SMAPの解散から間もなく丸5年。元チーフマネージャー・飯島三智さん(64)と一緒にジャニーズ事務所を出た稲垣吾郎(47)、草彅剛(47)、香取慎吾(44)はNHK、CMには出演するが、民放にはほとんど出ない。1年半前に独立した中居正広(49)はMCとしては人気者であるものの、ドラマとCMがない。一方で同事務所に残った木村拓哉(49)は左うちわ。「格差」はなぜ生まれたのか。

 2016年12月31日にSMAPが解散してから、あと1カ月で丸5年。まずメンバーの現在の仕事を確認しておきたい。

■稲垣吾郎
※テレビ 教養バラエティー「不可避研究中」(NHK)
※ラジオ 「編集長 稲垣吾郎」(文化放送)「THE TRAD」(TOKYO FM)
※CM みずほ銀行「ナンバーズ」、同「LOTO7」、アプリプラットフォーム「Yappli」のサービス提供元「ヤプリ」

■草彅剛
※テレビ 大河ドラマ「青天を衝け」(NHK)、「ブラタモリ」(同)ナレーション
※ラジオ 「ShinTsuyo POWER SPLASH」(bay fm)
※CM みずほ銀行「ナンバーズ」、同「LOTO7」、1本満足バー、スカルプD メディカルミノキ5、エリエール アテント、CAMPFIRE、メルカリ、石綿(アスベスト)健康被害救済制度

■香取慎吾
※テレビ 12月30日放送の太平洋戦争開戦80年特集ドラマ「倫敦ノ山本五十六」(NHK)
※CM みずほ銀行「ナンバーズ」、同「LOTO7」、スカルプD メディカルミノキ5、サントリー天然水 スパークリングレモン、サントリー天然水 Clearレモン、ネットショップ作成サービス「BASE」、サントリー「金麦 ザ・ラガー」、レンズリスト

■中居正広
※テレビ 「ザ!世界仰天ニュース」(日本テレビ)、「中居正広の金曜日のスマイルたちへ」(TBS)、「中居大輔と本田翼と夜な夜なラブ子さん」(同) 、「中居正広のニュースな会」(テレビ朝日)
※ラジオ 「中居正広 ON & ON AIR」(ニッポン放送)

■木村拓哉
※テレビ 来年の元日放送「さんタク」(フジテレビ)
※ラジオ 「木村拓哉 Flow」(TOKYO FM)
※CM キューブ「MARK&LONA」、GYAO!、リョーマゴルフ、セガ、日本マクドナルド、バルクオム「BULK HOMME」、リクルートジョブス「タウンワーク」、ルックスオティカジャパン、大正製薬「リポビタンD」

 随分と差がある。

「飯島さんがチーフマネージャーだったころは5人の仕事量に差が生まれないようにしていた」(SMAPの元所属レコード会社・ビクターエンタテインメント関係者)

 飯島さんの狙いは単純明快。SMAPに限らず、グループ内の仕事量の差は不協和音を生じさせがちだからだ。

 現在の仕事量の特徴は(1)稲垣、草彅、香取はほとんど民放に出られないものの、CMは豊富(2)中居はMC業が順調だが、ドラマもCMもない(3)ジャニーズ事務所に唯一残った木村は順風満帆――。

3人が民放に出られないのはやっぱり…

 順を追って考察したい。まず稲垣、草彅、香取が民放にほとんど出られない理由は、誰もが想像する通り、民放がジャニーズ事務所に忖度しているから。

 飯島さんが故・メリー喜多川名誉会長と反目し、袂を分かつ形で新事務所・CULENを旗揚げしたためである。

 2019年、公正取引委員会がジャニーズ事務所に対し、「(稲垣、草彅、香取が)テレビ局に出られないよう圧力をかけると独禁法に触れる怖れがある」と注意したが、こんなものは無意味だった。公取委はテレビ界を分かっていない。

 ジャニーズ事務所がテレビ局や番組に不満があったら、抱えている人気者たちを出さなければいいのであって、圧力をかける必要などないのだ。
 もしもジャニーズ事務所が「うちのタレントの出演はしばらく遠慮します」と告げられたら、テレビ局は震え上がる。下手をすると番組がつくれなくなってしまう。

 出演させる、させないにまでは公取委も口をだせない。テレビ局側は忖度せざるを得ない。

孫正義氏と飯島氏の関係

 稲垣、草彅、香取のCMが多いのは孫正義・ソフトバンクグループ会長兼社長(64)と飯島さんの信頼関係が影響している。

 孫氏と飯島さんはソフトバンクのCMにSMAPが起用された2009年に出会った。すると孫氏は飯島さんのビジネススタイルや能力に惚れ込み、応援団のような存在になる。

 稲垣の「ヤプリ」、草彅の「メルカリ」、香取の「BASE」と3人にはIT関係のCMが多いが、その起用にはIT界の超大物である孫氏の信頼を飯島氏が勝ち得たことが関係していると見られている。

 3人は一般企業のCMも多い。これは財界人たちも協力した「東京2020パラリンピック」のスペシャルサポーターを務めたことが大きい。

 本来はSMAPの5人で応援サポーターを務めるはずだった。だが、解散によって契約は白紙に。財界人たちは落胆した。
 けれど稲垣、草彅、香取は解散後にあらためてサポーターを買って出た。飯島さんの計算にほかならないだろうが、ビジネスの基本の1つは「約束を守ること」なので、財界人に3人の味方が増えた。

 一方で「なぜ、稲垣、草彅、香取は民放にはほとんど出ないのにNHKにはよく出るの?」という声をよく聞く。その理由も飯島さんの人間関係に尽きる。

 誤解している向きも多いが、NHKという組織の性質は民放とまるで違う。ドラマ部門と音楽番組部門はまったく交流がない。
 だから「歌番組にジャニーズ事務所勢が出なくなったら困るので、3人をドラマに出演させるのは控えよう」といった気遣いは生まれない。NHKドラマには忖度がないのだ。

 その上、飯島さんはNHKドラマ部門とのパイプが太い。

「飯島さんの行動力は凄まじく、SMAPが人気絶頂の時期からNHK内を隅々まで回り、頭を下げまくっていた。それが今、生きている」(前出・ビクターエンタテインメント関係者)

中居がCM零の不思議

 一方、2020年4月にジャニーズ事務所を円満退社し、個人事務所を旗揚げした中居にはドラマもCMもない。ドラマは本人が望んでいないようだが、CMゼロは不思議だ。

「本人が社長を務める小さな個人事務所なので、営業力に問題がある気がする。CMの営業はテレビ番組のそれとは全く異なる。慣れていないと難しい。たとえば広瀬すずさんはドラマ出演の数はそう多いほうではないのに、CMは18本(上半期)も出ている。これは所属芸能プロの会長がCM界出身であることが影響している。中居さんもCM出演が視野にあるのなら、エキスパートを招くべき」(前出・芸能プロ社員)

 順風満帆なのが木村だ。主演ドラマが定期的にあり、CMは9本。本人に人気があるからだが、ジャニーズ事務所内でも手厚く扱われている。

「メリーさんが寵愛し、特別扱いしていた。何事も最優遇。木村さんが事務所を出なかったのもこれが大きい。(今年8月の)メリーさんの他界後も最優遇は変わっていない」(前出・芸能プロ社員)

 芸能人が成功するか否かは、本人の力だけでは決まらない。所属する芸能プロとマネージャーの力も極めて大きい。
 元SMAPの5人はそれを浮き彫りにしている。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年、スポーツニッポン新聞社入社。芸能面などを取材・執筆(放送担当)。2010年退社。週刊誌契約記者を経て、2016年、毎日新聞出版社入社。「サンデー毎日」記者、編集次長を歴任し、2019年4月に退社し独立。

デイリー新潮編集部

2021年11月28日 掲載