音楽ユニット「電気グルーヴ」のファンによれば、ピエール瀧(56)は“前科ネタ”がお好きなようだ。ラジオやライブのステージ上で、逮捕時のエピソードや薬物絡みの冗談を楽しそうに披露するという。瀧がコカイン使用容疑で捕まったのは4年前で、昨年、執行猶予が明けたばかりだ。業界内からも「反省の色が見えない」との声も聞かれるが、実際はどんな様子なのかーー。

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石野卓球のツッコミに瀧もノリノリで…

 まずは、ファンも本当の話かと一瞬疑ったという、12月1日に都内で行われたライブのMCシーンから。

「みんな、瀧が出た『凶悪』って映画知ってる? 凶悪で瀧が打っていたシャブ、あれ、本物ですからね」

 ステージ上で客席にこう切り出したのは、瀧が逮捕された時、報道陣に向かって「(解散)するわけねーだろ、バーカ」と言い放った石野卓球(55)。石野が言う「凶悪」は、ノンフィクション本「凶悪 -ある死刑囚の告発-」(小社刊)を原作とした映画で、元暴力団組長を演じた瀧の“怪演”ぶりが評価された作品である。同作で瀧は本物のシャブを使って本番の撮影に臨んでいたと石野は茶化したのだ。

「何度もNG出しちゃってねぇ」

 石野からのツッコミにこうノリノリで返した瀧。それに対し石野は、

「終わるころには廃人。カツシン(勝新太郎)の『座頭市』で真剣を使ったのと一緒ですから…」

 瀧も笑いながら「そうそう」と返し、客席は大爆笑に包まれた。

 この場面だけ切り取れば、ミュージシャンが観客を喜ばすための軽口と流す人も多いかもしれない。だが、瀧が前科を笑い話にして披露するのはこの日に始まったことではない。むしろラジオではもっと奔放な放言が繰り返してきたのである。

留置場で警察官から受けた「特別待遇」を暴露

 例えば、90年代に彼らが担当していたレギュラー番組を一日限り復活させる特番として2月18日深夜に放送された「オールナイトニッポン」(ニッポン放送)。のっけから「前科ネタ」全開だった。

瀧 逮捕されたことで(TBSラジオで毎週木曜日担当だった「たまむすび」を)クビになりましたけど。
石野 ハハハ。放送中に逮捕だもんね。
瀧 そんなドラマチックだった? マジで? 俺の知っている逮捕と違うんだけど。
石野 俺、聞いてたもん。今日逮捕されるってリークで。
瀧 じゃあ、教えてくれよ。

 軽快なトークはますます弾んでいく。

瀧 俺を捕まえたマトリの人、麻薬取締捜査官の人が取り調べだぁって時に、「そう言えば瀧さん番号(留置所でつけられる被疑者番号)何番になったんですか?」って言うから、「777番です」って言ったら、「マジっすかー、瀧さん、持ってますねぇ」みたいなこと言われて。
石野 (爆笑しながら)何を? 持ってたから捕まったんでしょ?

 ここから妻が留置場に面会してきたエピソードになり、際どい暴露話が始まった。

瀧 ウチのカミさんが面会に来るわけですよね。日用品とか持ってきたよって。その時、「そう言えば俺777番になったんだ」って小さいハンドタオルにマジックで777って書いてあるから「ほらっ」って見せたら、カミさんが「いい番号でよかったね」と。面会の時に俺の右側にいた警察官の人、1人つくんですけど、口は出してこないだけど、その人が「あ、ちょっと、いいっすか」って。「なんすか」って言ったら「その、777番なんですけど私が選ばさせていただきました」って。
一同 えー!
瀧 「まじですか」って。(警察官が)「少しでも運が向いて良くなったらいいって思って、選ばさせていただきました」。「ありがとうございますぅ」って!
石野 留置所いい話だな。
一同 ガハハハ。

沢尻エリカと比べて際立つ「差」

 この日も石野から「令和のカツシン」とイジられながら思い出話のように逮捕騒動を振り返った瀧の口からは、一度たりとも謝罪の言葉が出ることはなかった。4月19日に放送された「ナイツ ザ・ラジオショー」(ニッポン放送)も同じ調子で、

瀧 ある日、俺と奥さんと娘で演芸番組見ていてナイツが出てきて、軽々、俺のこと(釈放された時の謝罪シーンを真似て)いじっていて、それを見た瞬間に嫁と娘が爆笑。「お父さん、イジられているよ!」って。(一同大爆笑)

 ラジオを聴いていた前出のファンが振り返る。

「往年のファンからすると、電気グルーヴらしいトーク内容とも受け取れるのですが、知らない人が聴いたらこれまでの謝罪はポーズだったのかと思われちゃいますよね。オールナイトニッポンの警察官の話も、相手の方に配慮がなさを感じました。警察内部で特定の被疑者に便宜を図ったって問題になりそうな話ですし…」(前出・ファン)

 ファンでさえも「やりすぎ」とヤキモキしてしまったというのだ。確かに他の芸能人と比較しても、瀧の立ち直りの速さは歴然としている。例えば、同じ年に逮捕された沢尻エリカ。沢尻が復帰したのは執行猶予が明けた後の今年11月で、瀧よりも復帰に3年以上の時間を要している。一方の瀧は執行猶予が明ける1年前の20年6月に早々と仕事を再開した。

「もし復帰明けの沢尻がこんな言動をしていたら袋叩きにあうでしょう。酒井法子なんて14年前に起こした事件でいまだにチクチク言われ続けているわけですからね」

 こう語るのはある芸能事務所関係者だ。なぜ瀧だけこんなにも自由な発言が許されるのか。

今月から封切られる主演映画は「社会派ドラマ」

「ミュージシャンだからというのもあるでしょうが、一番の理由は、事件をきっかけに彼らは『ソニー・ミュージックアーティスツ』を辞め、今独立して活動しているからです。大手の事務所に所属していたらこんなことは絶対に許されませんよ」(同)

 逆に言えば、事件当時、ソニー所属のマルチタレントとして活動していた瀧は方々で迷惑をかけた。

「静岡テレビ放送で持っていた冠番組『ピエール瀧のしょんないTV』は降板。NHKの『あまちゃん総集編』をはじめとして多くの予定していた番組は差し替えになった。映画やCM、自分たちの30周年記念ツアーやフェスの出演もことごとくキャンセル。一説には損害金は30億円にも達したと言われています」(同)

 ミュージシャン気取りの瀧だが、俳優としてもカムバックしている点も忘れてはならない。

「今年5月から配信されたNetflix作品『サンクチュアリ』では親方役で出演。今月8日からは主演作『水平線』が上映される。東日本大震災で妻を亡くした男と娘の親子愛を描いた社会派ドラマです。被災地をテーマにした真面目な映画で主演しながら、自分の起こした薬物事件についてこんな甘い認識なら、観客も冷めた目で観てしまいます」(同)

「パンツはもう履かない」の名言で知られる勝新太郎と自分を擬える姿勢にを疑問視する声も出ている。勝のパンツ発言は、パンツの中に大麻を隠し持っていたとして90年にハワイのホノルルで逮捕された後に飛び出し、当時の社会を騒がせた。

「当時、勝のような無頼者が社会に受け入れられたのは、まだ昭和という時代であったことと、勝が時代を代表する大スターだったからです。今はあの頃と違って薬物に対して厳しい世の中だし、勝を気取るのも早すぎる」(映画業界関係者)

 こう業界人は苦言を呈するのだが、ご本人は事件をどう振り返っているのか。事務所のホームページから質問状を送ったが、回答はなかった。

デイリー新潮編集部