総裁候補の一人である岸田文雄・前政調会長(64)。 目下、岸田派の領袖を務め、安倍、麻生両氏との関係も良好。議員票を手堅く集めそうで、党員票でリードとされる河野大臣への“対抗”と見られている。

 祖父、父も代議士を務めた3代目。“育ち”は良い。

「決して人の悪口は言わない。市議会議員に対しても、“先生”付けで呼ぶなど、人柄は抜群」(地元関係者)

 との指摘がある一方で、逆に「戦わない男」「つまらない男」と揶揄され続けてきたのも事実だ。

「安倍前総理からの“禅譲”を狙い、安倍政権下では総裁選出馬を避けてきた。完全オフレコの懇談でも“ノーコメント”を連発するので、面白みがない。このまま“良い人”で終わるのでは、と見られていたこともあった」(政治部記者)

 ところが、だ。

 昨年、安倍氏の辞任に伴う総裁選に初出馬。敗れはしたものの、1年後の今総裁選にもいち早く出馬を表明し、党内でタブーとされていた「二階幹事長交代」にも言及。「戦う政治家」への脱皮を見せたのである。

 何があったのか。

「私の目から見ると、特に変わったところはないように見えます。ただ、主人の中では“絶対に勝たなくてはいけない”と強い覚悟があるような気がしますね」

 と述べるのは、岸田氏の妻・裕子さん(57)である。

「昨年の総裁選は、立候補の時点で、支援するのは岸田派だけという戦いでしたが、今回は最後までどうなるかわからない。そんな中ですから、毎日緊張感を持って過ごしていますね」

家族で決起集会

 本人というより、周囲の状況がそうさせた、ということか。

 普段の岸田家は、夫と長男、次男が東京の議員宿舎住まい。夫人は地元・広島にいることが多いという。しかし、夫人は9月に入ってしばらくは東京に滞在していた。

「普段、身の回りのことは男三人でやっていますが、総裁選があるので、大変だろうと。私も上京して掃除、洗濯、食事の用意をサポートしていました」

 夫人が広島に帰る前日、10日の夜は、一家で焼肉を囲んだそうだ。

「主人は一切れが割と大きめのお肉を5切れほど食べていましたね。普段はあまり食べないんですが、軽く白ご飯も。よく飲むお酒も、総裁選を控えているので、体調を整える意味でビール1杯くらいに減らしていますね」

 この日は、ライバル・河野大臣が出馬会見を開いた日。岸田家にとっては、ささやかな決起集会となったということだろうか。

「岸田さんは政策を続けざまに発表する一方で、インスタグラムでのライブも展開。親しみやすさをアピールしようとしています」

 とは、前出・政治部記者。

「ただ、視聴者からプライベートなことも含めて質問が来るのですが、その答えは素っ気ない。この点では“改革”はまだまだですね」

 もっとも、そうした真面目さ、実直さをアピールした方が、河野大臣との差異を打ち出せる、との声も。

「週刊新潮」2021年9月23日号 掲載