現在、冬ドラマの視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区:以下同)ベスト3は、朝ドラ「カムカムエヴリバディ」(NHK)、日曜劇場「日本沈没・希望のひと」(TBS)、そして木曜ドラマ「ドクターX・外科医・大門未知子」(テレビ朝日)だ。世帯視聴率でも、個人視聴率でも、この3本であることに変わりはない。ところが、ネット配信のおかげで、ある異変が起きているようなのだ。

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 若者のテレビ離れといわれて久しい。地上波には目もくれずスマホでYouTubeやTikTokを見ているから、といわれてきた。そのため、テレビ局の広告収入はネットに奪われ、制作費は減るばかりで、視聴率も落ちるという悪循環に陥ったと。ところが、不思議なことに、現在テレビ局のCM収入が伸びているというのだ。

 民放のドラマ関係者は言う。

「あるキー局は12月のCM枠が足らないほど好況だそうです。広告を出す側の企業も、いかに良い枠を取るか奪い合いになっています」

 いったい何が起こっているのだろう。

「地上波の視聴率が落ちていることに変化はありません。好況なのはネットによるドラマ配信です。配信のCM枠が好調なのです」

 しかも、若者向けの地上波ドラマがよく見られているのだという。

「実は、キー局には社外秘のAVOD(アドバタイジング・ビデオ・オン・デマンド)のランキングというものがあるんです。広告を視聴することで番組も視聴できるビデオ・オン・デマンド・サービス、つまり無料で見ることのできる配信番組の視聴ランキングなのですが、この順位が地上波の順位とはまるで違うそうなんです」

 どのように違うのだろう。

配信では“恋バナ”ドラマが人気

「ランキング上位はいずれもドラマですが、若者向けの“恋バナ”ばかりだそうです」

 地上波トップ3の「ドクターX」は5位、「日本沈没」は6位だそうだ。配信の順位はといえば。

「1位は吉高由里子の『最愛』(TBS)、2位は杉咲花の『恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜』(日本テレビ)、3位は清野菜名の『婚姻届に判を捺しただけですが』(TBS)、4位が西島秀俊の『真犯人フラグ』(日テレ)と聞いています」

 人気の順序がまったく違うのだ。

「テレビ離れというより、リアルタイム離れといわれています。若者が放送時間に合わせて、リビングにある大画面のテレビの前にやって来ることはありません。テレビで見る必要もなく、スマホで十分。しかも、自分の都合の良い時間に見られればいいのです。いまやテレビを見るというライフスタイルが変化したのです」

 その影響で、ドラマ配信向けに広告が集まるようになったというわけだ。

「これまでは、配信は記録的な数字なのに、どういうわけか地上波の数字が悪いと悩むプロデューサーもいました。ところが、明らかに視聴者層が異なることがわかったのです。ちなみに、近年、NHKの朝ドラが数字を落としているのも、同様の理由ではないかと見られています」

NHKプラスが視聴率を下げた

 朝ドラが全話平均で20%に届かなくなったのは、昨年後期の「おちょやん」からだ。

「同じ杉咲主演の『恋です!』が配信では2位なのに、『おちょやん』の視聴率は一度も20%を超えることはありませんでした。続く、今年前期の『おかえりモネ』の平均16・3%は、ここ10年で最低でした」

「おかえりモネ」には“りょーちん”ことKing & Princeの永瀬廉がSNSでも大人気だった。にもかかわらず、視聴率は伸び悩んだ。

「ジャニーズファンは配信で見ていたのでしょう。現在放送中の『カムカムエヴリバディ』も“王子”ことSixTONESの松村北斗が人気ですが、これまでの視聴率は『おかえりモネ』よりもさらに低い。25日の放送ではヒロイン・安子(上白石萌音)の父を演じる甲本雅裕が亡くなり、ネット上でも話題になり最高視聴率を記録しましたが、それでも17・2%に過ぎませんでした。本来なら20%超えでもおかしくなかったはずですよ。こちらも配信で見られていると考えられます」

 とはいえ、NHKは元々CMとは無関係だ。

「そこが民放ドラマの配信とは異なります。NHKの場合、これまでもNHKオンデマンドでは、受信料とは別に有料で朝ドラが配信されていましたが、昨年4月からNHKプラスという配信サービスが始まりました。受信料を払っている人なら、過去1週間分の朝ドラが無料で見られるようになったのです。つまり、民放のCM付き配信が無料で見られるのと同じような状況なのです。今や8割以上が受信料を支払っていますから、多くの人が利用しているはずです」

 そのため朝ドラの視聴率も変わったというのだ。

「最近までテレビマンにとってネットは敵でした。ところが今や、“地上波コンテンツで他のネットコンテンツをブチ負かせ!”というまでに勢いづいています。決して地上波が弱かったわけではない、と自信を取り戻しつつあります」

デイリー新潮編集部