2月25日、日本大学がこの時点での入学志願者数を発表した。4年制大学(夜間部を含まず)の累計は7万5131人。昨年(最終数)の9万8057人から実に2万2926人も減少した。

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 日大といえば日本一学生数が多い大学として知られる。かつての志願者数は延べ10万人は当たり前だったが、今年は7万人台に。しかも、日東駒専(日大、東洋大、駒澤大、専修大)の中では、東洋大学を下回ったという。大学受験誌の編集者に聞いた。

「日東駒専の中で東洋大は、昨年より志願者が1万人ほど増えて9万人台となり、10万人に手が届きそうな状況です。駒澤大は前年比102%で約3万人、専修大は同じく113%で4万人台の一方、日大は2万人以上も減らしました。東洋大の一人勝ち、日大の一人負けと言っていいでしょう」

 日大が志願者を減らしたのは想像できる。2018年にはアメリカンフットボール部による悪質タックル事件、21年には医学部附属病院の建て替えを巡る背任事件で田中英壽前理事長が脱税で逮捕。さらに、昨年8月に始まったアメフト部の薬物事件で大学のイメージは大きく損なわれた。

「確かにそれが大きな要因でしょうね。ただ、22年の入学志願者は前年度より4000人ほど減って9万3345人でしたが、昨年は10万人に届きそうなまでに回復しました。今回、2万を超える受験生が減ったのは、ある意味、事件と言っていいでしょう」

 今回だけ大幅に減ったのはなぜだろう。

文系の受験生が激減

「やはりタイミングが悪かったと思います。薬物事件が発覚した昨年8月以来、副学長が警察に通報するまで薬物を保管していたなど新たな疑惑が次々と発覚し、出願直前まで報道されていましたから、大学のイメージが下がったということでしょう」

 2月26日には、廃部となったアメフト部の元部員など6人が新たに送検されている。

「とはいえ、日大の全学部が志願者を減らしたわけではありません。芸術学部、いわゆる日芸は前年比103%、理工学部は101%、生産工学部は105%、医学部は128%と、主に理系学部は増えています。減っているのは文系学部です」

 なぜ文系が減っているのだろう。

「そこには東洋大の躍進が関係していると思われます。東洋大はスポーツ分野での活躍などで大学のイメージをアップさせたのと同時に、近県に移転させたキャンパスを再び都内に戻すなどの改革に努めてきました。その結果、08年には5万人だった志願者数を徐々に増やしてきたのです。そのため、同じ文系学部を受験するのなら日大よりも東洋大を選ぶ受験生が増えています。一方、医学部は東洋大にはありませんし、日芸は日大独自のブランド力がありますから、今回の問題とは関係なく志願者を増やしているのだと見ています」

交付金は3年連続なし

 大学にとって受験料(医学部などを除く一般入試で3万5000円)は大きな収入源だ。それが2万人分も減ると、単純計算で7億円である。また、不祥事が続いた日大は、21年度から昨年度まで3年連続で、文部科学省が配布する私学助成金が全額不交付となっている。

「20年度は約90億円が交付されましたが、おそらく今年も無理ではないでしょうか。私学助成金は全額不交付になると、原則、翌年度も不交付となり、運営が改善したと認められれば、減額率が75%、50%、25%と毎年縮小され、5年後に満額に戻る仕組みです。日大の場合、これまで数々の問題を生じさせた大学の体質が未だ改善された様子は見られず、東洋大のような改革も難しい状況です」

 受験料の減少に加え年間90億円の交付金も入らないとなれば、経営問題にも発展しかねないのではないか。

「そうですね。ただ、日大にはかなりの内部留保もあるでしょうし、これ以上、問題が長引かなければ、来年度には志願者数も回復すると思います。いずれ交付金も復活するでしょう。今は手足が縛られて動きたくとも動けない状況ですから」

 どう動くというのだろう。

「新たな学部を作ることなどが挙げられますが、文科省に認めてもらわなくてはなりません。今のところ日大が設置した最後の新学部は、16年の危機管理学部というブラックジョークのような話がありますが、日大にはすでにありとあらゆる学部があるので、なかなか大変かもしれません」

 東洋大の高笑いが聞こえてくる。

デイリー新潮編集部