4月10日、今年初となる「バスVS鉄道乗り継ぎ対決旅」(テレビ東京)が放送された。2019年11月にスタートしたこの企画も第19弾。“バス旅の帝王”太川陽介(65)と鉄道チームの“鬼軍曹”村井美樹(44)とのガチ対決もお馴染みとなった。ところが、番組の企画自体に疑問の声が……。

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 太川が率いるバスチームには女優の北乃きい(33)とお笑いトリオ・ぱーてぃーちゃんの信子(31)、村井が率いる鉄道チームには元宝塚トップスターの真飛聖(まとぶ・せい=47)とフリーアナの馬場ももこ(32)が参戦した。

「春の房総半島SP」と銘打たれた第19弾は、スタートが千葉県木更津市の金田さざなみ公園、ゴールが九十九里町・不動堂海岸の九十九里ビーチタワー。つまり内房(東京湾側)から外房(太平洋側)へ向かう房総半島横断コースと思われた。民放ディレクターは言う。

「千葉県は歴戦の雄である太川がなかなか勝つことができない地域として知られ、昨年夏以来、太川のバスチームは3連敗中です。そのため今回は、太川が千葉で一矢報いることができるかが注目されていました。ところが、房総半島SPといいながら、チェックポイントのひとつに三崎港(神奈川県三浦市)が組み込まれていたので、違和感を覚えた視聴者は少なくなかったようです」

 千葉から東京湾を挟んだ横須賀に行くには、東京湾フェリーを使うのが最も早い。だが、そもそも「バスVS鉄道乗り継ぎ対決旅」は、バスチームはバスのみを使い、鉄道チームは鉄道のみを使って、チェックポイントを辿りつつ、どちらがゴールに早くたどり着けるかを競う企画だ。

「もちろん、回によって例外はあって、チームで1万円まで使えるタクシー代でレンタサイクルやフェリーを利用したこともありました。ただ、今回は房総半島SPですからね」

 わざわざ東京湾を渡る必要はないのだ。

電車チームの意外な選択

「番組スタッフの気持ちになって考えてみると、房総半島横断を1泊2日で行うには距離が短すぎたのかもしれません。千葉県内でほかにチェックポイントを作ろうにも、鉄道ルートが少ないため苦肉の策だったのでしょうか。もしくは、ゲストの北乃きいが横須賀出身ということもあり、土地勘があるのでねじ込んだとか……。でも、そこまで気を使わなくてはいけないタレントではありませんし」

 ともあれ、三崎港がチェックポイントに組み込まれていたため、両チームは東京湾フェリーが出航する金谷港(千葉県富津市)に向かった。先に着いたバスチームは予定通りフェリーに乗り込み、40分後には久里浜港(神奈川県横須賀市)に到着した。ところが、一足遅れた鉄道チームは、浮かしたフェリー代をタクシー代に回すため、浜金谷駅から内房線や総武線などを乗り継いで東京湾をぐるりと回るコースを選んだ。三崎にたどり着いたのはおよそ4時間後の夜だ。

「三崎港でのミッションが翌朝5時からの朝市でマグロ料理を食べるというものだったため、このコースでも可能となったわけですが、スタッフとしてはこういう演出をしたかったのかもしれません。両チームともフェリー移動では変化がつきませんから」

ドラマチックな展開も

 翌日、朝市のミッションを済ませた両チームは、東京湾フェリーで金谷港に戻り、再び千葉対決に。前日まで優勢だったバスチームに陰りが見え始め、このあたりからデッドヒートが始まる。

「安房小湊駅(鴨川市)でミッションをこなし、バスチームが乗ったバスを鉄道チームがタクシーを使って追い抜きます。最後のチェックポイントに指定された勝浦タンタンメンのてっぱつ屋(勝浦市)では、両チームが並んで食べるというドラマチックな展開もありました」

 そこからゴールの九十九里ビーチタワーまでは、それぞれ独自のルートを取った。

「鉄道チームはおよそ3キロ離れた総元駅(いすみ鉄道)を目指しました。ところが、駅の手前で道を間違える。列車の発車時刻まであと7分というところで地元の人に道を尋ねて誤りに気づき、慌てて引き返します。映像はドローンに切り替わり、発車まで2分というあたりで引きの映像になったのですが、とても間に合いそうには見えませんでした。あれじゃ、実際に残り時間を計っていたかは微妙なところですね」

 ここからバスチームの作戦となる。太川は過去の対戦から、蛭子能収 さんと回ったバスルートを思い出す。勝浦からバス4本を乗り継いで九十九里にたどり着くという作戦だった。当時の路線が今も残っており、無事、九十九里にたどり着いた。興奮気味の太川がゴール地点にある宝箱を開けると、勝利のフラッグは……そこにはなかった。

勝利チームは一言で終了

「つまり、鉄道チームの勝利だったわけです。ならば、彼女たちは総元駅からどんな乗り継ぎをしてJR東金駅にたどり着いたのか、興味深かったのですが……」

 鉄道チームが総元駅にたどり着いたシーンに被せて、「総元駅になんとか間に合い、最速の乗り継ぎでゴールへと駆け抜け、鉄道チーム勝利」とナレーションが入って番組は終了したのだ。

「ネット上では“ヤラセ”の声も上がっていましたが、さすがにそれはないでしょう。ただ、視聴者の反感を買わないためにも、鉄道チームの乗り継ぎシーンは入れるべきだったと思います」

 編集のミスと言うことだろうか。

「これまでの対決が、バスチーム8勝、鉄道チーム10勝で、バスチームは3連敗中でしたから、制作サイドとしては太川のバスチーム勝利を願っていたのでは。また、視聴者も今回はバスチームが勝つと見ているとの読みから、バスチームが勝ちそうな編集になったのかもしれません。鉄道チームの勝利がバレないように行った演出とも取れます。成功なのか失敗なのか、賛否が分かれるところです」

 4連敗を知ってへたり込んだ太川、お疲れ様でした。

デイリー新潮編集部