新型コロナウィルスの感染拡大防止のため、政府からの要請により、ライブやコンサート、芝居といったイベントの中止や延期が続々と発表されている。多くの人気アイドルグループを抱えるジャニーズ事務所も然りである。その一方、公式YouTubeチャンネルでの動画配信を打ち出した。《元気と笑顔をお届けしたい想い》と言うのだが――。

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 安倍晋三首相が、大規模なイベントの自粛を要請したのは2月26日のことだった。その日に予定されていたコンサートを、即日中止にしたのはEXILEとPerfumeだ。一方、椎名林檎が率いる東京事変がライブを29日に決行すると、ネット上には非難の声が殺到。3月6日以降のライブを中止にすることに。芸能記者は言う。

「当初、安倍首相の自粛要請期間は2週間程でしたが、感染拡大への不安は収まるどころか、むしろ高まっています。そのためエンターテインメント業界は、公演の中止や延期を続々と発表しています。あの吉本興業ですら、3月2日から自社主催の公演を中止にしているほど。その代わりに、朝10時から毎日12時間、全国の劇場からのお笑いの無料配信をYouTubeで行っています」

 小・中・高校が一斉休業となってからは、屋内でじっとしているのが辛い子供のために、無料動画配信を行うタレントも増えている。

「タレント自身も仕事がなくなっている中、そうした活動の評価は高いですね。とはいえ、ジャニーズがそれを始めるとは、ちょっと驚きました。今でこそYouTubeには、年内で活動を休止する嵐の公式チャンネルがありますが、それまではタレントの肖像権を守るためと、動画はおろか写真すら頑なにネットを拒んできましたし、違法動画や海賊動画を流すYouTubeを特に嫌がっていた事務所ですよ」(同)

 ジャニーズチャンネルの開設は、3月17日に同社の公式サイトで発表された。

《……感染予防活動をジャニーズグループとして実施することといたしました。感染予防を呼びかけるとともに少しでも皆様に元気と笑顔をお届けしたい想いから所属タレントより動画をお届けします。ジャニーズ事務所公式YouTubeチャンネルにて3月28日より配信を予定しております……》

 同時に、所属タレントたちのコンサートの中止や延期も発表された。コンサートに行けないファンのための動画配信というわけだ。ファンあってのアイドルたちであるから、ファンサービスは欠かせない。だが、業界通はこんな見方をする。

「今回のコロナショックで、他の事務所以上に損害を受けているのがジャニーズです。事務所の収益を支えているのは、所属タレントたちのコンサートと、開催地で販売されるグッズの売上ですから」

 アーティストを抱える芸能事務所なら、どこも一緒のような気もするが……。

「ジャニーズの興業は、1つのアイドル・グループが同じ会場で1日に数公演開催されます。人気グループともなれば、1日3〜5公演は当たり前。そのたびに入れ替わる客はグッズを購入していくわけですから、1日1公演の他事務所のアーティストとは比べものにならないくらい利益が出る仕組みです」

延期のほうが厄介

 ジャニーズ事務所の公式サイトには、公演中止あるいは延期の告知が、ズラーッと並んでいる。例えば、47都道府県ツアー真っ最中の関ジャニ∞の場合、2月14日の香川と徳島でのコンサートは行われたが、その後は以下の通りだ。

3月11日
【島根】島根県民会館 →4月22日に振替公演
【鳥取】米子市公会堂 →4月22日に振替公演

3月12日
【茨城】結城市民文化センター →4月23日に振替公演

3月22日
【愛知】一宮市民会館 →公演中止

3月23日
【岐阜】岐阜市民会館 →公演中止
【三重】NTNシティホール(桑名市民会館) →公演中止

3月24日
【新潟】上越文化会館 →公演中止
【富山】高周波文化ホール(新湊中央文化会館) →公演中止

3月25日
【福井】フェニックス・プラザ →公演中止
【石川】本多の森ホール →公演中止

3月27日
【長野】サントミューゼ(上田市交流文化芸術センター) →公演中止

3月29日
【鹿児島】薩摩川内市川内文化ホール →公演中止

 この“Upd8(アップデート)”ツアーのスケジュールの過密さについては、デイリー新潮「関ジャニ∞『錦戸』の脱退余波 異例の全国47都道府県ツアーに隠された意図」(19年10月3日配信)でも報じたが、現在はコロナによって多くが公演中止となっている。もはや“47都道府県”は達成できるのかなと、心配している場合ではないようだ。

「関ジャニの場合は全国ツアーですから先々までスケジュールが詰まっているし、県をまたいでのWヘッダーなんてものもある。公演日を振り替えることも、なかなか難しいと思います。しかし、全国ツアーと銘打たなくても、ジャニーズ所属グループのコンサートは、3月後半だけでも、昨年末に体調不良で延期されたマッチ(近藤真彦)のディナーショーはじめ、NEWS、Sexy Zone、ジャニーズWEST、なにわ男子、Snow Man、SixTONESなどなど、とんでもない数の公演が中止・延期となっているわけです。中止となれば、払い戻しにも応じなければなりません。ファンからは『コンサートはあるのか、ないのか』という問い合わせが殺到し、事務所社員の業務のほとんどは今、延期や中止を伝える仕事になっているそうです」(同)

 問い合わせの数たるや、想像するだに恐ろしい……だが、延期で済むならファンも安心だし、事務所にとっても収益も確保できる。

「ところが事務所にとっては、むしろ延期のほうが厄介なのです。多くのアイドルグループを抱えるジャニーズでは、他のグループとの兼ね合いもあり、同時期にかぶらないよう計算した上でスケジュールが決められます。オフィシャルで発表こそされていないものの、2年近く先まで公演スケジュールは決まっています。ですから、簡単に延期などできないのです」(同)

 もしや、4月以降の中止・延期が未定なのは、そのためか。

「ジャニーズは昨年7月に、元SMAPの3人に対して圧力をかけているのではないかと、公正取引委員会から注意を受けたこともあって、政府の方針に逆らうわけにはいきません。ましてや椎名林檎のように強行開催して、バッシングを浴びるわけにはいかない。コロナが収まるのを待つほかありません。そこで出てきたのが、公式YouTubeチャンネルというわけです。すでにジャニーズは昨年8月に、所属タレントの出演作品・公演情報などプロモーションのための公式チャンネルを開設していました。現在、チャンネル登録者数は40万人ほどですが、28日以降、動画配信がスタートすれば、登録者も急増するでしょう。となれば、コンサートの穴埋めとまではいかないまでも、幾ばくかの収益になるはずですから」(同)

 ちなみに中止が決定した公演のグッズに関しては、3月22日、期間限定で通信販売されることが発表されている。

週刊新潮WEB取材班

2020年3月27日 掲載