガンバレルーヤやぼる塾などと比べると、批判されがちなグループだった。特に福田さんの名前を検索すると、「勘違い」という言葉が候補で出てくるほどだ。ネタ担当ならではの頭の回転の良さとズバズバした物言いが、「上から目線」と見えたのかもしれない。他のタレントを引き合いに出したルックス自虐ネタに、冷ややかな目が向けられた時期もあった。

 福田さんの母校である関西大学のインタビューでは、テレビに出始めた頃は三人それぞれが個性を積極的に際立たせようと努力していたと答えている。しかし今は、少し肩の力も抜けたようだ。「三人で団結して何としてでもビッグになりたい!」と頑張っていたが、ボケ担当のゆめっちさん(29)の休養もあり、「そこに固執しなくてもいいのかなと思い始め」たという。

 その言葉通り、「THE W」以降は目立った賞レースへの出場もなく、お笑い以外の話題を目にすることが増えた3時のヒロイン。かなでさん(31)は福田さんに先駆けてドラマ主演デビューを果たしただけでなく、二重に整形したことを公表して注目を浴びた。ゆめっちさんも休養中に美容整形したことをカミングアウトしている。

 芸人が歌や芝居をやることに否定的な空気もあるが、福田さんとしては、全部が芸のひとつであると前向きに捉えているという。確かに三人とも、ダンスも演技もうまい。しかし個々の美容ネタや女優業ばかりが増えていく中で、「本当にこの三人はお笑いがやりたいのだろうか?」という印象も与えてしまった側面は否めない。そしておそらくこの印象が、アンチ第7世代の根底にあるような気がするのである。

器用すぎる第7世代への反発 反作用的に台頭した第6世代とロールモデルが不在の女性芸人たち

 なにせ第7世代は何事にも器用すぎるのだ。例えば「第7世代」の名付け親である霜降り明星・粗品さんは、今や音楽家としての評価も高い。自身でレーベルを立ち上げただけでなく、NHKのアニメ「青のオーケストラ」のエンディングテーマの作詞作曲まで担当している。

 さらにEXITは片や美容男子、片や小説家に。四千頭身の都築さんは、ファッション好きが高じてアパレルブランドを立ち上げた。「THE W」の初代チャンピオン・ゆりやんレトリィバァさんは福田さんの大学時代のサークルの後輩にあたるが、ワークアウトに女優にラッパーにと八面六臂(ろっぴ)の大活躍だ。

 お笑い以外の分野でもきっちり成果を上げる、第7世代の器用さ。バラエティーで体は張らないし、自虐もしばきもお断り。その要領の良さというのは、欲の無さにも映るのだろう。平場のトークで「やる気がない」「持ち上げられている割につまらない」と批判が増えてくる中で、台頭してきたのがチョコレートプラネットや千鳥、かまいたちといった第6世代だった。

 第6世代の彼らにはまだ、お笑いで成り上がってやる!という野心が見える。下積みの苦労話や、他の芸人へのバチバチの対抗心が見える。その泥臭さや人間臭さにお茶の間は安心を覚える一方で、「別にお笑いじゃなくても食っていけるし」「テレビ? YouTubeで稼いでますんで」と言わんばかりの涼しげな顔の第7世代たちに反発を抱くのではないだろうか。

 しかし第6世代らの「冠番組を持つ」姿が、若い世代にとっての「成功」に映っているかは微妙である。むしろ地位を維持するうえでのプレッシャーの強さを間近に見て、へきえきしているのではないだろうか。特に第7世代の女性芸人にとって、ロールモデルとなるような先輩はいないに等しい。

男社会のお笑い界でいまだ振り回される女性芸人 「出演枠」より「ルックス」「資格」の理由は?

 令和に入って少し変わったとはいえ、まだまだお笑いは男の世界だ。女性芸人は、“男の世界にのこのこやってきて平気な顔をしている勘違い女”であり、バカやブスという仕草や意識を前提に求められる時代は長かった。そして結婚やダイエットや女優デビューといったトピックは、ことさらに女性芸人の女性性を押し出し、芸人からの離脱を図るきっかけのように報じられる。仕事も私生活も頑張りたい女性芸人にとっては、窮屈に思うだろう。進みたい方向性の違いから、空中分解するコンビも少なくなかった。ならばザ・芸人のてっぺんを狙うより、かわいくお茶目なインフルエンサーとして生きる方が楽しそう。目指すは上沼恵美子さんより渡辺直美さん、と考えるのも無理はないように思ってしまう。

 見た目もトークもお芝居も、どれもほどほどに良い第7世代。しかし過渡期のお笑い界においてさえ、そつなく立ち回ってしまう器用さゆえに、彼らはどこにいても「成功した」という手応えや満足感が薄いのかもしれない。お笑い以外のさまざまな分野に手を伸ばすのは、ミーハーだからというより、最も安心と安定を得られる場所を必死で探している面もあるのではないだろうか。

 ゆめっちさんは休養中、ペットケアアドバイザーとペットセラピストの資格を取得したというが、かなでさんも先日のトークイベントで、福田さんのドラマ主演期間中に運転免許を取りたいとコメントしていた。いつ消えるかわからない「芸人としての出演枠」より、この先も潰しのきく「ルックス」「資格」に目が向く若い世代らしい答えである。

 おそらく福田さん自身が最も、メンバー間の意識の差を感じていることだろう。今回のドラマ主演の決断の裏には、若い二人の考え方を理解したいという、Z世代の取り扱いに悩む中間管理職的な葛藤も潜んでいるように思えた。いつまでもコンビで仲良く、お笑い一本で頂点に。それはもう芸人の夢ではなく、視聴者が押し付けた夢なのかもしれない。でも10年後、昼間の通販番組で「やす〜い! アッハ〜ン!」と三人で仲良く声を上げているのを見たら、それはとてもほほ笑ましいなとも思ってしまうのだけれど。

冨士海ネコ(ライター)

デイリー新潮編集部