中国籍の女が詐欺容疑で書類送検されたという事件は、普段なら注目には値しないニュースだろう。だが今回、警視庁がターゲットにしたのは、かつて本誌(「週刊新潮」)も自民党議員との“特別な関係”を指摘した人物。捜査の背景には、経済安保法にまつわる動向もあるという。

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 通常、詐欺事件の捜査は警視庁刑事部捜査2課が担う。しかし2月21日、44歳と59歳の中国籍の女二人を詐欺容疑で書類送検したのは警視庁公安部だった。

「2020年7月、59歳の女が経営する性風俗店を44歳が個人経営している整体院と偽り、国の新型コロナ対策の持続化給付金100万円をだまし取ったというのが容疑です」

 とは社会部デスク。

「警視庁公安部が捜査を担当したのは、女二人が『日本福州十邑(ジュウオウ)社団聯合総会』の幹部だったから。福州十邑聯合が所在地として登記する東京・秋葉原のビルは“中国秘密警察”の拠点としてマークされている。また44歳のほうは公安部が自民党の松下新平参議院議員(57)との関係を疑惑視してきた、“元美人女性秘書”でもあったのです」

松下の妻の母は「娘は再三注意していた」

 松下議員とその女、呉麗香(仮名)との間柄について、

「松下議員は以前、呉に参議院議員会館内通行証を与えて、自由に議員会館を出入りさせていました」

 そう明かすのはさる警察庁関係者だ。

「“外交顧問兼外交秘書”という名刺も呉に支給。松下議員が接してきた、外交や産業関連の重要な情報が、彼女を通じて、中国に漏洩する恐れがあると指摘されてきたのです」

 加えて22年11月当時、本誌記者が松下議員の妻の実家を訪ねた際、妻の母親も憤まんやるかたない様子で以下のように語っていた。

〈娘は、得体の知れない中国人の呉が政治家である松下の近くにいることについて再三再四、注意していた。でも、彼は全くその言葉を聞き入れず、いつも呉の言うがまま。事務所で彼女の気に食わない人がいれば、松下がその意を受け辞めさせるなんてこともあったそうです〉

 先の警察庁関係者が声を潜めて言う。

「実は警視庁公安部は、松下議員や呉が記載されたチャート図のようなものを作成している。現場の捜査員たちは、松下議員と呉との関係について深く掘り下げる機会をうかがってきたのです。ですが、小島裕史前警視総監(59)が捜査に及び腰だった。秋葉原のビルに家宅捜索に入るのも慎重で、昨年5月にようやくガサを打っただけで捜査に二の足を踏んできました」

経済安保法案との関連

 ならばここにきて、呉らが書類送検されたのはなぜなのか。

「ひとつには小島前警視総監が1月26日に退任し、緒方禎己警視総監(60)に交代したことが挙げられます」

 こう前出・デスクは述べるのだが、一方で、

「もうひとつの理由としては、今国会の最重要法案の一つである経済安保法との関連もささやかれています。この法案は2月27日に閣議決定され、その骨子には、経済安全保障上の重要情報を扱う人物の身辺を国が事前に調べることを可能にする“セキュリティー・クリアランス”制度の導入が盛り込まれている。法案成立の動きと警察当局が足並みをそろえているとの臆測も飛び交っています」

 松下議員は参院の元政治倫理審査会長であり、現在は北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員長の要職にある。

 国会議員の身辺を調査する仕組みづくりこそ、急務だと言わざるを得ない。

「週刊新潮」2024年3月7日号 掲載