有名俳優・女優の相次ぐ自殺を受けて、芸能人専用の相談窓口ができるという。

「華やかに見える芸能人も、少なからず何らかの悩みを抱えているものです」

 と語るのは、設置を決めた日本俳優連合(日俳連)の法務担当理事で女優の森崎めぐみ氏だ。日俳連とは約2600人の俳優が月額1500円の会費を原資とする協同組合で、理事長は西田敏行が務める。

「窓口では公私両面での心の悩み、セクハラ被害の相談、さらに事務所や提携先との契約や訴訟など法律に関する問題を扱います」

 とは森崎氏。

「三浦春馬さんをはじめ、芦名星さん、竹内結子さんら第一線で活躍する俳優が続けて命を絶ってしまいました。彼らにどんな悩みがあったかは知る由もありませんが、芸能人が躊躇(ためら)うことなく苦しい胸の内を吐き出せる場所があれば、悲劇の連鎖を止める一助になると考えているところです」

 コロナウイルスの影響で自粛ムードが広がった3月以来、テレビや映画、舞台への出演機会が激減した芸能人は少なくない。

「事務所に所属する人の多くは、働きに応じて支給額が決まる歩合制。中には定額制の人もいますが、その場合も上乗せ分は歩合です。いまも日俳連には日々〈どう生活費を稼げばいいのか〉〈死ねと言われているに等しい〉といった切実な声が寄せられています」

 コロナ禍で仕事を失った俳優たちは、演技者としてのアイデンティティの喪失と収入減というダブルパンチに喘いでいるのだ。

周囲は同業者ばかり

 実際の相談手続きは、

「日俳連のサイトで専用のフォームに登録し、相談内容をメールするだけです。34人の臨床心理士とやり取りを重ねながら、ともに解決策を探ります」

 臨床心理士には医師と同じような守秘義務が課せられ、外部に相談内容が漏れる心配はないという。

 セクハラ窓口は早くから準備を進めてきたそうで、

「いまや男女を問わずセクハラを受ける時代。行為者はキャスティングに影響力を持つ制作関係者をはじめ、時には事務所の経営者やスタッフなどの優位な立場による悪質なケースも。その多くは被害者の声が外に届かないのが通例でした。希望者は専門員によるカウンセリングも受けられます」

 法的な案件については、

「想定しているのは、契約期間やギャラの支払い、収録現場で起きた事故に関する労災手続きなどさまざま。芸能界に明るい弁護士が、適切なアドバイスをします」

 画期的な試みとも映るが、本来は事務所やマネージャーの仕事ではないのか。

「確かにその通りですが、相手が多忙だと気後れするかもしれませんし、個人的な悩みを明かせる関係ではない場合もあるでしょう」

 森崎氏は自身の経験を振り返りつつ、取り組みの意義を次のように語る。

「芸能人の多くは私生活を隠しがちで、人間関係が同業者に限られる傾向にあります。その点、19歳まで芸能界にいなかった私は、異業種で働く友人の助言に何度も助けられました。悩みを持つ仲間には、過去に私を救ってくれたような相談相手が社会にはいると伝えたいですね」

 設置は年内が目標という。

「週刊新潮」2020年11月12日号 掲載