まるで「リクルート事件」の再来かのように、政界を揺るがしている「派閥パーティー問題」。売り捌いたパーティー券の収入を政治資金収支報告書に記載せず、裏金化してきた中で、その額が突出しているのが清和会(安倍派)だ。12月8日の朝日新聞は1面で、松野博一官房長官に1000万円超のキックバックがあったと報じ、永田町に衝撃が走った。その清和会内部では“ポストとカネ”を巡って不協和音が渦巻いていて……。

 ***

5人衆のおかげでポストがない

「派閥にいるメリットというのは“ポストとカネ”と言われますよね。でも、清和会はその二つのメリットを享受できない派閥になってしまったようです」

 と、語るのは清和会のベテラン秘書である。

「まずポストについては、安倍派は所属議員が100人近くおり、ほかの派閥に比べて、ただでさえ人数が多く、大臣、副大臣、政務官のまわってくる順番が同期で差がついてしまう。特に大臣は他派閥に比べてもポストが回ってくるのが遅いのです」

 清和会所属議員によれば、

「その原因は森喜朗さんが重用する“5人衆”ですよ。あの5人のおかげで待機組に大臣ポストがなかなか回ってこないのです」

 清和会の5人衆とは、松野博一官房長官、萩生田光一政調会長、高木毅国対委員長、西村康稔経産相、世耕弘成参院幹事長、である。安倍晋三元総理が亡くなった後、主を失った同派について、森氏は5人衆での集団指導体制を進言していたこともあった。また、この5人を要職で起用するよう、岸田文雄総理に求めてもいた。

 そのため、現在は政権の要となるポストをこの5人が占めている。

「清和会はほかの派閥に比べて大臣が回ってくるタイミングは一回り遅いと言われています。それは5人衆が我先に、とポストを奪いにくるからです」

昨年入閣すべきだった

 具体的には、

「西村さんは昨年、派閥の事務総長なのに、経産大臣に就任しました。派閥の事務総長ですから、本来なら、自分が汗をかいて派閥所属の議員にポストを差配すべきところを、自分が真っ先に重要閣僚になってしまったものだから、派内で失笑を買っていました。西村さんはこの数年、大臣を歴任しており、そのことで清和会の貴重な大臣枠が埋まり、下の世代に大臣の枠が回ってこない。この前、入閣した農水大臣の宮下一郎さんなんかは、昨年の段階で入閣していなければおかしいんですよ」

 また、5人衆の一人で現在は清和会の事務総長である高木氏も、

「高木さんはかねて、国対委員長としての手腕が疑問視されており、昨年は立憲民主党の安住淳国対委員長との関係が悪化し、党内でも強く批判されていました。そのため、昨年の一時には、茂木敏充幹事長が交代を画策したこともあった。後任として麻生派のベテラン議員の名前まで上がっていたんです。そこで、今夏の党役員人事で高木さんが交代させられそうになると、国対委員長の留任を本人が激しく主張したと聞いています。“5人衆の中で俺だけ外すのか”と」

 そのため派内の雰囲気は悪くなるばかりで、

「森さんは5人衆にポストを回せと主張していますけど、そうすればそうするほど、中堅若手の不満は溜まっていくばかり。森さんは派閥の結束が考えるなら、むしろ5人を要職から外すとか、いまやっていることと逆のことをしないといけないんです」

 そして、そこへきて今回のパー券問題が直撃した。

1期生60万円、4期生120万円

 先のベテラン秘書が語る。

「正直、派閥の会費5万円を払いながら、派閥に属する金銭面のメリットといえば、パー券くらいですよね。清和会の場合、衆院1期生で60万円、4期生で120万円、閣僚経験者になると400万円以上、というのがノルマになっています。ですから、ノルマを超過して販売するには、ノルマの低い中堅・若手の方が有利なんですね」

 ただ、派閥のパー券を売り捌くにはそれなりの労力がいるという。

「支援者の中には“先生のパー券は買うけど、派閥のはちょっと…”という方が結構います。比較的大きな企業になると、パー券を買うルールも決めていて、そう簡単には買ってくれません。実際には、個人事業主やオーナー企業の小さい会社が買ってくれるのですが、そうした人脈を政治家になってから築くのは容易ではありません。そのため、議員になる前に、事業をやっていたり、全国に広がるような人脈を築いている人の方が、パー券捌きは上手な印象があります」

 しかし、今回の一件で自民党の派閥パーティーは当面自粛することに。

「新しい派閥の会長に衆目の一致する人はいないし、ポストとカネのメリットがなければ、正直清和会に所属する意味はありません。いま、こんな事態になって、派内ではノルマを超過して売っていた事務所はかなり焦っています。販売力のない事務所は高みの見物といった感じです。そもそも清和会は安倍さんへのシンパシーで入会している人も多いから、こんなことになってしまったら、この派閥にいる意味があるのか、と考える議員も増えてくると思います」

デイリー新潮編集部