師走の声が聞こえてくると、秋ドラマもいよいよ終盤だ。夏ドラマに比べ、今期は豊作という声が少なくない。ちょっと早いが、業界のプロに作品賞と俳優賞を選んでもらった。

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 評判がいいドラマといえば、「ザ・トラベルナース」(テレビ朝日・木曜21時)、「silent」(フジテレビ・木曜22時)、「エルピス―希望、あるいは災い―」(同・関西テレビ制作・月曜22時)の3本だろう。

 デイリー新潮もこの3作品についてはたびたび報じてきた。

●「ドクターX」ファンも大満足 新BIG3と言われ始めた「ザ・トラベルナース」の楽しみ方(11月3日配信)

●「silent」はZ世代対応“スマホドラマ” 部屋に独りで籠もって泣ける“意外な工夫”とは(11月10日配信)

●長澤まさみ「エルピス」にテレビマンが注目する理由 「いたたまれなくなった」との声も(10月31日配信)

 民放プロデューサーは言う。

「3本とも脚本が素晴らしいと思います。まず『トラベルナース』は、同じテレ朝で『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』を書いた中園ミホさんの脚本。『水戸黄門』の勧善懲悪と『木枯し紋次郎』のニヒルさを織り交ぜて、視聴率を取るべくエンターテインメントの道をまっしぐらに突き進んでいます」

 視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯:以下同)は12%台と、2クールで放送予定の『相棒』season21(テレ朝)を除けば、今期のドラマでナンバー1である。

最優秀作品賞

「一方、『silent』の生方美久さんは初めて連ドラの脚本を手掛ける29歳の新人。『エルピス』の渡辺あやさんは朝ドラ『カーネーション』(NHK・2011年度下期)などで実績のあるベテランですが、民放の連ドラは初めて。2人とも古い慣習にとらわれず、自分の感性でのびのび書いているのが共感を呼んでいるのだと思います」

 最優秀作品賞となると?

「数字は7%台とそれほどでもないのですが、やはり見逃し配信の再生数で史上最高を記録している『silent』でしょう。テレビで観られなくとも、スマホで視聴数を稼ぐという新たなドラマ作りで実績を残した功績は大きい」

 続いて主演俳優部門だ。今期はジャニーズ事務所のタレントが主演するドラマが多い。それについてもデイリー新潮は、「10月期ドラマ ジャニーズ主演はなんと7本 一方で正念場を迎えるベテランも」(10月8日配信)で報じていた。

「ジャニーズの主演ドラマは、揃って苦戦していますね。Hey! Say! JUMPの山田涼介の『親愛なる僕へ殺意をこめて』(フジ・水曜22時)は、11月23日放送の第8話で民放プライム帯の連ドラでは今世紀最低といわれる視聴率2・5%を記録しました。これを筆頭に、King & Princeからの脱退を発表した平野紫耀の『クロサギ』(TBS・金曜22時)、Kis-My-Ft2の玉森裕太の『祈りのカルテ 研修医の謎解き診察記録』(日本テレビ・土曜22時)も低調です。木村拓哉を超えるような存在はなかなか出てきません。唯一、Snow Manの目黒蓮だけが『silent』で株を上げ、現在放送中の朝ドラ『舞いあがれ!』(NHK)にも参戦しました。一人勝ちの状態ですね」

 とはいえ、目黒は主演ではない。ジャニーズ以外の俳優はどうだろうか。

注目された女優

「日曜劇場『アトムの童』(TBS・日曜21時)の山崎賢人、月9『PICU 小児集中治療室』(フジ・月曜21時)の吉沢亮もパッとしません。『トラベルナース』の中井貴一がベテランの演技で楽しませ、『エルピス』の鈴木亮平もいい味を出していますが、彼らも主演ではない。となると、視聴率でトップの『トラベルナース』の岡田将生が最優秀男優賞でしょうか」

 女優はどうだろうか。

「夏ドラマの女優陣は、『競争の番人』(フジ)の杏や、『石子と羽男―そんなコトで訴えます?―』(TBS)の有村架純、『魔法のリノベ』(フジ・関西テレビ制作)の波瑠、『オールドルーキー』(TBS)の芳根京子など、かなり豪華でした。それに比べると、今期は『エルピス』の長澤まさみを除けば、女優陣はやや小粒感があります。その中で人気を確立したのが、『silent』の川口春奈でしょう。彼女の大きな目、キリッとした丸顔も、スマホで観るのに適した美しい顔なのだと思います」

 他に注目の女優は?

「『ファーストペンギン!』(日テレ・水曜22)の奈緒は、GP(ゴールデン・プライム)帯の連ドラ初主演ながら健闘しています。彼女も川口と同じ丸顔小顔で、ドラマでもアップが多い。威勢よく啖呵を切ったかと思えば、悲しみに打ちひしがれる声の良さに惚れ惚れします。一方、朝ドラ『おかえりモネ』(NHK・2021年度上期)では表情に変化がないといわれた清原果耶ですが、『霊媒探偵・城塚翡翠』(日テレ・日曜22時30分)では評価を上げています。視聴率的には恵まれていないものの、第4話では川口を上回る長セリフを披露し、業界でも驚きの声が上がりました。ドラマは全5話でいったん終了し、11月20日から『invert 城塚翡翠 倒叙集』と名を変えた続編がスタートしました。1クールに2ドラマという新たな試みも注目されています」

残念賞

 最優秀主演女優賞は?

「やはり『エルピス』で迫真の演技が光る長澤でしょう。大女優への道を走り始めました。清原は月9や日曜劇場の座も近いと思います」

 残念賞となると?

「『君の花になる』(TBS・火曜22時)の本田翼ですね。11月22日放送の第6話の視聴率は4・6%に。『逃げるは恥だが役に立つ』(2016年10月期)や『義母と娘のブルース』(2018年7月期)など、高視聴率ドラマを生み続けてきた火曜ドラマ枠ですが、『君の花になる』は平均でも5%を切りそうです」

 CM女王のGP帯連ドラ初主演だったが、彼女の演技はSNSで酷評されている。

「やはりCMやTikTokの尺で光る女優ということでしょう。短い時間で動き回り、めまぐるしく変わるニコニコ顔が彼女の最大のウリですから、連ドラの60分は彼女には長すぎる。いわば、100メートル走のウサイン・ボルトがマラソンを走るようなものです」

デイリー新潮編集部