女性9人と自宅で“ハーレム生活”を送っていた74歳の自称・占い師の男が逮捕された。容疑は10代の女性に性的暴行を加えようとした準強制性交未遂だが、実は17年前にも女性に対する脅迫容疑で逮捕され、有罪判決を受けた過去を持つ。懲りないどころか、当時といまもやっていることはまったく同じ。過去の取材記録を紐解くと、煩悩にまみれた男の唖然とする実像が浮かび上がってくる。

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 2月7日、午前6時過ぎ。警視庁の捜査員が都内・東大和市にある渋谷博仁容疑者の自宅を訪れると、渋谷は捜査員6人に催涙スプレーを吹きかけるなど抵抗。公務執行妨害で現行犯逮捕された。

 ほどなく共犯の千秋容疑者(43)とともに準強制性交未遂容疑でも逮捕されているが、その犯行は稚拙で卑劣極まりないものだった。

「昨年12月、千秋容疑者がバイト先のショッピングセンターで働く10代の知人女性に“いい占い師がいる”と声をかけたことに始まります。疑うことなく女性が自宅を訪れると、現れた渋谷容疑者がUFOの映像を見せ、“宇宙人に連れ去られて、皮を剥いで食べられる”などと長時間にわたって脅し、“回避するには私と関係を持つしかない”と言って暴行に及ぼうとした」(社会部記者)

 渋谷は女性に「警察に話したら助けられなくなる」と口止めしたが、家族の説得もあって女性が警視庁に相談し、事件は発覚。早朝の逮捕劇へとつながった。

17年前には11人の女性と同居

 これまで「離婚当日に別の女性との婚姻届を出すなど、不自然な結婚と離婚を繰り返してきた」(同)という渋谷。逮捕時は自宅で40代から70代の女性9人と暮らしていたというが、17年前には11人の女性と同居生活を送っていた。

 当時、事件を詳報した『週刊新潮』(06年2月9日号)は、この「ハーレム男」についてこう記した。

〈昭和23年に生まれた渋谷は、拓殖大学商学部貿易学科を卒業し、昭和49年に最初の妻(59)と結婚。長女(30)と長男(24)をもうけたが、25年の結婚生活の末に、平成11年、離婚している〉(※年齢は当時のもの)

 渋谷は大学卒業後、自宅で建築関係の仕事をしたり、赤帽の宅配などをやっていたというが、離婚後しばらくして、一人で住む東大和の自宅に若い女性の出入りが確認されるようになった。

「女にモテる薬をつくってる」

 当時の取材データには、近隣住民が目にした異様な光景が記されている。

〈20代の若い女性5〜6人と連れ立って歩いているところを見た〉〈女性は皆、ミニスカートと踵の高いサンダルを履いていた〉〈女の人を囲っている、怪しい、変な人だと評判になっていた〉

 他にも、渋谷は周囲に「女を口説く呪文を発明した」「女にモテる薬をつくっている」「私は物心がつく前に宇宙人にインプラント(異物注入)されているんですよ。だから私には特別な能力がある」などと語り、聞く者を困惑させていたという。

 06年の事件も、今回の一件を彷彿とさせるものだった。

〈専門学校に通う若い女性に対して、この家での同居を求め、「ここを出て行けば、肉を割かれてミンチにされる」「他人にここでのことを話すと、殺されたり、事故に遭う」「私は自衛隊の元幹部で、まわりにはスパイがいる」と、脅迫したというものである〉(『週刊新潮』同号)

 “呪文”も“モテる薬”も使う機会はなかったらしい。脅迫容疑での逮捕直後、渋谷は「夢のなかに出てきた話をしただけ」などと容疑を否認したが、その後の取り調べでは一転して認め、「本気にするとは思わなかった」と供述した。

 17年間、色と欲に支配された生活を変わらず続けていた「ハーレム男」には厳罰こそ相応しい。

デイリー新潮編集部