公明党の幹事長が異例の言及

 自民党と長らく連立を組み友党として知られる公明党が岸田文雄首相に対して“複雑な感情”を抱いているという。岸田首相は今国会末にも行われる可能性が指摘されていた衆院解散・総選挙を見送る判断をしたと報じられたが、公明党や支持母体の創価学会としては「岸田首相以外の人物で総選挙を戦いたい」との思いが強まっているとされる。

 今年3月、公明党の石井啓一幹事長が行った発言に永田町で注目が集まった。

「BSテレ東の番組で、自民党総裁選が9月に行われることを踏まえ、“(総裁選で)選ばれた総裁は非常に支持率が高くなるということがありますから、その後、やはり秋が一番可能性が高いのではないか”と話しました。ともすれば、岸田首相ではない誰かが新総裁に選ばれ、今年秋に衆院解散・総選挙に打って出る見通しを語ったということで話題になりました」

 と、政治部デスク。

解散時期を限定

「菅前首相時代までは、自公両党はあうんの呼吸でやり取りができていたのですが、岸田政権になって公明や支持母体・創価学会と距離のある茂木幹事長や麻生副総裁が意思決定に影響力のあるポストに就いたことで、自公間のコミュニケーションはかなり乱れて崩れたと言われていますね」(同)

 公明・学会としては、2025年夏に迎える都議選と参院選を特に重要視している。

「組織がフル回転するためには、この二つの選挙と衆院選はタイミング的にズラした方が良い。衆院議員の任期は2025年の10月30日までです。石井幹事長が異例の言及を行った背景には、岸田氏以外の首相・総裁を望んでいることに加えて、少ない選択肢の中で選挙の時期を限定したい意図があったのではないかと見られています」(同)

 石井幹事長が異例の発言を行った後も、岸田政権の支持率は低空飛行を続けたままだ。

「たとえば首相が“異次元の少子化”と打ち出した政策も具体的に何かが進んだとは言い難い。折あしく2023年の合計特殊出生率が発表され、東京都は1を割っていることが報道では大きく取り上げられました」(同)

公明党の落胆

 むろん異次元の少子化対策を打ち出したところで合計特殊出生率が急に改善することはないだろうが、事態を改善できていないという印象を強めたようにも見える。

「国民の生活や福祉に配慮した政策を重要視する公明党としては、東京の数字は象徴的で受け入れ難い内容だったことでしょう。さらに、ここ最近では、横浜市や青森県、長野県の自民党地方組織から公然と首相への退陣要求が出てきています。身内からのこういった厳しい声は政権運営にかなりダメージを与えるもので、官邸はこれが公明党にも拡大していかないかも含め、かなり警戒していますね」(同)

 案の定、公明党の山口那津男代表は6月9日に那覇市内で街頭演説をした際に、「自民が具体策を出さずぐずぐずし、補選、知事選と負け続けた。国民の政治不信の強さを表している」と真っ向から批判した。

「ぐずぐず」というフレーズに不満の強さが象徴されていると言えるだろう。

 2009年、麻生政権末期に支持率が低迷した際にも、公明党から不満やいら立ちの声が上がっていることは伝えられていた。が、「自民党にはもっとしっかりしてほしい」等、「苦言」のレベルが大半で、ここまでストレートな表現は見当たらない。支持率がヒトケタを記録した麻生政権に対する物言いよりも厳しい批判である点は注目に値する。

 岸田首相に一刻も早く退陣してもらい、新たな首相・総裁の登場を公明・学会が望んでいるのは間違いなさそうだ。

デイリー新潮編集部