余程のことがあった

 岸田文雄首相と麻生太郎自民党副総裁との間の「すきま風」がかなり強まってきているという。一時は蜜月と評された良好な関係にヒビが入りつつあることがささやかれてきたが、最近になって麻生氏の怒りが収まらない状況が続いているようだ。何が起こっているのだろうか。

「岸田首相は6月12日からの外遊前に麻生氏と会っておきたかったようです。会えた説と会えなかった説が飛び交いましたが、結局会えなかったとのことです」

 と、政治部デスク。

「麻生氏は相手の年齢に関係なく現職首相には敬意を払うべきだと考える人。会いたいと言っている首相の提案をそでにするというのは余程のことがあったとみて間違いないだろうということで、あれこれ詮索する動きが出ていました」(同)

「単なる報告」が半年で2度繰り返され

 もっとも有力なのは政治資金規正法改正に関して「余程のこと」があったという見方である。

「自民党が国会に提出した政治資金規正法改正案は修正を余儀なくされました。たとえば、政治資金パーティー券購入者を公開する基準額について、現行の20万円超から5万円超に引き下げることを受け入れましたが、この点が麻生氏の怒りを買ったということでした。多くの人が汗をかいてまとめたものを首相の一存で反故(ほご)にしたという思いだったとのことです」(同)

 この点について、岸田首相は直接会って麻生氏に説明をしたかったが、面会を拒否されたというわけだ。

「首相は今年に入ってから唐突な派閥解消、自らの政倫審出席など、サプライズ的な動きを見せてきました。麻生氏に対してそのたびに説明をし、事前に相談をしなかったことについて頭を下げるようなのですが、常に結論ありきで単なる報告になっていることに麻生氏は不満を抱いていたとのことです」(同)

 派閥解消に政倫審と「単なる報告」が半年で2度繰り返され、今回が3度目。仏の顔も……ということだろうか。

堪忍袋の緒が切れた

「今回も事前に相談はなかったと見られています。麻生氏としては堪忍袋の緒が切れたということなのでしょう。謝罪すればなんでも許されるというふうにナメられているのかと感じたところもあるのかもしれませんね。焦った首相は早期に事態の収束を目指したわけですが、うまく行っていないということだと思います」(同)

 首相経験者で現職首相をど真ん中で支えると自認する年長者を2度ならず3度もコケにしたことは、看過しがたいということなのかもしれない。

「一連の首相のサプライズ行動はリーダーシップを発揮しているつもりで、それが国民へのアピールになり、ひいては内閣支持率アップにつなげたい思惑があるのでしょう。が、今回のように怒りを買って謝罪に奔走する姿が報じられることになれば、当然マイナスの効果しかありませんね」(同)

 麻生氏が怒る理由はそれなりにわかりやすい。しかし、かつて内閣支持率を下げまくり、結果として民主党政権誕生の生みの親となった麻生氏が後見人あるいは指南役となって見え隠れする構図そのものが、岸田首相の足を引っ張っている面もあるだろう。もっとも、麻生氏には当然ながらそのような認識は無いと見られる。

デイリー新潮編集部