7月16日、日本テレビは午後7時から「はじめてのおつかい 真夏の大冒険スペシャル2022」を、一方のTBSは午後2時から「音楽の日2022」を放送した。両番組の“視聴率対決”がテレビ業界で大きな話題になったという。

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 バラエティ番組の制作に携わるベテランスタッフが言う。

「日本テレビの『はじめてのおつかい』は、1991年から放送されている長寿番組です。常に視聴率は2桁という人気番組でもあります。Netflixで過去の放送回が配信されると、世界中で大きな反響を呼んだことが話題になりました。ところが今回、平均視聴率は8・6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区、世帯、リアルタイム:以下同)と落ち込んでしまいました。なんと番組史上初の1桁台という不名誉な記録だったのです」

 なぜ「はじめてのおつかい」が視聴者からそっぽを向かれてしまったのか、原因は「音楽の日」の大健闘だという。

「ビデオリサーチの公式サイトでも紹介されていますが、午後2時からの放送でも平均視聴率は7・3%を記録しました。これが午後7時以降となると、なんと平均10・2%まで上昇したのです。7月16日に放送されたテレビ番組の中でも、かなりの視聴者を惹きつけました」(同・スタッフ)

 実は「音楽の日」は、放送前にアクシデントが多発し、それこそ「果たして無事に放送できるのか」と心配する声すらあったという。

安住・江藤アナの大活躍

「7月12日にはKing Gnuが、13日にはNiziUが、それぞれメンバーに新型コロナ感染者が出たため、出演キャンセルが発表されました。共に人気を誇るグループなので、視聴率への悪影響が取り沙汰されました。更に衝撃的だったのが、オンエア当日の16日、MCを務める中居正広さん(49)が『14日から急性虫垂炎で入院しており、番組の出演を取りやめる』と発表したのです」(同・スタッフ)

 人気グループも欠き、看板のMCも出演できない──番組スタッフが真っ青になったことは想像に難くない。

 そもそもTBSの「音楽の日」は、2011年の東日本大震災が契機となり、「一つになって歌の力でニッポンを元気づける」ことをコンセプトに放送されている。

 中居は当初からMCを務め、制作現場でも中心的な役割を果たしてきた。単なる「司会」が休演するというのではなく、番組の「心臓部」が失われたのと同じだったという。

「16日は『音楽の日』をチェックしていましたが、率直に言って、途中まで中居さんの不在を忘れていました。それだけ安住紳一郎アナ(49)のMCが完璧と言っていい出来栄えでした。更に、急遽出演が決まった江藤愛アナ(36)も、見事に安住アナと息を合わせて番組を進行していました」(同・スタッフ)

MC王・中居正広

 テレビ業界では「安住・江藤アナの安定した番組進行が視聴率上昇に寄与した」と分析されているという。

「『はじめてのおつかい』が敗れてしまった日テレでは、口さがない関係者が『中居さんがいなかったから視聴率が良かったんでしょう』と負け惜しみのようなことを言っていましたが、ひょっとすると一理あるかもしれません。というのは、『番組の主役は歌手やアーティストであり、MCは脇役に過ぎない』という安住・江藤アナの司会進行が、時代の雰囲気とぴったり合っていたような気がしたからです」(同・スタッフ)

 ご存知の通り、これまで中居のMCは高く評価され、人気を誇ってきた。1997年には25歳の若さでNHK「紅白歌合戦」の白組司会に抜擢された。

 98年からは3年連続で、フジテレビの「27時間テレビ」のMCに起用。この番組ではなんと通算8回もMCを担当している。

「“芸能界屈指のMC王”と形容しても大げさではないでしょう。中居さんのMCが人気を博したのは、やんちゃなキャラクターを前面に出し、自分が主導権を握って番組を進行したからです。中居さんの場合、MCは脇役ではなく主役なのです」(同・スタッフ)

相次ぐ打ち切り

 テレビの歴史を紐解けば、中居のように前へ出るタイプのMCは、もちろん以前から存在した。

「久米宏さん(78)、みのもんたさん(77)、小倉智昭さん(75)、古舘伊知郎さん(67)の4人は、いずれもテレビ史に残る名MCでしょう。しかも皆さんは、いずれも自分が前に出るスタイルです」(同・スタッフ)

 ところが昨今、こうした“前に出る”MCは、どんどん数を減らしているのだという。

「どうやら最近の視聴者は、“自分が主役”というタイプのMCを求めなくなっているようです。例えばジャニーズ事務所の場合、今は櫻井翔さん(40)や相葉雅紀さん(39)がMCとして活躍していますが、2人とも“自分が主役”というタイプのMCではありません」(同・スタッフ)

 中居のMCは時代と合っていない──この指摘を裏付けるかのように、中居の冠番組は視聴率が下がり、打ち切りが相次いでいる。デイリー新潮も5月20日、「中居正広に訪れた試練 『金スマ』低迷にTBSが頭をかかえる本当の理由」の記事を掲載した。

「金スマ」の視聴率低迷

 デイリー新潮の記事から、《民放関係者》のコメントを再掲しよう。言及されているのは「中居正広の金曜日のスマイルたちへ」(TBS系列・金・20時57分)の視聴率だ。

《「実は、『金スマ』は今年に入ってから低視聴率が続いています。月1回ペースで放送されているスペシャルで見ると、1月14日の2時間は7・8%、2月25日の2時間は7・0%、3月11日の3時間は5・5%、4月8日の2時間は6・8%、そして先日の4・8%と、確実に数字を落としています。レギュラー放送も4%台から7%台と、決して良くはないのです」》

 他の番組も、打ち切りが相次いでいるという。

《「独立時のレギュラーだった『新・日本男児と中居』(日テレ)は、21年3月に終了しました。『中居くん決めて!』(TBS)は、20年7月に独立後初のレギュラーとして『中居大輔と本田翼と夜な夜なラブ子さん』に変わりましたが、今年3月で終わりました。つまり年1本のペースで、レギュラーを失っていることになります」》

日テレでも不振

「中居さんは特にTBSと深い関係を結んできました。何しろ『金スマ』は往時、20%を超える視聴率を記録していました。その名残が『UTAGE!』で、今も不定期放送が続いています。一方、中居さん不振の象徴とも言える番組は『中居大輔と本田翼と夜な夜なラブ子さん』でしょう。中居さんに宮川大輔さん(49)と本田翼さん(30)という人気者3人がキャスティングされたにもかかわらず、足かけ3年間で2%台の視聴率と低迷を続けました」(同・スタッフ)

 今やテレビ業界で、「中居さんのMCでは数字が取れない」は“定説”になりつつあるという。

「日本テレビなら『中井正広のブラックバラエティ』(2004〜13年)の放送期が絶頂期だったでしょう。その後は『ナカイの窓』(2012〜19年)、『新・日本男児と中居』(2019〜21年)と打ち切りが続いています。特番シリーズの『中居正広の○番勝負!超一流アスリートVS芸能人どっちが勝つの?SP』も最近は視聴率が7%台と低迷しており、今後も制作が続くのか疑問視する声もあります」(同・スタッフ)

鍵は“名伯楽”

 あれだけ人気を誇った中居が、このままジリ貧を続けていくのか──。

「中居さん復活のヒントになるかもしれないのが、日テレの『ザ!世界仰天ニュース』(火・21時)は依然として好調だということです。その理由は、一緒にMCを務める笑福亭鶴瓶さん(70)の“聴く力”でしょう。鶴瓶さんがMCのTBSの『A-Studio+』(金・23時)も、視聴者の人気を集めています。出演者に寄り添うスタイルが鶴瓶さんの真骨頂です」(同・スタッフ)

 中居の“自分が主役”というMCのスタイルは、時代と合っていないかもしれない。ならば、鶴瓶や安住アナの“自分は脇役”というスタイルを盗めば、“再生”が可能かもしれない──。

「中居さんは8月18日で50歳になります。タモリさん(76)やビートたけしさん(75)に比べればまだまだ若い。時代に合ったMCにアップデートすることが求められていますし、中居さんなら可能でしょう。心配な点があるとすれば、ジャニーズ事務所を退社したことです。周囲の手厚いサポートがなくなりましたし、番組が打ち切られやすい環境にもなってしまいました」(同・スタッフ)

 何より足りないのが、中居にとっての“名伯楽”だという。念のために意味を書き添えておけば、「人物を見抜き、その能力を引き出し育てるのがじょうずな人」(デジタル大辞泉)となる。

デイリー新潮編集部