3年ぶりにおこなわれた式典

 天皇皇后両陛下をはじめ皇室の方々の護衛や、皇居などの警備を担当するのが、警察庁の付属機関である皇宮警察本部だ。職員は、皇宮護衛官、警察庁事務官及び警察庁技官で構成され、身分はいずれも国家公務員。

「創立以来、皇室守護を目的とした国家機関で、大きな使命と伝統を持つ機関です」(皇宮警察本部HPより)

「女王陛下の007」ならぬ「天皇陛下の警察官」といったところだろうか。

 その任務から、当然、それなりの品位や皇室への敬意が求められるというのは常識のはず。しかし近年、こうした常識を覆すようなエピソードが漏れ伝わってきている。

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 1月20日、皇居・東御苑で行われた「皇宮警察本部年頭視閲式」は、その皇宮警察が宮内庁長官や警察庁長官などに雄姿を見せる、いわば内輪の恒例行事だ。

 今回は天皇皇后両陛下が臨席されたことで、いつになく張り詰めた空気に包まれたそうだが、その裏で、皇宮警察の度が過ぎた「不敬行為」が新たに発覚したのだ。

 なお、この「皇宮警察本部年頭視閲式」は、コロナ禍の影響で3年振りの開催。

 皇宮警察の恒例行事なのだが、実は天皇陛下が臨席するのは異例中の異例のことだという。

皇宮警察との間に生じた“深い溝”

「陛下は、皇太子になられる以前の1986年に出席されたことがありますが、天皇のご臨席はこの行事が始まって以来ありません。陛下は日頃の努力をねぎらわれ、感謝の意から臨席されたと、宮内庁は発表しました。もちろん、それもおありでしょうが、皇宮警察との間に生じた深い溝を埋めるためだったのではないでしょうか」

 と解説するのは宮内庁担当記者。

 皇宮警察との間に生じた“深い溝”とは、昨年「週刊新潮」が報じた皇宮警察組織内で相次いでいる不祥事が関係している。

 具体的には、護衛対象である皇族に対し、日常的に聞くに堪えない陰口をたたく、警察本部内で飲酒の末にボヤ騒ぎを起こす、などといった問題行動のことで、いずれも皇室への敬意がまるで感じられない、組織としてあるまじき姿である。

愛子さまへの不敬発言

 それら不敬行為の中心人物の一人に、皇宮警察の幹部が関わっており、いまなおその立場にいるというから驚きを禁じ得ない。

 それが「皇宮警察本部年頭視閲式」で皇宮警察旗に向かって右側に立っていた「山口孝幸護衛部長」その人である。

 壇上の松本裕之本部長の式辞に耳を澄ます部隊ににらみを利かせている彼には、こともあろうに愛子さまに対する悪口まで口にしていた過去があるというのだ。

「以前、山口が赤坂護衛署の副署長を務めていた時のことです。当時、愛子内親王殿下は学習院初等科に通学されており、我々は往復の際の護衛配置に就いていました。ただ、愛子内親王殿下は時間にアバウトなところがおありで、40〜50分の遅刻もよくありました。その際、あまりに遅くていら立ったのか、山口は私の目の前で侮蔑的な呼び名を口にしていました」

 とは、皇宮警察関係者の証言である。

新たに発覚した不敬行為

 そして今回、新たに発覚したのが、即位の礼で用いられた玉座・高御座(たかみくら)に座って写真を撮るという悪ふざけが皇宮警察内で常態化していた、という驚きの不祥事だ。

 さらには、御用邸にある陛下専用の寝室のベッドに横たわり、部下に記念撮影をさせた人物がいたという証言まで飛び出している。

 かつて面従腹背がモットーだと言ってのけた官僚もいたが、はたして皇宮警察においてもそれは許容されるのか。寝室で撮影などは、友人知人の間柄でも勝手にやったら問題になる。日本国の象徴、日本国民統合の象徴に対して、不敬と言われても仕方がないだろう。

「大きな使命」を担っているにもかかわらず、やっていることは、回転寿司屋でバカな動画を撮影する今時の「バカッター」と変わらない。

 そんな彼らとの「深い溝」を埋めようという天皇陛下のお心遣いが伝わればいいのだが……。

 2月2日発売の「週刊新潮」では、大幹部である護衛部長らが口にしていた雅子皇后への侮辱的な陰口の中身や、皇族に関する根拠のないうわさが吹聴されていた事件など、皇室への敬意も職務への忠誠心や緊張感もまったく感じられない数々の振る舞いを報じている。

「週刊新潮」2022年2月9日号 掲載