「勤務実態がない“幽霊秘書”だと言われている」

 カナダ人サックスプレイヤーとの密会を楽しみ、ホテルから国会に直行――。自民党の広瀬めぐみ参議院議員の「赤ベンツ不倫」は多くの人を唖然とさせたが、さらに知られざる裏の顔があった。勤務実態のない“幽霊秘書“を事務所で抱えていた、との疑惑がささやかれているのだ。問題はこの秘書が公金で給与を賄う公設秘書であったという点。

“幽霊秘書”本人と議員に問いただしてみたところ――。

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 広瀬氏の地元である岩手では、以前からささやかれている“疑惑”がある。

 広瀬氏の公設第一秘書は、岩手県遠野市で不動産業を営む男性が務めている。この男性の妻が公設第二秘書として登録されているものの、秘書としての勤務実態がない“幽霊秘書”だと言われている――。

 本誌「週刊新潮」がこの情報に触れたのは昨年初夏のことだった。当時、参議院で秘書の「現況届」を確認したところ、確かに不動産業の男性が公設第一秘書として、その妻が公設第二秘書として届け出られていた。公設第一秘書の男性に関しては兼職届も出されており、彼が代表理事を務める一般社団法人の名と共に年収360万円と記されていた。

「え? 彼女も秘書になっていたんですか」

 公設第二秘書として登録されていた女性に勤務実態はあったのか否か。当時、広瀬氏の地元事務所の関係者に聞いたところ、

「え? 彼女も秘書になっていたんですか。それは私、初めて聞きましたね。あんまりお見かけしたことはないです。有権者回りなんかで運転手として駆り出されることはあったみたいですけど、少なくとも平日、事務所では見たことがありません」

 そう驚いていたのだった。

「彼女の夫は元々自民党の熱心な支援者だったのです。それで市長選なども自主的に手伝っていて、広瀬の選挙もバックアップして、そのまま秘書になったような流れです。その彼が広瀬の公設第一秘書になってからは、奥さんに不動産業を任せていると聞いていたのですが……」(同)

 彼女に秘書としての勤務実態がなかったとすると、気になるのは彼女に支払われる給与の行方である。例えば辻元清美参議院議員は、代議士だった2002年当時、勤務実態がない政策秘書の給与を詐取していたことが本誌報道で明らかになり、翌年に逮捕。04年に実刑判決が下っている。

「もしかしたら届け出に不備があったかもしれない」

 今回、改めてその秘書について取材すると、別の地元事務所関係者はやはり、

「彼女が秘書をやっていたことは全く知らない」

 と証言。

 問題の“幽霊秘書”本人は何と答えるか。遠野市にある件の不動産業事務所に彼女を訪ねた。

――広瀬議員の秘書をいつ頃からやっていた?

「2022年の12月から昨年8月までです」

――秘書の給与はご自身で全額受け取っていた?

「はいもちろん」

――秘書業務としてはどのようなことを?

「平日はリモートで事務職のほうを。あと、先生の運転手も何回か。土日は盛岡事務所のほうに行って、事務所番などさせていただきました。平日でも盛岡事務所の方でお休みの方がいれば私が代わりに入ったり」

――1週間の中でどれくらい秘書業をやってどれくらい不動産業をやっていた?

「ちょっと私の口からはもうお答えできないので」

 ちなみに、彼女の「兼職届」は参議院に出されていなかった。それについて彼女の夫でもある広瀬氏の公設第一秘書に聞くと、

「(妻の)兼業については広瀬も知っていました。(兼職届が)確認できないということであれば、もしかしたら届け出に不備があったかもしれないです。もちろん勤務実態はあります」

 夫婦ともども「勤務実態はあった」と口をそろえるのである。広瀬氏本人にも直撃して“幽霊秘書”の勤務実態について問うと、

「さまざまな形で働いていました」

 その後、文書でもこう回答した。

「『実質的な勤務実態がない』などということはありえませんし、まして『幽霊秘書』などではありません」

 言うまでもなく、公設秘書の給与の原資は公金である。3月21日発売の「週刊新潮」では、広瀬氏の“幽霊秘書”疑惑について、専門家のコメントも交えて詳報している。

「週刊新潮」2024年3月28日号 掲載