医師でタレントの西川史子(52)が脳出血を再発させていたと「女性セブン」(12月14日号)が報じた。彼女が最初に脳出血を発症したのは2021年8月。あれから2年、そんなに再発しやすい病なのだろうか。

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 過去に脳出血を発症した有名人は、俳優の塩見三省、夫婦漫才・大助花子の宮川大助、歌手の内藤やす子などがいるが、いずれもリハビリ後に仕事に復帰している。だが、西川のように再発するケースはあまり聞かない気がする。

 山王メディカルセンターの脳血管センター長で東京女子医科大学名誉教授の内山真一郎医師に聞いた。

「脳出血の再発は珍しくありません。最も多い再発の原因は高血圧です。脳出血を起こした人は脳の血管がもろくなっていますから、血圧管理を怠ると再び出血することは十分あり得ます。西川さんの場合、まだお若いですし、太っているわけでもない。しかも、ご自身もドクターです。ただし、彼女のSNSを見ると、コレステロールとか血糖についての言及はありますが、なぜか血圧についての書き込みは見当たらない。私が診断したわけではないのでこれは想像ですが、彼女の脳出血には高血圧以外の特殊な要因が関係していたのかもしれません。例えば、脳血管の奇形などの可能性も考えられます」

 50代で脳出血の発症といえば若いほうだ。

脳卒中のひとつが脳出血

「50代前半だと若年性脳卒中と呼ばれます。脳の血管障害により突然、半身不随や言語障害などの症状が起こる病気の総称が、いわゆる脳卒中です。脳卒中には脳梗塞や脳出血、くも膜下出血が含まれますが、日本では脳卒中の4分の3を脳梗塞が占め、残りを脳出血とくも膜下出血が占めています。くも膜下出血の場合は50代くらいから発症しますが、脳梗塞と脳出血は高齢になるほど血管が老化するので起こりやすくなります。多くは70代以上です。そして脳梗塞も、脳出血と同じくらいの割合で再発します」

 再発した場合、後遺症は重くなるのだろうか。

「出血や梗塞が脳のどの位置で、どのくらいの大きさで起こったかによって症状は変わってきます。脳幹出血の場合は1度の発症で亡くなってしまうこともあります。再発により後遺症が重くなるというよりも、1回目の発作で後遺症が残り、2回目の発作で新たな後遺症が加わることで重症化するわけです。何度も再発することで寝たきりになってしまう危険性もあります」

 内山医師は、脳梗塞を発症した読売ジャイアンツの終身名誉監督・長嶋茂雄氏の主治医として知られる。脳梗塞と脳出血はどう違うのだろう。

「脳梗塞は脳の血管が詰まって脳の一部に血液が供給されなくなるために起こる病気です。脳出血は日本では“高血圧性脳出血”と呼ばれるように、高血圧によって脳の血管が破れて脳内に出血する病気です。血の塊が脳を圧迫することで起こります。くも膜下出血は脳の血管にできたこぶが破裂して頭蓋骨と脳の間に出血し、脳を圧迫する病気です。昔は脳出血のことを脳溢血と呼んでいて、日本では脳梗塞よりも多かった。最近は血圧の管理が良くなったため脳出血が減り、逆に食生活の欧米化により糖尿病や高脂血症の危険性が高まったため脳梗塞が増えています。もっとも、欧米では脳卒中のうち9割を脳梗塞が占めますが、日本はまだそこまでに至っていません」

脳卒中の予防には

 脳梗塞は血液ドロドロというイメージだろうか。

「まあ、そう考えてもらってもいいでしょう。その血液ドロドロの予防、血管の血栓症や閉塞を予防するために抗血小板薬や抗凝固薬といった薬を飲んでいる人は、脳出血を起こしやすい。最近は特に、抗血栓薬による脳出血が増えています」

 脳梗塞の予防で飲んだ薬で脳出血に?

「そうです。また、コレストロールが低くなりすぎると、血管がもろくなって脳出血の原因となることもあります」

 どういうタイプが発症しやすいのだろうか。

「脳卒中の最大の危険因子は高血圧です。脳梗塞の場合は糖尿病や高脂血症も危険因子となりますが、脳出血の危険因子にはなりません。脳出血の危険因子になるものとしては、大量の飲酒があります。お酒の飲み過ぎで肝臓を悪くすると血小板が減るため、血液が凝固されにくくなり、出血を起こしやすくなることがあります。また、喫煙は血管を詰まりやすくさせ、もろくもさせます。そのため動脈瘤の破裂も起こりやすくなります」

 予防法としては何があるのだろう。

「脳出血は血圧の管理が非常に重要です。正常な血圧は130−80未満です。それを超えるようでしたら食事の塩分制限で血圧を下げ、それでも不十分なら血圧を下げる薬を飲まないといけません。脳梗塞まで広げるなら、糖尿病や高脂血症、肥満やメタボの対策も必要になります」

 先生ご自身で気をつけていることは?

「僕は血圧が高いので塩分には気をつけていますし、血圧の薬も飲んでいます。後は肥満にならないようにカロリーや脂肪の取りすぎにも気をつけています。大それた運動はしていませんが、ウォーキングとストレッチくらいはやっています。そして睡眠は十分に取る。タバコはもともと吸いませんし、お酒はなるべく週末だけ、飲んでも1合くらいに止めています」

 そうした生活で予防できるのは、脳卒中だけではないという。

「脳卒中の危険因子は、ほとんど認知症の危険因子と同じなのです。高血圧、糖尿病、高脂血症、喫煙、大量飲酒、メタボ、慢性腎臓病……全部が両方の危険因子です。生活習慣で是正できるものをきちんと管理すれば、脳卒中のみならず認知症も予防できるのです」

デイリー新潮編集部