コロナ禍で撮影が滞った上に、東京五輪という強敵に苦しめられた今夏のドラマ。むろん、だからといって視聴率が取れなかったなどという言い訳は通用しない。評価の高いドラマはしっかり数字を取っていたのだ。そこには、ある共通点があった。

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 夏ドラマは、まだすべての放送が終わったわけではないが、平均視聴率が2桁となるのは以下の5本だ。

 医療モノが2本、警察モノが3本と、いつもとあまり代わり映えがしないような気もする。民放プロデューサーが解説する。

「脚本が重要であるのは大前提として、今シーズンのドラマで明暗を分けたのはキャスティングの妙と言えるでしょう。キムタク(木村拓哉)や佐藤健、綾瀬はるか、米倉涼子といった豪華一点突破はありませんでした。複数の俳優を立てることで視聴者を唸らせたドラマが多い」

 1位の「TOKYO MER〜走る緊急救命室〜」(TBS)は、その最たる例だという。主演の鈴木亮平に加えて、賀来賢人、中条あやみ、菜々緒、城田優といった主役級を揃えた上に、小手伸也、鶴見辰吾というくせ者を散りばめた。医療チームは全くまとまりがないように見えましたが、それを感じさせない脚本になっていました。さらに、ラストにはバラエティMCの佐藤栞里を大胆に起用し、それが不自然に思われなかったのはプロデューサーの慧眼と言っていいでしょう」

 逆境を跳ね返したのも素晴らしいという。

五輪にも負けず

「放送日が日曜ですから、今期はオリンピック、パラリンピックの閉会式に、2度も当たりました。それをものともせずに高視聴率を残したのは、やはり作り手が手を抜かなかったからでしょう。視聴者を舐めてかかれば、しっぺ返しがあります。テレビの勝利の方程式は、今も昔も変わっていません」

 シーズンモノを除くと、2位は交番ドラマの「ハコヅメ〜たたかう!交番女子〜」(日本テレビ)となる。

「シーズンモノで、かつ刑事モノの『緊急取調室 4th SEASON』(テレビ朝日)と『刑事7人 Season7』(同前)とは一線を画したのが『ハコヅメ』でした。戸田恵梨香と永野芽郁という朝ドラヒロインのコンビによる贅沢なキャスティングはもちろん、そこにムロツヨシを絡め、コメディあり、シリアスありのドラマに仕上げた。プロデューサーは、本格連ドラは初めての若手女性プロデューサーの藤森真実。実は彼女は日テレで『しゃべくり007』や『メレンゲの気持ち』の演出ディレクターだったのですが、ドラマをやりたいと転向したんです。このところ日テレでは、『家売るオンナ』(16・19年)の小田玲奈や『あなたの番です』(19年)の鈴間広枝も、同様の道を辿っています。作り手のやる気を感じさせる作品は成功する可能性が高いですね」

 続く「ナイト・ドクター」(フジテレビ)も、朝ドラヒロインの波瑠が主演だった。

火9ドラマの終了

「日曜放送の『TOKYO MER』の翌日に放送される月9『ナイト・ドクター』は、緊急医療モノという共通項がありましたが、6月21日という早めのスタートで成果を上げました。脇を固める田中圭、King & Princeの岸優太、北村匠海のキャスティングも功を奏したと言えるでしょう。月9は『ラジエーションハウス〜放射線科の診断レポート〜』(19年)にはじまり『監察医 朝顔』(19年)で決定的となった脱恋愛路線でうまくいっていますね」

 一方、残念な結果に終わったのが以下のドラマだ。

「『彼女はキレイだった』(フジ)は、関西テレビ制作の“火9”ドラマ枠としては最後の作品となりました。韓国ドラマのリメイクで、Sexy Zoneの中島健人と小芝風花のW主演は、ネット上では全10話中7回の放送で“#彼女はキレイだった”が世界トレンド1位になるなど、若者にはウケていたようです。ですが、前作の『大豆田とわ子と三人の元夫』同様、話題にはなっても視聴率に繋がらないところが残念でしたね」

ワースト1ドラマは

 続いて「家族募集します」(TBS)は、

「正直言って、個人的にはもっともガッカリしたドラマでした。注目の仲野太賀に木村文乃、ジャニーズWESTの重岡大毅と、ちょっと軽いがイキのいい役者を揃えたのですが、数字は今のところ2桁に届く気配はありません。脚本は、コントユニット『ジョビジョバ』のリーダーだったマギーでしたが、プライム帯の時間帯はまだ荷が重かったかもしれません。話題になるエピソードもなく、ありきたりのいい話になってしまいました」

“低視聴率女優”の汚名を返上したい新木優子の「ボクの殺意が恋をした」(日テレ・読売テレビ制作)は、ナントカ最下位にならずに済んだ。最下位は「推しの王子様」(フジ)だ。

「正直言って、気の毒なドラマでしたね。深キョン(深田恭子)の体調不良による降板を受け、急遽代役を務めたのが比嘉愛未。とはいえ、深キョンのドラマは彼女の当て書きと言っていいほど、おとぎ話的ファンタジーですから、そもそも他の女優には無理な話で、キャスティングの妙どころではありませんでした。同じ枠で放送された深キョンの前作『ルパンの娘』(20年)も平均5・7%でしたから、スポンサーに不満はないのかもしれませんがね」

 番外篇としてもう1本あるという。

「テレ朝の『ザ・ハイスクール ヒーローズ』(土曜23時)です。『おっさんずラブ』を生んだ“土曜ナイトドラマ”枠は、1月からジャニーズ所属の若手タレントが主演する“オシドラサタデー”枠に替わったのですが、『ハイスクール』の最終回(9月18日)の視聴率は1・4%でした。誰も知らないワースト1と言っていいでしょう」

デイリー新潮取材班

2021年9月27日 掲載