Eテレにも敗北

 夕方のニュース番組「Live News it!」(フジテレビ系列・平日16:50・土日17:30)の視聴率が振るわない。3月23日の午後4時台は、何と視聴率1・3%(註:視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)を記録。テレビ業界に激震が走ったという。

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 この時間帯は平日だと、日本テレビが『news every.』(15:50)、テレビ朝日が『スーパーJチャンネル』(16:40)、TBSが『Nスタ』(15:49)を放送している。主婦層を主なターゲットとし、激しい視聴率争いが繰り広げられている。

 報道番組にとって新型コロナは“追い風”だ。NEWSポストセブンは16日、「コロナ拡大でテレビ視聴率急上昇、報道・ドラマが牽引」と報じた。イベント自粛やテレワークなどの影響で在宅率が上がったこともあり、テレビ業界は活況を迎えている。

 ところが、「Live News it!」の視聴率は下がっている。つまり一人負けの可能性が高いのだ。ライバル民放キー局の関係者も驚きを隠さない。

「3月23日の『Live News it!』は、正直言って、この状況の中であり得ない数字でした。午後4時台で数字が低かったのはNHKで、総合の国会中継が1・8%、Eテレの『いないいないばあっ!』(平日・8:25/16:05)の再放送1・6%でしたが、この2番組にも敗れました。結局、本来なら視聴者が増える午後6時台も4・3%と低空飛行でした」

 日本テレビ「news every.」の第3部(17:53)は3月10日、視聴率13・8%を記録し、「報道【関東地区】」のベスト10に10位でランクインした。

 これがトップランナーの数字であり、「Live News it!」の視聴率はかなり見劣りすると言わざるを得ない。

 これまでにも「Live News it!」の不調が報じられたことはあった。例えば、日刊ゲンダイDIGITALは3月14日、「加藤綾子リストラ危機…視聴率低迷と交際発覚のWパンチ」との記事を掲載した。

 週刊実話(電子版)も23日に、「加藤綾子“わずか1年”夕方ニュースMC降板危機!? 恋の行方にも注目」と報じた。

 そもそも「Live News it!」は、加藤綾子(34)の起用が目玉だった。フジテレビは勝負の番組と位置づけて、2019年4月1日にスタートした。

 先の2つの記事は、加藤がMCを続けられるか否かを取り沙汰したものだ。だが、視聴率が1・3%となると、番組自体の存続が疑問視されても不思議はない。なぜ、こんな状況になってしまったのだろうか。

「カトパンに関心を持つ視聴者は、男女共に20歳から49歳というところでしょう。ところが新型コロナ問題は、高齢者層が高い関心を持ち、視聴率を底上げしています。一方の主婦層ですが、最近はコロナ報道に疲れたらしく、お花見を兼ねて近所を散歩しているようなのです。昼間から夕方にかけては在宅していない主婦も、決して少なくありません」(同・民放キー局の関係者)

 実は昼間の総世帯視聴率は、このところ逆に下がっているというから興味深い。まして20代の大学生ともなれば、新型コロナはまだまだ他人事だろう。

「政府の自粛要請を無視しているのでしょう、原宿や渋谷は20代の男女で溢れています。始発の山手線に乗ると、カラオケボックスで朝を迎えたと思しき若者が目立ちます。皮肉なことに『Live News it!』が狙っていた視聴者は、新型コロナという大問題が発生して、テレビの前から姿を消してしまったようです」(同)

「ワンピース」の再放送が仇!?

 もともと「カトパンに報道番組のMCが務まるのか」という疑問は根強かったが、少なくとも新型コロナ問題の恩恵には与っていないことになる。

「新型コロナのようなニュースは、偉そうな専門家がビシッと断言し、それをMCが上手に転がす必要があります。『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ制作/日本テレビ系列・平日・13:55)も最近は低視聴率に苦しんでいましたが、新型コロナ問題と宮根誠司さん(56)のキャラクターは相性が良かったようで、数字は回復しています」(同)

 似た状況だった「newsS23」(TBS系列・月〜木23:00・金23:30)の小川彩佳(35)も、「あさチャン!」(同・平日6:00)の夏目三久(35)も、視聴率を取り戻しつつあるという。

 まして夕方の時間帯でトップを走る「news every.」となると、高齢者はもちろん、「Live News it!」が取りこぼしている主婦や子供さえも、視聴者層として確保しているという。

「天気を担当する木原実さん(59)と、そらジローのコンビは子供に人気です。サブMCの鈴江奈々さん(39)の柔らかさも主婦層に好感を持たれているでしょう。一方の加藤綾子さんは、宮根さんのような強さはありませんし、サブではなくメインMCなので、鈴江さんのように温和でも駄目です。どっちつかずの雰囲気が、視聴者には物足りないのでしょう」(同)

 もっとも「Live News it!」の低迷を、加藤1人の責任とするのは酷だという。前出の関係者は「フジテレビ編成のミスも大きいでしょう」と指摘する。

「今年は1月6日が月曜でしたが、日本テレビは『ミヤネ屋』から『news every.』、TBSは『ゴゴスマ―GO GO!Smile!―』(平日・13:55)から『Nスタ』と切れ目なく放送します。テレビ朝日は『大下容子ワイド!スクランブル』の第2部(平日・12:50)から『スーパーJチャンネル』の間はドラマ『相棒』の再放送を行い、視聴率を稼ぐことは有名です。一方のフジテレビも、夕方はドラマを再放送していました」

 1月6日、フジテレビの「直撃LIVE グッディ!」は午後1時45分からスタートし、午後3時50分に終わった。

 その次はドラマ「絶対零度」のシーズン3(2018年)再放送が午後4時50分まで放送され、それから「Live News it!」が始まるというタイムスケジュールだった。

 なぜ再放送を行っているのか、明確な理由がある。1月6日は月9「絶対零度」シーズン4の初回が放送される予定だったからだ。

 1月24日、朝日新聞の朝刊は1面トップで「新型肺炎 武漢『封鎖』 中国、拡大阻止へ強攻策」と大きく報じた。

 だが、その日のラテ欄を見ると、フジテレビの午後3時50分は「絶対零度」シーズン3の再放送が最終回を迎えたことが記されている。

「2月からは『白い巨塔』(2003年)が再放送され、3月5日の木曜に終了します。そこでフジは何かを考えたのか、3月9日から4月1日まで、『在宅している家族が多いことから、緊急編成で番組を放送する』ことを告知します。具体的には午後3時50分から『ワンピース エピソードシリーズ 特別編』を30分放送し、『Live News it!』を30分繰り上げて、午後4時25分から放送することにしたのです」(同)

編成の大失敗

 この緊急編成を報じた「フジテレビュー」の記事「『ワンピース』と『Live News it!』の特別放送が決定!」には、以下のような記述がある。

《『Live News it! 特別編』では、日々情報が更新される新型コロナウイルスに関する情報を、子どもたちにも理解できるようにわかりやすくお伝えする。番組には、鈴木福や鈴木梨央、谷花音など子どもたちに人気の同世代タレントも日替わりで出演予定》

「『ワンピース』の再放送と合わせ、子供と主婦を『Live News it!』に取り込もうとしたのでしょうが、完全に裏目に出た形です。結局、20歳から49歳の女性は、午後4時25分には自宅にいなかったのです。子供も自宅での自習に疲れ、公園で遊んでいた時間帯だったのではないでしょうか。これは編成のミスと言われても仕方ないと思います」(同)

 1985年に鳴り物入りでスタートした「ニュースステーション」(テレビ朝日・1985〜2004年)は当初、低視聴率に苦しんだ。

 だが、86年にフィリピンで起きたエドゥサ革命を詳報して高視聴率を獲得し、一気にテレビ朝日の看板番組に化けた。

 やはり報道番組が注目を集めるのは、大きなニュースが発生した時だ。ところが「Live News it!」では新型コロナという全世界を揺るがすトピックスが発生しても、視聴率が伸びない。フジの苦悩は続きそうだ。

週刊新潮WEB取材班

2020年3月27日 掲載