「小池都政をリセットする」。はちきれんばかりの笑顔で出馬表明した時、この展開を予期していただろうか。都知事選に立候補表明している蓮舫氏(56)の支持が伸び悩んでいる。敵に苦しめられているわけではなく、全力で支援してくれる味方に足を引っ張られているのだ。

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国民民主と連合にソッポを向かれ…

「共産党さんとガッツリやっておいてご一緒にと言ったってご一緒できない。これでは本当に『立憲共産党』だ」

 6月7日の記者会見で、国民民主党の榛葉賀津也幹事長が手に持って笑い飛ばしたビラ。そこには、蓮舫氏の写真とともに共産党が掲げる政策が書き連ねられており、あたかも共産党候補のような扱いだった。

 連合も「共産党とは考え方が全く違う。連携していくことは非常に難しい」(芳野友子会長)と小池百合子都知事(71)支持の方針を固めた。蓮舫氏が出馬表明時に呼びかけた「オール東京」は実現しなかった。

「あのビラが出てきてから明らかに流れは変わりましたね。最近の共産党は、他党の候補にしがみつくようにして支援する”抱きつき戦法”を得意としています」(政治部デスク)

 ビラだけでない。共産党の機関紙「赤旗」を読んでいると、蓮舫氏は「スター党員」さながらの扱いだ。

風刺画にも登場し〈当然1位当選〉

〈住みやすい東京一緒につくろう 蓮舫氏、共産党都議団を訪問〉(5月30日)

〈「女たちの会」蓮舫さん支持 都知事選へ声明 自民政治終わらせる〉(6月8日)

〈蓮舫都知事誕生に全力 党労働者後援会 山添・白石氏が訴え〉(6月12日)

〈心一つに都政チェンジ 蓮舫知事誕生へ東京一斉行動〉(6月15日)

 6月2日には風刺画にも登場。〈当然1位当選〉と指を立てる蓮舫氏のイラストが大きく載った。左隣には冷や汗をかく小池氏が〈イヤだァ 都知事のセカンドなんて〉、右隣には小池晃書記局長が〈苗字はともかく今回は小池都知事じゃダメなんです〉。

「出馬表明した2日後に共産党都議団を訪問した際、大山とも子都議団長らに万雷の拍手と花束で出迎えられ、さすがに蓮舫氏も焦ったようです。ただ時すでに遅し。バシャバシャとマスコミに写真を撮られて、ベッタリな関係が喧伝されてしまった」(立憲民主党関係者)

 なぜ共産党はここまでして「他党」の候補を応援するのだろうか。

「自力ではもう党勢が保てなくなってきたからです。吉良佳子参院議員を前面に出した“キラキラブーム”も今や遠い昔。毎年のように党員は減り、2000年時に200万部あった赤旗の購読者数は85万部まで減っています」(前出・政治部デスク)

 結党以来、独立独歩の方針を貫き選挙も単独で戦ってきたが、吉良氏が出てきた2015年頃から野党勢力との共闘路線に方針転換した。すると、民主党候補などが当選するようになり途端に存在感が増した。

「それからと言うものの味をしめ、抱きつき戦法を駆使するようになった。要は野党の中で、自民党における公明党のような存在になりたいと考えているわけです」(同)

立民内で共産党寄りと批判を浴びている蓮舫氏の“兄貴分”

 立憲民主党内では、「子飼いの議員を共産党に売った」と蓮舫氏の“後見人”と言われる人物が批判を浴びている。手塚仁雄都連幹事長だ。

「手塚さんの選挙区は衆院東京5区(目黒区と世田谷区の一部)ですが、毎回、自民党の若宮健嗣氏に苦戦を強いられており、共産党の支援を必要としている。そんな自分の都合で、蓮舫氏に共産党をあてがったのではないかと言われているのです。知名度と人気がある蓮舫さんですが、実は党内には味方は少ない。長らく兄貴分として慕ってきた手塚さんには逆らえないのです」(前出・立民関係者)

 一方、受けて立つ側の小池氏の方は、敵失に加え、自民党が表立って動かずに“ステルス支持”を決めてくれたことにニンマリだという。自民党都連関係者はこう語る。

「ウチが表に出たって迷惑をかけるだけですからね。団体票を取りまとめて応援するくらいのことしかできませんが、小池さんはそれで十分でしょう」

石丸票はどこまで伸びるか

 もっとも自民党都連の多くの本音は“小池憎し”で、決してこの展開を喜んでいるわけではないという。

「8年前、『ブラックボックス』と攻撃された恨みは簡単には消えません。ただ裏金問題が噴出しているいま、独自候補を擁立したとて勝ち目がない。仕方なく乗らざるを得ない。小池さんは前回の366万票からは大分減らすでしょうが、200万台後半は取るんじゃないでしょうか。蓮舫さんが共産党といくら頑張っても、せいぜい100万台後半でしょう」(同)

 もう2人の対決には関心はなく、「石丸伸二氏がどこまで伸ばすかが気になる」と語る。

「支持基盤がない石丸氏がネット選挙だけで50万票とか取ってしまったら、これからの政党政治に大きな影響を与えることになる」(同)

“禁断の果実”に手を出してしまった蓮舫氏に挽回策はあるのかーー。

デイリー新潮編集部