東京ではとうとう、一日当たりの新型コロナ感染者が4000人を超えた。東京五輪期間中とはいえ、緊急事態宣言は延長され、相変わらず在宅勤務、リモートワークが推奨されている。ところが、テレビ局の場合、完全なリモートは難しい。その影響で信じられない事態が起きている。

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 社員を会社に出社させず、リモートで仕事をする……昨年来、推奨されてきたおかげで、今後もリモートでも仕事ができると判断した企業は少なくない。とくに地方に本社を置く企業の中には、東京のオフィスを縮小したり、契約解除するところも現れている。わざわざ家賃の高い東京にオフィスを設ける必要はないというわけだ。

 テレビ業界でもそれは同様だ。ローカル局は、東京キー局が持つビルなどにオフィスを構えるところが多いが、東京で番組を作ることもないローカル局は、東京オフィスを無駄と見なすようになってきたという。業界関係者が言う。

「ローカル局の東京オフィスは、広報が主な仕事ということが少なくない。それであれば、地元からでもできると考えるようになったようです」

 だが、東京のキー局はそうはいかない。

社員を本社に戻したら……

「報道や情報番組のコメンテーターならリモート出演も可能ですが、現場のスタッフはそうはいきません。ドラマもバラエティもリモートワークで番組制作は不可能です」

 だからといって、広告費が減少する今、無駄は少しでも省くしかない。

「例えばテレビ朝日は、本社の入っている六本木ヒルズの向かいの敷地を買い取って再開発。13年にEXタワーという地下4階、地上17階のビルを建設し、テレビ朝日クリエイトなど同局の関連会社を入居させ、番組制作にかかわるテレ朝の社員や関係者のデスクも置いていました。しかし、いつまで続くか分からないコロナ禍で、テレ朝社員のデスクを置いておくのはもったいないという理由で、今年3月いっぱいで、テレ朝社員たちは本社にデスクを戻したそうです」

 だが、それで一段落とはならなかった。

「もともと本社にデスクを置くスペースがないから、向かいのビルを使っていたわけです。そのデスクが戻るというので何をやったかといえば、共用スペースのフロアを新たに作った。これなら社員はもちろん、制作会社のスタッフがいつ来ても使える仕事場ができたわけですが、東京五輪の開催も決まり、想定していた以上に番組関係者が出社。共用スペースは“密”な状態になりやすくなってしまった。もちろんワクチン接種は行っているんですが、PCR検査で陽性者が増えているそうです。上層部は頭を抱えていると聞きます」

コロナと経費削減の狭間で

 テレ朝ばかりではない。

「放送事業は赤字に転落し、今や本業は不動産屋などと言われるTBSも、本社社屋の“ビッグハット”でコロナ感染者が増えているそうです。やはりテレ朝と同じように共用スペースを作り、誰でもフロアを自由に使えるようにしたために、感染者が出ているそうです」

 テレビ局には社員以外にも、タレントや関係者など様々な人が出入りする。どんなに入り口で体温検査や消毒をしても、感染リスクを抑えることは難しいという。

「厳しいのは日本テレビですね。昨年に続き『24時間テレビ』を無観客で開催するため、コロナ感染リスクの防御策を強化しています」

 史上初の無観客となった昨年は、スタッフ400名以上にPCR検査を実施し、産業医を常駐させるといった対策を取ったことはデイリー新潮も報じた。

「今年はさらに外部との接触を断つようにしています。タレントのマネージャーですら入館できない状態が続いています」

 日テレは自社に共用スペースを作って社員を戻し、空いたスペースをテナント貸しするという考えはないらしい。その点はフジテレビも同様というのだが、

「フジの場合は、共用スペースを作らないのではなく、作れないそうです。フジは今年度の番組制作費が大幅に削減しました。その煽りを受けて、デスクの引っ越し代が出せなくなった。社内のデスクを引っ越すだけでも意外にお金がかかりますからね。さらにフジは、ゴミの回収まで減らしているそうです。そのためなのか、あるいは気のせいなのか、最近、社屋で異臭がするそうです」

デイリー新潮取材班

2021年8月3日 掲載