毎日新聞や朝日新聞などの調査で過去最低の支持率を記録した岸田内閣。その足を引っ張る人物が総理の間近にいた。総理秘書官の山本高義氏(52)。昨年来、銀座の高級クラブに通いつめているのだが、その「飲み代」は秘書官の給与で賄えるレベルを超えており……。

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 コロナ禍が明け、かつてのにぎわいを取り戻した東京・銀座の高級クラブ街。その一画、銀座8丁目にある雑居ビルから一人の中年男性が出てきたのは、1月27日深夜1時前のことだった。黒っぽい色のスーツ、コートに身を包んだ男性は後ろで手を組み、彼より若そうに見える同行者と共にゆったりと歩を進める。その足取りはしっかりしており、酒に酔っているような素振りもない。二人はそのまま、銀座国際ホテルの方面へと歩いていった。

 彼が特筆すべき肩書を持たない名もなき一般人であれば、何ということはない銀座の夜の一光景に過ぎないだろう。

「席代のみで7〜8万円」

 しかし、彼は一般人ではなく、特筆すべき肩書もある。男の名は、山本高義。岸田文雄総理(66)の総理秘書官である。

 官邸の中枢で総理を支えなければならない人物がなぜ、銀座のネオン街をうろついているのか。

「われわれは“山本センセイ”と呼んでいるんですが……。このところ、頻繁に銀座へ出られています。同じ店に足しげく通われているようですね。同行の方がいることもありますが、お一人のことも多いです」(銀座のクラブ関係者)

 山本氏がひいきにしているのは、冒頭で触れた雑居ビルに入っている高級クラブ。ここでは仮に「クラブA」としておこう。オープンから比較的日が浅い、中規模のクラブである。

「Aは高級店の部類に入るので、初回1人で訪れてウイスキーのボトルを入れると席代込みで12万〜15万円くらい。山本センセイは『山崎』のボトルを入れていて、毎回、席代のみの“素飲み”ですが、それでも7万〜8万円くらいはする。それをクレジットカードや現金で払う。あまりにも頻繁に通っているので去年秋ごろには“総理秘書官の給料だけでここまで通いつめられるのは不自然”とうわさになっていました」(同)

 しかも、一人で飲むことも多いというから、クラブ通いの目的は「情報収集」や「人脈作り」などではないのだろう。

「山本センセイのAでの担当はリエさん(仮名)というホステスで、相当入れ込んでいるようですね。リエさんは40歳前後くらいで、若いころの大原麗子に似ています。山本センセイとは、リエさんが以前勤めていたお店からの関係らしいと聞きました」(同)

「岸田を総理にしたい」が口癖

 山本氏は岸田総理の地元、広島の出身。広島市にある私立崇徳高校から明治大学文学部に進み、

〈大学4年生の時、初当選を果たしたばかりの岸田の事務所でアルバイトとして働き始めた。卒業後も事務所で働くことを選び、政策秘書や外務大臣秘書官として29年間にわたり岸田を一番近くで支えてきた〉(2021年12月15日のNHKニュースより)

 愛称は「山ちゃん」で、

「岸田を総理にしたい」

 が口癖だったという山本氏。

〈学生時代は円盤投げの選手として鳴らした〉(同)

 というだけあって、大柄な体格である。

 政治ジャーナリストの泉宏氏が言う。

「今、岸田内閣に8人いる総理秘書官のうち、政務秘書官を務めているのが元経産次官の嶋田隆さんと、山本さん。嶋田さんは、仕事はできる人ですが、メインの担当は政策など。他の省庁出身の秘書官も当然事務方なので、地元の頼み事の処理や政治資金を管理する金庫番としての役割は山本さんが一手に引き受けることになります。もちろん総理としては息子の翔太郎君と並んで一番信用できる人物なのだと思います」

番記者に“出禁にするぞ”

 政治ジャーナリストの青山和弘氏もこう話す。

「山本さんは昔ながらの番頭秘書というイメージ。古くから岸田事務所にいて、パーティー券を売りさばき、政治資金集めを担ってきました。総理に密着取材するためには彼の了承がないとまず実現しません」

 実際、さる政治部記者はこんな話を明かす。

「岸田さんのインタビューや、その人物像を取り上げる記事で、岸田さんが良く書かれていないと、山本さんはネチネチ怒ります。ある社が岸田さんのインタビュー記事を出した時も記事の内容が気に入らず、番記者を議員会館に呼びつけて“なんだこれは”“出禁にするぞ”とプレッシャーをかけてきたといいます」

 とにかく、「岸田愛」だけは筋金入り。そんな山本氏は21年10月、岸田政権が誕生すると、総理秘書官に就任した。

 先の泉氏によると、

「岸田政権が発足した時、山本さんの処遇をどうするのかが話題になりました。最初から翔太郎君を秘書官にすることもできたのでしょうが、山本さんになったのは、長年岸田さんを支えてきたことへのお礼であり、箔付けの意味があるといわれています」

ひと月の支払いは数十万円か

 息子の翔太郎氏が総理秘書官に就任し、山本氏が岸田事務所に復帰したのは、政権発足からちょうど1年がたった22年10月のことだった。しかし、その約8カ月後の23年6月、翔太郎氏が総理秘書官を辞職、山本氏がその座に返り咲く事態となった。きっかけの一つは、翔太郎氏が外遊先で公用車に乗って観光に興じていた事実を本誌(「週刊新潮」)が報じたこと。その上、首相公邸で親族と忘年会を開き、公務スペースで写真撮影までしていたことが発覚し、岸田総理は翔太郎氏を事実上更迭せざるを得なくなったのだ。

「22年10月から23年6月までの間は総理秘書官を降ろされて腐っていたのか、『クラブA』に入り浸っていたようです」

 と、先の銀座のクラブ関係者が明かす。

「『クラブA』のリエさんにご執心の山本センセイは23年3月には週2、3回のペースで来店して、うち4、5回は同伴しています。大抵はお一人で来店するのですが、3月上旬にはお客さんと2人で来て、その後3日連続で同じお客さんと来店、なんていうこともありました」

 週に2、3回のペースで通えば、ひと月の支払額は数十万円に上ることになる。さらに同伴だけではなく、「クラブA」が閉店した後、リエさんらホステスを「アフター」に連れ出すこともしばしばだという。

「アフターのお店は決まって並木通りのすし屋。クラブへの『出勤率』の高さについて山本センセイは“総理秘書官でなくなったらヒマでね”とか“外遊に同行しましょうか、と総理に言ったら、キミは日本にいて事務所を頼むと言われちゃった”などと冗談めかして話していました」(同)

裏金問題も関係なく来店

 23年6月に総理秘書官に返り咲き、同年9月に内閣改造が行われる頃まではさすがに忙しかったのか、山本氏の大きな体躯が銀座で見かけられることはなくなっていたという。しかし、

「10月からはまた連続して来店するようになりました。例えば10月23日に来店したのを皮切りに、数日おきに『出勤』しています。自民党の派閥の『裏金問題』が世の中を騒がせるようになった12月も何回か来ていますし、年が明けた後の今年1月や2月にも来店しています」(同)

 ここまで山本氏を“狂わせる”「クラブA」のリエさんについて、

「大抵、ホステスは40近いと着物を着ることが多いのですが、彼女はドレス姿で胸の谷間があらわになるような派手な格好です」

 と、「クラブA」の元ホステスは語る。

「月の売り上げはそこまでではなく、売れっ子やナンバーワンでは決してない。私も一度、山本センセイの席についたことがありますが、その時は現金払い。私は彼が一人の姿しか見たことがありませんから、業者に接待されている、ということではなく、単にリエさんにドはまりしているのではないでしょうか」

 リエさん本人に電話で取材を申し込んだが、

「お客様のことはお話しできませんので……」

 と言うだけだった。

本人がついた「ウソ」

 ここは山本氏ご本人に聞くしかあるまい。都内の自宅から妻らしき女性と二人で出てきたところで声をかけると、

「ああ、何があったの?」

“政治のことを聞きにきたのかな”というような、余裕のある対応である。しかし、「銀座」という語を口にした瞬間、顔がこわばり、動揺した様子を見せた。

――銀座で飲み歩いているという話があるが?

「お答えする必要はない」

――「クラブA」という店名、ご記憶にない?

「(少し驚いたような表情で)あー……お答えするつもりはありません」

――リエさんという女性、ご存じない?

「ちょっと勘弁して下さい。やめて下さい。はい」

――支払いはどのようにしている?

「いや、だから、お答えしません!」

――自民党の「裏金事件」などで大変な時にも飲み歩いていた?

「行ってません。行ってません」

――行ってない?

「はい」

 その後はこちらの質問にほとんど答えないまま車に乗り込んでしまった。そこで、しばらく後に携帯電話に連絡すると、本人が出た。

――本当に「行ってない」でよろしいか?

「だからそれは、お答えするつもりはありません」

――山本さんの写真を撮影している。このままだとウソをついている形になってしまうが?

「だからね、私は基本的に週刊誌にはお答えいたしません。はい。はい」

――岸田総理はこのことを知らないのか?

「そういったことも含めてお答えしません」

 後日、岸田事務所にも取材を申し込んだが、

「ご質問の秘書官のプライベートについて、事務所は把握していません」

 との文書回答が寄せられたのみ。山本氏の飲み代の出どころは岸田総理の政治資金や、いわゆる官房機密費ではないのか、といった質問に明確に答えなかったのである。

総理秘書官経験者の証言

「総理秘書官の年収は1200万〜1400万円くらい。家族がいて生活費を家に入れなければならないとすると、自分の金で銀座の高級クラブ通いなんて到底無理です」

 過去の内閣で総理秘書官を務めた人物はそう語る。

「そもそも総理秘書官は遊ぶ余裕などないくらい忙しい。能登の震災があり、政治とカネの問題が噴出している今なんて、官邸は最大レベルで緊張しているはず。そんな時に総理秘書官が夜遊びなど、緊張感がなさすぎます。総理や幹事長、官房長官が叱らなければならない、というレベルを超えており、処分の必要を考えなければならない事態です」

 先の青山氏によると、

「能登の震災で自衛隊をどう展開するかといった大事な決定にも、総理秘書官は関わります。そんな人が震災後の1月にも銀座通いなど、自覚がないにもほどがあります」

 政治アナリストの伊藤惇夫氏も言う。

「飲み代の出どころは総理秘書官の給与、官房機密費、いずれにしても税金が原資ということになる。これから少子化対策として国民1人あたり月500円弱を徴収しようという時に、そうした政策調整の当事者である総理秘書官が銀座で飲み歩いているとなれば、国民感情として許されるものではありません」

「たかが銀座」では済まされないのだ。

「週刊新潮」2024年2月29日号 掲載