「私と春馬は一心同体でした」

 30歳という若さで自ら命を絶った三浦春馬さん。悲劇から半年以上が経った今も、その理由は不確かなままだ。このたび、春馬さんの実母が春馬さんを苦しめていたという“心の病”と「所属事務所」をめぐる不信感について語った。

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 彼女が訴えるのは、愛息の知られざる異変と所属事務所への不信感だった。

「私と春馬は、よその親子では考えられないくらい一心同体でした。たぶん、春馬も私がいない生活は考えられなかったと思うの。それなのに、あの子のことを周りの大人たちが囲ってしまい……。私と春馬の関係性を所属事務所は消したかったのよ。言いたいことは本当にたくさんあるの。でも言ったって春馬は帰ってこない。悔しくたって、悲しくたって、何したって息子は帰ってこない……」

 春馬さんは実母と数年にわたって音信不通だったと報じられているが、それについてはどう答えるか。

「本当に連絡が取れなくなったのは、5年ほど前からなの。理由は春馬の心身の状態がよくなかったのね。私や再婚相手の男性、そして所属事務所であるアミューズとの関係で揉めていたし、いろいろな悪いことが春馬の精神や体に重なっていった。タイミングが悪かったんだと思う。具合が悪くなったきっかけは、2014年に『僕のいた時間』っていうドラマに出演した際、役作りのために短い期間ですごく体重を落としたことだと思うの。10キロぐらい一気に減量したんです。その時の無理がたたって、酸素が脳に行き渡らなくなってしまい、一過性の鬱状態みたいになってしまったのよ」

「能面のようになって」

 たしかに春馬さんはこのドラマで筋萎縮性側索硬化症(ALS)を患う若者の役を演じている。当時の彼は、運動して減量すると筋肉が目立ってしまうとの考えから、食事制限のみで自分を追い込んだというエピソードが残っている。

 そんな彼は、翌年に公開された映画「進撃の巨人」で主人公に抜擢されたが、症状は悪化の一途を辿っていたと実母が振り返る。

「撮影現場へはマネージャーだけのサポートでは入れなくて、春馬の友人たちに付き添われてなんとか撮影をこなしていました。本当にヘトヘトになって撮り終えた。その後はしばらくお休みを貰ってはいたみたいだけど、もう春馬は自分の頭では何も考えられなくなっていた。言われたことをまるで機械みたいにこなすようになってしまってね。本当に抜け殻のようになってしまったのよ。仕事以外では笑顔も消えて、能面のようになって……」

「春馬が亡くなった原因は…」

 彼は内なる葛藤を抱え続けていたという。

「お医者様に診て貰えばよかったのに、多分、精神科とかに行ってしまったら、それはもう俳優・三浦春馬としてのイメージに傷がついてしまう。そういう気持ちが彼の中で強かったんだと思う。春馬はとてもストイックな性格だから、周りがいろいろと助けようとしても心配をかけまいとしちゃうの。だから、あの子の中には吐き出せない気持ちがずーっと、7年前からあったんだと思う。結局、その時の病気がずっと治っていなかったんだと私は思っている。亡くなった原因も、それが大きかったんじゃないかと……」

 実母はこうも言う。

「春馬が亡くなった一番の原因は、私がそばについていられなかったこと。そこがもう、凄く後悔しています。たとえ何があったって、私が命をかけて守れなかったことは確か。そこはすごく悔しい。春馬が精神的に不安定になる前まで、私は週の前半は地元の茨城で保育士の仕事をこなし、残りの半分は春馬のいる東京のマンションへ行っていた。お掃除をしたり、洗濯したり、ご飯を作ってあげたりね。春馬は私がいなきゃ生きていけない。私も春馬がいないと生きていけない。そういう関係性だったの」

事務所の思惑

 ところが、愛しき我が子との蜜月は絶たれてしまったと実母は訴えるのだ。

「あの子の具合が悪くても、なんとか心身を健康にして働かせたいっていう所属事務所の思惑があったんでしょう。それで周りの大人たちが、春馬を囲い込むような形で私と連絡は取らせないという判断をしたんだと思う。それで春馬の携帯電話の番号が変えられ、私は連絡が取れなくなってしまった。本当に蚊帳の外っていう状況だったのよ」

 だが、「音信不通」の背景には実母との金銭トラブルがあったとも報じられており、携帯番号の変更は春馬さん本人の意志でもあったのではないか。その点を実母に問うと、

「春馬とお金で揉めたということはなかったけど、6年前に私が再婚相手と離婚した際にトラブルがあった。継父が、自分の家の名義を春馬に変えて贈与しようとして揉めたのね。そんなの貰っても税金はかかるし春馬は困るじゃない。それで春馬は継父と仲が悪くなって養子縁組を解消してしまったの。そういった様子をみて、私や継父とかかわると悪影響が及ぶと事務所が判断して、遠ざけられたんだと思う。春馬は精神的に不安定で体調も悪いし、継父とも揉めて、しんどくても仕事を入れてくる所属事務所の思惑もあったしで、本当にゴチャゴチャしていたのよ」

「周りの大人たちに囲われて…」

 実母の訴えた内容について所属事務所のアミューズに聞くと、

「マネージメントの詳細、およびアーティストのプライベートに関する個別の質問には一切お答えしておりません。当社は、常にアーティストの心身の状態を考慮したマネージメント体制をとっており、仕事・プライベートにかかわらずアーティスト本人の意思を鑑みず指示、強要するようなことはございません」

 最後に母親はこう話す。

「繰り返すけどね、私と春馬の間にはなんの問題もなかったの。でも周りの大人たちが囲って、囲って、囲ってしまい……。それを事務所にもどれだけ訴えたか。なんで囲われたかって、それは仕事に励んでほしいからでしょ。そういうふうに彼らはしたの。春馬も本当は私に会いたいけど、会いたいって言えなかった。連絡を取りたかったけど取れなかった。それを言ったらまた周りに騒がれるから。彼には意地もあったでしょうし。私も春馬の舞台のチケットを買って観に行ったりもしたけれど、楽屋に行くだけの踏ん切りがつかなかった。今となっては後悔しているの。私は春馬から連絡が来るのを待っていた。いつかは分かってもらえる時が来るだろうと思って、待っていた。それがこういう形になって……。最期の顔を見ることはできました。それは春馬の調子が悪くなる前の穏やかな顔、優しい顔のままでした」

 無言の帰宅をした息子の遺骨とひとつ屋根の下、実母は自問自答を繰り返す日々を送っている。

相談窓口
・日本いのちの電話連盟
電話 0570・783・556(午前10時〜午後10時)
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・よりそいホットライン(一般社団法人 社会的包摂サポートセンター)
電話 0120-279-338(24時間対応。岩手県・宮城県・福島県からは末尾が226)
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・厚生労働省「こころの健康相談統一ダイヤル」やSNS相談
電話0570・064・556(対応時間は自治体により異なる)
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・いのち支える相談窓口一覧(都道府県・政令指定都市別の相談窓口一覧)
https://jssc.ncnp.go.jp/soudan.php

「週刊新潮」2021年2月25日号 掲載