いよいよ“チョンマゲ大河”が帰ってくる。1月19日にスタートする59作目のNHK大河ドラマ「麒麟がくる」の主役は“敵は本能寺にあり!”の明智光秀。描かれるのは歴とした戦国時代である。それに先立つ14日には、番宣番組「『麒麟がくる』まで待てない!戦国大河ドラマ名場面スペシャル」(NHK総合)が放送されたが、視聴率はなんと10・7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区:以下同)と「いだてん〜東京オリムピック噺〜」の最低視聴率3・7%(10月13日)の2・9倍を記録した――。

 ***

「“今度の大河は面白そう”“今年の大河は楽しみ”というのが、多くのお年寄りたちの一致した意見です」とは、訪問介護に携わるヘルパーの声である。

 そんな声にNHKも応えるつもりだったのか、番宣番組「『麒麟がくる』まで待てない!」のインフォメーションにはこんな文言が……。

《大河ドラマの王道といえば“戦国もの”。これまで放送された58作のうち、4割近くが戦国時代を描いてきました……》(NHK公式ホームページ)

 まるで、近現代を描いた昨年の「いだてん」は、邪道だ、と言わんばかりの書きっぷりではないか。民放プロデューサーは言う。

「確かに『いだてん』は、史上最低の低視聴率(平均8・2%)を記録しました。だからといって、頑張って見続けていた視聴者からの評判は悪くはなかったんですけどね。クドカン(宮藤官九郎)らしい脚本でしたし、近現代ものがウケないことは、これまでの結果が証明していたのですから。今さらあの文言はないでしょう」

 デイリー新潮も「大河『いだてん』が早くもピンチ “近現代”と“オリジナル脚本”はコケるのジンクス」(2019年1月20日配信)で、近現代ものがウケないわけを報じている。

 それを証明するかのように、チョンマゲ大河は強かった。前述の通り、番宣番組にもかかわらず、視聴率はなんと10・7%と2桁に乗ったのだ。

「司会は、これまで9作(戦国ものだけではないが、いずれもチョンマゲ)もの大河に出演した高橋英樹、戦国マニアで『功名が辻』に出演したロンドンブーツの田村淳、そしてNHKの池田伸子アナが務め、ゲストにも力が入っていました」(同・民放プロデューサー)

 スタジオには過去に大河主演経験のある武田鉄矢、高畑淳子はじめ、VTRでも佐久間良子、西田敏行、仲間由紀恵、高橋一生が登場して、過去の大河の映像もふんだんに使用された。むろん光秀を演じる長谷川博己も出演し、「麒麟がくる」の宣伝もバッチリだった。

それでも近現代を撮る

「NHKの火曜夜レギュラーは、『サラメシ』と『うたコン』ですが、どちらも10%いくかいかないかといったところ。それを番宣で、10・7%は驚異的と言っていい。いまやNHK、民放を問わず、ゴールデンのドラマ、バラエティーで、視聴率が2桁いくのは至難の業ですからね。やはり従来の大河ファンの、戦国ものへの渇望感がなせるわざと言っていいでしょう」(同・民放プロデューサー)

 周知のように、濃姫を演じる沢尻エリカの逮捕で、2週間も放送開始が遅れた。

「急遽代役を演じることになった川口春奈への、同情や期待も多いと聞きます。日曜夜は、裏の『世界に果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)が弱まっています。調子がいいのは『ポツンと一軒家』(ABCテレビ制作/テレビ朝日系)ですが、この視聴者は近現代大河から流れたお年寄りと言われていますから、一気に大河に戻る可能性がある。主演の長谷川も朝ドラ『まんぷく』で数字を持っていることですし、今月16日にはエリカ様逮捕について、長谷川が『(頭が)真っ白になりました。何も言葉が出なくて、ショックでした』とコメントを発表するなど、話題性、期待度も上がっています。初回の19日は20%を超える可能性もあります」(同・民放プロデューサー)

 ちなみに大河の近代三部作「山河燃ゆ」(1984年)、「春の波涛」(85年)、「いのち」(86年)の後を受け、伊達政宗を描いた「独眼竜政宗」(87年)は、最高視聴率(39・7%)を記録し、金字塔となっている。

 最初から、チョンマゲものばかりやっていれば、NHKも右往左往することはないのだが、来年はまた「青天を衝け」(主人公は渋沢栄一)でまた近現代ものとなる。

「チョンマゲ以外で成功したいと思うスタッフも少なくないでしょうからね。それにNHKの制作子会社であるNHKエンタープライズは『いだてん』撮影に合わせて、つくばみらい市(茨城県)に、巨大な近現代セット(建設費用は非公表)を建造しました。1万平方メートルの敷地に大正、昭和の街並みを再現し、9棟の鉄筋ビル、22棟の木造建築、路面電車など、4K放送にも耐えうる、ハリボテでない本格的なセットです。これらは民放でも使用できるというのですが、そんな金のかかるドラマはなかなか撮れませんからね。このセットが無駄と言われないためにも、NHKは近現代のドラマを作り続けないといけないのかもしれません」(同・民放プロデューサー)

 チョンマゲ大河を待ち望む視聴者がいくら多くとも……。

週刊新潮WEB取材班

2020年1月18日 掲載