朝ドラ「ちむどんどん」(NHK)が変な形で盛り上がりをみせている。ネット上では“#ちむどんどん反省会”があちこちで開催され、今日の放送は何がいけなかったのかが議論されているほどだ。それほどまでに評判が悪いのはなぜなのか。

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「ちむどんどん」は、9月末の最終回まで残りひと月余りとなった。最近の視聴率(ビデオリサーチ調べ・関東地区・世帯)は15%台が続いており、史上最低ペースをひた走っている。なので、ご覧になっていない方も少なくないだろう。

 ドラマは沖縄の本土復帰50年を記念し、沖縄本島北部の“やんばる”を舞台にスタートした。NHKの発表では、《ふるさと沖縄の料理に夢をかけたヒロインと、支えあう兄妹たち。/“朝ドラ”第106作は個性豊かな沖縄四兄妹の、本土復帰からの歩みを描く/笑って泣ける朗らかな、50年の物語》ということだった。民放プロデューサーは言う。

「NHKとしては本土復帰50年に加え、沖縄出身の注目女優・黒島結菜(25)をヒロイン・暢子に据えた段階で、視聴率はもらった気になっていたかもしれません」

 暢子の母・優子にはやはり沖縄出身の仲間由紀恵(42)、姉・良子には長崎出身の川口春奈(27)、妹・歌子には鹿児島出身の上白石萌歌(22)と、沖縄・九州勢で固めたのも期待された。

「ところがフタを開けてみると、ストーリーが雑すぎるという声がすぐに上がりました。キャラ設定も極端で、沖縄の男性はダメ男ばかり。沖縄出身者からは、あそこまでダメ男ばかりじゃないという声も聞きます。中でも竜星涼(29)が演じる暢子の兄(ニーニー)・賢秀は反省しない極めつきのダメ男でした。竜星がいい役者なだけに残念です」

 朝ドラの直後に放送される「あさイチ」名物の“朝ドラ受け”も減った。

もう観てない

 8月に入ると、前参議院議員の礒崎陽輔氏までTwitterでこう呟いた。

《#ちむどんどん 芸能評論は控えていますが、この番組に多くの意見を頂いています。俳優の皆さんは立派に演じられていますが、脚本の論理性が崩壊しています。私自身沖縄振興の関係者として残念であり、既に手後れかもしれませんがNHKは猛省する必要があります。》(8月14日付)

 政治家が口を挟むことじゃない、という意見もあるが、朝ドラにこんな声が出ること自体が異例である。一般視聴者の声となるとさらに辛辣だ。

《ネットとかみない、いつも朝ドラみてる両親が、結婚うんぬんのとこでアホらし〜と思ってみるのやめたわ。と言っていて、ちむどんどんやるなぁと思った...長年の朝ドラファンを離れさすとは》

《暢子がお店を出すにあたって困難を乗り越えさせたいのはわかるが、、にーにーがマルチにはまるエピソードいらないし、石川家が海外旅行を諦めてお金を送るエピソードもいらない。今週はこれのおかげで、ただ不快な気持ちになっただけ。制作側はよく考えてほしい》

《脚本家さん、幼少期を書き終えた辺りから(いや、途中から)体調を悪くされたのではないか?/具合悪い中必死に書き上げてるのではないかと、結構本気で心配してる。》

《嫌気差しすぎてもう全く観てないが皆さんのTweetで内容を知れる/こういうふうに盛り上がるのが制作者の意図だったのでしょう/実はガッツポーズしてるんじゃないの?》

残酷な披露宴

 前出のプロデューサーが続ける。

「さすがにスタッフも頭を抱えているでしょう。前作『カムカムエヴリバディ』はかなり評判が良かったですし、視聴率にそれほど恵まれなかった『おちょやん』(20年後期)や『おかえりモネ』(21年前期)だって、ここまでひどくはありませんでした」

 具体的にはどこがマズかったのか。

「最近で言えば、やはり暢子と和彦(宮沢氷魚)の披露宴でしょう。沖縄にいた頃からずっと思いを寄せていた智(前田公輝)を振って、暢子は和彦との結婚を決めるのですが、沖縄から東京まで妹の歌子を送り届けた智は、無理やり会場に担ぎ込まれた挙げ句、スピーチまでさせられました」

 ネット上には“残酷”との声が上がり、“朝ドラ史上最も感動しない結婚式”“地獄絵図”と報じたネットニュースもあったほどだ。

「その披露宴で、暢子は突然、『沖縄料理店をやりたい』と言い出しました。披露宴の会場は、上京以来、働いてきたイタリアンレストランです。出席者には、彼女が下宿している沖縄料理店の店主もいる。あまりに無神経な披露宴でした」

 暢子は早速、沖縄料理店の開業のため物件探しを始める。ようやく決まりかけたところに登場するのが、ニーニーである。

「これまでも、まともに働かず一攫千金ばかり夢に見てきたニーニーですが、今度はネズミ講の手先となって登場しました」

視聴者の神経を逆なで

 それをやめさせようとニーニーの会社に飛び込んだ暢子たちは、契約解除料として開店準備資金の200万円をあっさり手渡してしまう。

「夫で新聞記者の和彦は、直前にニーニーの会社に手入れがあるという情報を聞いていました。にもかかわらず、その場にいて何もしなかった」

 8月18日の放送では、ニーニーが父(大森南朋)との思い出を振り返った。やんばるの共同売店のレジからお金を盗んだというニーニーに対し、父はこう言う。

父:お前は悪くない。悪いことはしたけど、お前は悪い人間じゃない。お前が悪いとしたら、それは父ちゃんのせいさ……。

「子育てに失敗したとしか言いようがありません。これまで母の仲間が甘やかしていると思っていましたが、父の大森も相当なものでした」

 父の言葉を思い出したニーニーが宣言する。

ニーニー:俺は今度こそ心を入れ替えて地道に働く。何年かかっても、暢子の200万、必ず倍にして返すから!

「性懲りもなく、また倍にして返すです。しかも暢子たちが失った200万円は、姉夫婦が海外旅行のために貯めていた200万円をあげる、ということであっさり解決してしまいました。これまでもそうでしたが、あまりにご都合主義が過ぎます」

 そして19日の放送では、ネズミ講の会社に新聞記者がいたことを週刊誌にすっぱ抜かれ、和彦は退職するハメに。さらに暢子はつわりの兆し……今度は妊娠か? 何だかかつてのジェットコースタードラマのような慌ただしい展開だ。

「スタッフに『こうすりゃ視聴者は面白がって観てくれるに違いない』という思い上がりがあるとしか思えません。それが善良な視聴者の神経を逆なでしているのです。朝ドラはヒロインが夢に向かってまっすぐに突っ走るドラマですが、そこには人の心に寄り添える優しさと共感、そして視聴者が応援したくなる弱さを見せる場面がなければなりません。『ちむどんどん』にはそれが感じられないのです」

デイリー新潮編集部