安倍晋三元総理の死を契機に、岸田政権への強い影響力を手にしたとされる茂木敏充幹事長と麻生太郎副総裁。が、実態は“我が世の春”とはほど遠く、むしろ風当たりが強まる一方だ。

 政治部デスクが言う。

「茂木氏は党所属の国会議員と旧統一教会との関係の調査を指示し、その結果を公表した。179人の議員名を明らかにしましたが、ホンネでは50人程度でお茶を濁したかったようです」

 その後、多くの申告漏れが判明。茂木氏は追加の調査を明言するハメに陥った。

「一連の騒動で茂木さんが評価されたのは、最初に結果を公開した9月8日の記者会見でキレなかったことぐらい。導火線の短さは有名なだけに、総理が“茂木さんを見直したよ”と妙な褒め方をしていたほど」

 10月3日に召集された臨時国会の重要テーマは衆院選における「1票の格差」の是正。小選挙区を「10増10減」とする公職選挙法の改正がそれだ。が、人口比を重視する現行の「アダムズ方式」では都市部の議席が増えるため、党の一部には「地方軽視だ」と見直しを求める声が燻(くすぶ)る。

国会の慣例を無視する麻生氏

 自民党幹部が言うには、

「実際、茂木幹事長もこの改革案には消極的です。臨時国会の前に党選挙制度調査会を仕切るベテランの逢沢一郎会長を交代させ、自分がイニシアチブを取りやすい後任を据えようとした。それが総理の反対で断念に追い込まれたんです」

 アダムズ方式の採用が決定したのは、安倍政権下の2016年。逢沢氏は当時から選挙制度の議論をリードしてきた。その彼をこのタイミングでクビにすれば、党が“政権に改革の意志はない”と宣言するに等しい。

「岸田政権は安倍氏の国葬と旧統一教会の問題で青息吐息。そのうえ選挙制度改革をご破算にしたら、もはや政権は持ちません。まさか、幹事長は政権を潰すつもりだったのか……」

 他方、昨年来、茂木氏と頻繁に会合を重ねてきた麻生氏にも批判の矛先が。

「麻生さんは国会の慣例を無視して、安倍氏追悼演説を麻生派の甘利明前幹事長にさせようと画策した。与野党からの批判で8月の臨時国会での実施は見送りましたが、いまも諦めていないようです」(政治部記者)

“自分の胸像を建てると言い出したら引き際だ”

 麻生氏が白眼視される理由はこれにとどまらない。先の内閣改造の際、御法川信英国会対策委員長代理を交代させるよう、官邸に圧力をかけていたというのだ。

「今年2月に御法川さんが佐藤勉元総務会長らと麻生派を割って出たことを根に持っているんです。官邸は高木毅国対委員長の手腕を疑問視しており“他党との折衝がうまい御法川氏がいないと国会が回らない”と、何とか庇(かば)い切りましたが」(同)

 そんな麻生氏の舌好調は相変わらずという。

「最近は周囲に“生きているうちに自分の銅像を建てろと言い出したら引き際だ”と嬉しそうに話しています」(自民党閣僚経験者)

 この発言は、秋田県で計画されていた菅義偉前総理の胸像建立が延期になったと報じられた時期のもの。

「二階(俊博元幹事長)さんが動きそうにないいま、捲土重来を期するとされる菅さんは“岸田降ろし”のキーマン的存在です。麻生さんの発言は、それへの露骨な当てつけでしょう」

 党内には「麻生さんも茂木さんも、自分から動いてうまくいったためしがない」との声が――。

「週刊新潮」2022年10月6日号 掲載