特別後見人は加藤住吉会特別相談役

 今年5月、福岡県久留米市に本拠を置く道仁会4代目の小林哲治会長が引退してカタギとなり、5代目体制へ移行したことを機に跡目継承の盃事が行われた。小林会長は九州4社会の一角を占める5代目工藤會の会長にも直接報告したとされるが、その中身とは?

 跡目継承の盃事が行われたのは5月27日のこと。挨拶回りと称して関東にも出向いたようだ。住吉会、稲川会、松葉会、そして九州4社会(5代目工藤會、太州会、熊本會、道仁会)にも挨拶を済ませたという。

 今回の継承盃については特別後見人を13代目幸平一家総長の加藤英幸住吉会特別相談役が、取持人を篠塚信之5代目道仁会特別相談役が務めた。特別推薦人には全国の親分衆が名を連ねたが、6代目山口組、神戸山口組、池田組、絆會、そして2代目宅見組なども推薦人から漏れていたとされる。小林4代目は盃事が終了した後、すみやかに会場をあとにしたという。

田上会長のいる拘置所へ

 先ほどあげた特別推薦人には5代目工藤會の田上文雄会長の名もあった。市民を襲撃した4つの事件で殺人などの罪に問われて2審でも無期懲役の判決を言い渡されている人物だ。小林4代目は代替わりの件について直接報告すべく、福岡拘置所まで出向き田上会長を訪ねたとされる。

「この時、田上会長の後継についての話になり、後藤靖理事長だというふうに報告を受けたそうです。もちろんそれは世の中には確定情報として広まっていた話ではありますが」

 と、元山口組系義竜会会長の竹垣悟氏(現在は、NPO法人「五仁會」を主宰)。

 工藤會において野村悟総裁をトップとするなら、田上会長がナンバー2、後藤理事長はナンバー3ということになる。田上会長と後藤理事長は昨年末に養子縁組を申請していることがテレビ西日本の報道で明らかになった。現時点でこれは受理されていないようだが、結びつきの強さがよくわかるエピソードではある。

 後藤理事長は福岡県内に本部を置く田中組6代目組長で、同3代目と4代目はそれぞれ野村総裁、田上会長。後藤理事長が田上会長の後継となることは工藤會の保守本流の継承でもあると見られている。

後藤理事長と野村総裁ファミリーとの関係

 後藤理事長は野村悟総裁ファミリーとの関係の深さが取り沙汰され、後継となることについて組織内では好意的に受け止められている部分が大きいようだ。が、当局からは野村総裁の影響力が残された傀儡(かいらい)政権ではないかとの指摘も当然あがっているという。

「野村総裁と田上会長は共に2審で無期懲役判決を受けており、このまま判決が覆らなければ生きて社会の土を踏むことはありません。その意味で影響力はそれほどではないと見なしうるのですが、田上会長と後藤理事長とが親子関係になろうとしていることも、捜査当局としては警戒を強めざるを得ないという状況のようです」

 と、社会部デスク。

「会長が引退について同業者の会長に報告に出向いたところ、自分の後継者は理事長だと聞かされた」とまとめてしまうとビジネスシーンの話のようになるのだが、事の推移に当局も警戒の度合いを強めているようである。

デイリー新潮編集部