自民党役員人事と内閣改造に取り組む岸田文雄総理が、近く衆院解散に踏み切るとの見方が強まっている。

「いまだに解散の予兆は消えていませんよ」

 と言うのは自民党幹部。

「最近も総理は9月末を期限としていたガソリンをはじめ、電気やガス料金への補助を10月以降も継続すると表明しましたね。この時期に選挙ウケするような施策に言及したのは、いかにも怪しい。直後の山口那津男代表との会談で自公関係が修復され、東京での選挙協力が復活していますし」

 一時は岸田総理が今月下旬で検討していたとされる、内閣改造が早まったことも“解散説”を後押しする。

「これで10月22日が投開票日の衆参2補選に合わせた衆院選がやりやすくなった。総理は来月中旬に、旧統一教会への解散命令を東京地裁に請求する予定です。安倍晋三元総理の死に関係するなど、多くの問題を抱える教団に厳しい姿勢を示し、選挙戦の追い風にする腹積もりです」

 内閣支持率は下げ止まりの気配とはいえ、いまだ30%前後を推移。“危険水域”に変わりはなく、議席を減らすリスクも決して低くはない。

維新の台頭

 政治部デスクが引き取る。

「岸田総理の理想は、解散せずに来年秋の自民党総裁選を迎え、そこで無投票再選を果たすシナリオ。が、この冬以降は“異次元の少子化対策”のための社会保険料の引き上げをはじめ、防衛増税といった国民負担に直結する政策が目白押し。支持率の上昇など到底見込めず、総理としてはこれらに手を付ける前に選挙を済ませておきたい」

 加えて、日本維新の会の台頭も見逃せない。

「最近の総理は、自民党と支持層が重なる維新の足音も気にしている。与野党は昨夏の参院選で比例票を削られた上、4月の統一地方選や7月の仙台市議選でも議席を奪われた。だから、維新の選挙準備の進捗を注視しているんです」

 岸田総理の背中を押すのはこれにとどまらない。

 在阪の与党関係者が言う。

「岸田さんの本当の狙いは、衆院選後に維新を取り込むことにある。選挙後なら、維新は自公維の連立交渉に応じる構えだからです。晴れて3党連立が実現すれば、与党は維新に議席を奪われることがなくなり、憲法改正への道筋だって開けます」

「政権を取るなんて、考えてない」

 与党には維新ではなく国民民主との連立話もくすぶるが、

「維新を誘うためのまき餌に過ぎません。選挙前なら野党を支持する労組を分断する意味もあり、国民民主にも多少の利用価値はある。ただ、選挙後にはすぐに用済みとなりますよ」

 当の維新の真意を維新幹部が解説する。

「馬場(伸幸)代表が維新を“第2自民党”と言ったでしょ。ウチは政策も体質も自民党とほぼ同じ。代表の“自民党をピリッとさせる”は口癖なだけ。ガチンコで戦って政権を取るなんて、まったく考えてない」

 先の与党関係者も言う。

「維新は資金不足で開催が危ぶまれる大阪・関西万博に危機感を募らせている。いまになって総理に“国が助けてくれ”と泣きついたのは、失敗すれば、関西を中心とする業界団体に見切りをつけられる可能性が高いから。岸田総理が馬場さんに“万博担当大臣”でもチラつかせたら、維新はあっさり連立に加わりますよ」

“改革政党”が看板倒れになりそうな永田町・秋の陣。

「週刊新潮」2023年9月21日号 掲載