史上最悪のコンビ解散…オンラインカジノ問題で「消える芸人」と「残る芸人」の条件

デイリー新潮6/20(金)11:10

史上最悪のコンビ解散…オンラインカジノ問題で「消える芸人」と「残る芸人」の条件

令和ロマン

ネイチャーバーガーが解散

 6月10日にお笑いコンビ・ネイチャーバーガーが解散を発表したことが話題になっている。世間での知名度はまだそこまで高くないコンビかもしれないが、彼らの解散が大きいニュースとして取り上げられた理由は、メンバーの1人である笹本はやてが、オンラインカジノ問題で活動自粛をしていたからだ。

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 長い間コンビとしての活動ができなくなっていた中で、ようやく復帰できるという時期になって、なぜか解散が発表された。そのため、多くの人から驚きの声があがっているのだ。

 吉本興業の所属タレントをめぐるオンラインカジノ問題で、東京簡裁は6月2日までに、略式起訴された芸人6人にそれぞれ罰金10万円の略式命令を出した。笹本もここに含まれていた。

 解散に至った具体的な理由はわからないが、本人たちの話によると、オンラインカジノ問題が発覚した直後に、笹本が相方の三浦リョースケに対して解散したいという意志を告げたのだという。三浦は不祥事があってもやり直すことはできるから大丈夫だと強く訴えていたが、笹本の気持ちは変わらず、最終的には解散を受け入れることになった。三浦は「『史上最悪の解散』とも言われています」と自虐的に語っていた。

 もちろん、解散というのは残念な結末である。ただ、解散にまでは至らないとしても、一度問題を起こしてしまったことで、オンカジ芸人が厳しい立場に追い込まれているのは事実である。ネイチャーバーガー以外の芸人は続々と活動を再開しているが、彼らに明るい未来はあるのか。残る人と消える人の違いはどういうところにあるのか。いくつかの視点から考えてみよう。

 まず、今回の件で致命的なダメージを受けた芸人がいるとすれば、好感度の高さを売りにしていたような人である。普段から誠実さや真面目さを前面に出していた芸人がオンラインカジノに手を染めていた場合、ファンの失望も深いものとなる。

 特に、広告関係の「好感度ビジネス」で積極的に仕事をしていた芸人は、その部分で大打撃を受けることになる。そこまで重い法的責任が問われなかったとしても、一度の不祥事でスポンサーや制作サイドからは敬遠されてしまい、仕事を失うことになる。

実力と覚悟

 今回処分された6名の中には、もともと好感度が極端に高いような人はいないし、広告案件が多い人もいない。ただ、あえて言うなら、その6名には含まれていないが、自らオンラインカジノ経験を告白した令和ロマンの高比良くるまは、CM出演の経験があり、広告業界でも期待されている存在だった。今後はそういう仕事に携わるのは難しくなるだろう。

 一方、芸人としてのキャラクターと問題行動との整合性が取れている場合、つまり、もともと破天荒なイメージやアウトロー的な言動で知られていたような場合には、むしろその行動が想定の範囲内として受け止められ、大きなダメージを被らずに済む可能性がある。

 ただ、そこにも一筋縄ではいかない問題がある。なぜなら、オンカジ芸人の中には、もともとギャンブル好きとして知られていて、ギャンブル関連の仕事をしていた人もいるからだ。たとえば、競馬やボートレースは公営ギャンブルとして認められているので、関連する番組やイベントの仕事もある。

 ギャンブル好きの芸人は趣味を生かしてそういう仕事に携わる機会があったはずなのだが、オンラインカジノで違法賭博に手を染めてしまったということになると、一気にイメージが悪くなり、ギャンブル関係の仕事ができなくなってしまう。

 ギャンブルが好きなのは本当のことなのに、その特技を生かせなくなってしまうのだ。これは彼らにとって致命的な打撃であると言える。実際、オンカジ芸人の中にはそういう人も含まれていた。その部分のダメージは決して小さいものではない。

 オンラインカジノ問題を乗り越えるために必要なのは、自身の過ちを真正面から認めた上で、それを笑いに変えることだ。不祥事を自分からネタにするのは不謹慎だと思われる人もいるかもしれないが、どんなことでも笑いにするのが芸人の仕事である。彼らの周りにいる芸人仲間たちも、あえてその話題に触れてイジってあげることで、その芸人のサポートをしているという感覚がある。

 オンラインカジノ問題に限らず、不祥事を起こしたときにこそ、それをどうやって自分の中でネタに昇華するのかというのが問われる。世間の空気を読み間違えれば、さらなる批判を招くリスクもあるが、上手くいけば芸人としての面白さをアピールすることもできる。

 結局のところ、消える芸人と生き残る芸人の違いは、それぞれの実力と覚悟にある。不祥事があってもそれをはねのけて、笑いを取ることに誠実に向き合うことができれば、明るい未来が見えてくるだろう。

ラリー遠田
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり 〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『逆襲する山里亮太』(双葉社)、『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)など著書多数。

デイリー新潮編集部

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6/23(月) 16:35更新

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