マイナンバーカード(以下マイナカード)の申請件数が6303万に達したと寺田稔総務大臣が明らかにしたのは8月23日のこと。全人口の50.1%である。

 一方で、現場では妙なことが起きているという。総務省担当の記者によると、

「マイナカードの申請率に対して交付率は約47%です。なぜこのような“差”があるのかというと、受け取りに行くのが面倒になって、交付期限の過ぎたカードが廃棄されてしまう件数が増えているからです」

 マイナカードは、役所に出向いて身分証を見せればすぐ交付されるわけではない。「第一関門」は、多くの自治体が予約制にしていることだ。

「混雑回避のためという理由ですが、顔の確認などに相応の時間がかかるのです。また、交付の際には6〜16文字の英数字パスワードのほか、4ケタ数字の3種類の暗証番号を用紙に記入する必要があります。暗証番号を覚えられない人もいて、受け取りに30分近くかかることも」(同)

個人情報流出を疑う人も

 これだけでも面倒臭そうだが、関門はまだある。

「15歳未満の子供は親権者が同行しなくてはいけないので、子供がいる家は、家族全員の予定を調整し総出で役所に行くことになってしまうケースもあります」(同)

 そこで総務省に聞くと、

「予約制にしている自治体が多いのは、それがスムーズにカードを受け取れるとの判断からです。暗証番号については、4ケタ数字のほうは同じ番号でかまわないので、実質2種類を記憶するだけでいい。交付率が上がらないのは、コロナで外出が減ったことが大きいと考えています」(マイナンバー制度支援室)

 政府は、9月末までに申請し健康保険証や銀行口座と紐づけすれば最大2万円分のポイントをさしあげますと普及に躍起である。だが、ITジャーナリストの井上トシユキ氏は言うのだ。

「7年前、日本年金機構が125万件以上の個人情報を漏洩させた事件がありました。マイナカードによる具体的なメリットを浸透させられないままポイントを配っても、今度は病歴やクレジット情報を抜かれるのではと疑っている人も少なくないのでしょう」

 申請率が5割に到達したというが、つまり国民の半分はまだ申請していないのである。

「週刊新潮」2022年9月29日号 掲載