「スマホ使用で思春期の脳が壊れていく」 脳トレ開発者の警告は黙殺された!

「スマホ使用で思春期の脳が壊れていく」 脳トレ開発者の警告は黙殺された!

「スマホ」が危ない! 高齢者と子どもを蝕む「脳の病」(1/2)

 茹(う)だるような夏、子どもたちはクーラーの利く部屋でスマートフォンの虜になってはいなかったか。中学生の2人に1人が持つ「スマホ」が実は「脳の病」を招くという。高齢者をはじめ大人にも決して無縁ではないこの病気。斯界の専門家による最新の処方箋をお届けする。

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 現代人の“魔法の小箱”といえる「スマホ」は、普及し始めてからまだ10年弱。数多(あまた)の恩恵を被れど、そのデメリットについて我々はどこまで知っているだろうか。

 実は過度な使用が脳への負担となり、深刻な「スマホ認知症」を引き起こすことは「働き盛り世代を襲う『スマホ認知症』の恐怖」「スマホを捨てよ、旅へ出よう! SNSを“断食”する『デジタルデトックス』のすすめ」記事でお伝えしたとおり。おさらいすれば、「スマホ」から日々膨大な量の情報が脳に入ることで、記憶中枢にオーバーフローが生じ、いわゆる「脳過労」となって情報の処理能力が低下した結果、日常生活で「もの忘れ」や「うっかりミス」が多発。脳がそのまま侵され続ければ、やがてうつ病を招いた挙句、本物の認知症に至るというのだ。

 そのリスクは、アルツハイマー型認知症の発症率が高い高齢者ほど高まるが、今回注目するのは心身共に未発達の状態にある子どもたちへの影響である。

 夏休みで我が子や孫を塾や予備校に通わせる機会も増えようが、せっかく高い受講料を払っても、その効果がスマホによって台無しになる恐れもあるのだ。

使うアプリの数が多いほど…

 それが決して大袈裟でないことは、掲載のグラフを見れば明白である。これらは宮城県仙台市で、スマホを所有する小学校5年生から中学3年生までの児童・生徒を対象に、追跡調査した結果をまとめたもの。結論から言えば、勉強中にスマホを使えば使うほど、彼らの学力は低下してしまったのだ。

「大人が安直に、子どもたちにスマホを使わせるのは、罪でしかありません」

 と話すのは、東北大学加齢医学研究所の川島隆太所長。ニンテンドーDSの「脳トレ」監修者としても知られる川島氏は、仙台市教育委員会との9年にも及ぶ追跡調査で、スマホが子どもの脳に与える影響を分析した。

「スマホを使う子どもの成績が悪いと聞けば、勉強しなくなったり睡眠不足になるからだ、と思われるかもしれませんが、それは違います。いくら勉強しても、きちんと睡眠時間をとっても、スマホを使う子の学力は上がらない。長時間使えば使うほど、脳の発達そのものに悪影響を及ぼすことが分かってきました」(同)

 一旦スマホを手にすれば、これまでの努力は水の泡になると川島氏は続ける。

「1日の睡眠時間が平均7〜8時間、家庭での勉強時間が3時間以上という生徒で比較してみたところ、スマホ使用が1日1時間未満だった子どもたちの偏差値が57・2だったのに対し、1時間以上使うグループは52・6でした。他方、家庭での勉強時間が30分未満でも、スマホ使用が1時間未満という子どもたちは偏差値が50を超えたのです」

 せっかく勉強に3時間以上費やしても、スマホを長く使ったら学習時間が30分未満の生徒と同じ成績になってしまうのだ。

 特に悪影響を及ぼすのは、SNSの「LINE」や、「動画」「ゲーム」などのアプリだという。掲載のグラフを見て欲しい。勉強中に使うアプリの数が多いほど、偏差値が下がるのが一目瞭然。恐ろしいのは、平日の学習時間が2時間以上のグループと、30分未満しか勉強しないグループとの比較である。

 使うアプリの数が増えるのに比例して、両者の偏差値は45前後まで低下するのだ。

「アプリについては、LINEなどのSNSが要注意です。メッセージのやり取りを行うことで人と繋がり合う、同時双方向性のあるものを長時間使うのはよろしくない。勉強したくても、できるような状態に脳がならないのです。心理学者たちは、SNSをひっきりなしに使ってしまうことで脳がマルチタスキング(複数の物事を同時に行うこと)となり、集中力が途切れてしまうと指摘しています」

「脳の発達が止まった」

 川島氏は、より憂慮すべき子どもの脳の実態を明かしてくれた。

「平均年齢約11歳の224名を、3年間追跡調査したところ、頻繁にスマホでネットを使う習慣のある子どもたちの、脳の発達が止まっていたことが分かりました。例えば、調査を始めた時に小学校6年生だった生徒なら、中学2年生になっても頭の中は小学生のままだったということです。小学生がいきなり中学校の授業を受けても理解できず、成績が良くならないのはあたり前でしょう」

 掲載図は、子どもたちの脳をMRIで解析した画像と、脳部位の発達的増加を表すグラフである。ネットを毎日のように使った子どもは、脳の「灰白質」や「白質」と呼ばれる部位の容積が増加していないことが判明した。

「『灰白質』とは、大脳や小脳の神経細胞層。大脳は思考や記憶、小脳は運動の制御を司っています。発達期にあるはずの子どもの『灰白質』が増えていないとなれば、脳の中であらゆる命令を出す神経細胞そのものが発達していないことになります。『白質』は、神経線維といって、神経細胞から情報を送る電線のようなもの。これが増えなければ、脳の神経細胞を繋ぐ電線が発達せずネットワークが劣化してしまいます。スマホの長時間使用における学力低下の原因は、脳の未発達であることがハッキリしたんです」(同)

 この分析結果を川島氏が脳画像研究の米学術誌「Human Brain Mapping」に投稿したところ、従来にない研究成果として採択された。昨年7月には東北大のプレスリリースとして発表したが、新聞やテレビが大々的に報じることはなかった。

「もの凄く深刻な結果なのに、メディアの方々に黙殺されてしまいました。日本以外では非常に有名なデータなので、スマホ関連の業界に遠慮したのではと勘繰られても仕方ない。現在は東北大の学生を対象に、まったく同じ調査を行っていますが、大人でもスマホを使いすぎると白質量の劣化が進むことが分かってきた。論文を作成中なので具体的なデータをお見せできる段階ではありませんが、子どもたちへの調査における結果が、我々大人にもあてはまる可能性が高いのです」(同)

「週刊新潮」2019年8月15・22日号 掲載


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