2022年の「M-1グランプリ」(テレビ朝日/朝日放送制作)から決勝戦の審査員を務めるお笑いタレントの山田邦子(63)。最近、その存在感がますます大きくなっている。

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 現在、テレビのレギュラーはテレビ東京の通販番組しかないものの、ゲストとして多くの番組に出演。2月はTOKYO MXの情報番組「バラいろダンディ」のマンスリーアシスタントということもあり、その発言がメディアに取り上げられている。

 裁判に注力するため芸能活動を休止している松本人志(60)については、2月14日放送の同番組でこう語っている。

山田:長引いていますよね。もう1カ月も(このテーマで)しゃべってるでしょ。とても私としては寂しいね。松っちゃんはやっぱりしゃべりやすかったし面白かった。はっきり言って寂しいですね。松っちゃんとしゃべりたいです。

 松本も審査員を務める「M-1」で、山田は上沼恵美子(68)の後任となる2人目の女性審査員となった。その時に彼女を形容する枕詞として使われたのが「天下を取った女性芸人」。NHKが行う「好きなタレント調査」で1988年から1995年まで8年連続の1位となり、全盛期にはレギュラー番組が週に14本、超のつく売れっ子だった。民放プロデューサーは言う。

「彼女が松本さんを“松ちゃん”と呼べるのも、やはり『天下を取った女性芸人』だからでしょう。松本さんとは3歳しか違いませんが、彼女はダウンタウンよりも一世代上の芸人たちと一緒に活躍しました。しかも、大御所でありながら後輩芸人にイジられることもできる。そんな女性芸人は彼女くらいです。笑いも取れればMCもできる。芸能界の大御所とのつきあいも広いので、ますます影響力を発揮していくと思います」

 その一方で、YouTubeなどにも寛容だという。

怖い人に大物芸能人が続々

「YouTubeに出るのを嫌がる大御所が多い中、若手芸人のYouTubeもチェックするくらい勉強熱心で、偏見がないのも彼女の強みです。彼女自身も公式チャンネル『クニチャンネル』を持っています」

「クニチャンネル」では「芸能人怖い人ランキング」なんていうのも発表している。詳細はご覧いただくとして名前だけ挙げていくと、横山やすし、小林旭、梅宮辰夫、太地喜和子、岩下志麻、内田裕也、梓みちよ……この方々とのエピソードを語れるだけでもすごい。

「彼女は今年に入ってから週刊大衆で連載を始めました。『やまだかつてない女芸人・山田邦子の芸能界スター・ウォーズ』というタイトルで、かつてのバラエティ界を振り返っています」

 連載初回はいわば自己紹介で、「天下を取った女性芸人」と呼ばれることについても触れている。

《本人にはそんな自覚は全然ないんです。/そもそも『オレたちひょうきん族』(フジテレビ系)で共演していた芸人で、「天下を取る」と宣言していたのは紳ちゃん(島田紳助)くらい。彼は熱い男なんです。/紳ちゃんが言い始めてから、「天下を取る」が芸人の間で広まった気がします。》(週刊大衆:1月22日号)

 松本が師匠と仰ぐ島田紳助(67)を捕まえて“紳ちゃん”と呼べる芸人はなかなかいない。さらに、自身がなぜ売れたかも分析している。

松本がいない「M-1」も仕切る?

《振り返ってみると、私が活躍できたのは、関東に同世代の女性芸人がいなかったからだと思います。同世代にたけしさんがいたことは幸せでもあり、つらさもありました。同じ路線で売れようとしても、たけしさんを超えることは絶対にできませんから、別の道を探すしかない。その点、女でよかった〜と思いますね。》(同前)

「同世代の芸人としてビートたけしさん(77)を挙げていますが、彼女より一回り以上、14歳も年上です。でも、一緒に番組を作り闘った同世代という感覚なんでしょう。今のところ連載では、たけしさんや片岡鶴太郎さん(69)、たけし軍団など、当時、同じ事務所にいた身内の話が中心ですが、元宮崎県知事の東国原英夫さん(66)ですら“そのまんま東”とかつての芸名で呼び捨てですからね。漫才ブームの頃の芸能界を知る、関東では唯一の女性芸人と言っていいでしょう。となると、今活躍している芸人のほとんどは、彼女にとって後輩という立ち位置になるのかもしれません」

 2022年の「M-1」では、採点がブレすぎと批判されたこともあったが、

「インタビューでも『いいんじゃない? それは(番組を)見てるんだから。見てない人より全然いい』と答えていましたし、全く意に介していないようです」

 ところで、今年の「M-1」はどうなるのだろう。

「松本さんがいなくなって先行きが見えない状態ですが、彼女がいれば盛り上がるかもしれません。若手芸人にイジってもらいつつも、大御所としての雰囲気も崩さない器のデカさがあります。今のディレクターたちは彼女の全盛期を見てきた世代ですから、彼女のレギュラー番組だってできるかもしれません」

デイリー新潮編集部