契約保留者名簿に名前なく

 楽天の複数選手からパワーハラスメントを行ったとして告発された安楽智大投手(27)の騒動は、一応の決着を見た。

 選手によると、今夏にはZOZOマリンスタジアムのロッカーで後輩選手に倒立を強要し、その状態でズボンとパンツを脱がし下半身を露出させ、食事の誘いを断った後輩には深夜にしつこく電話をかける行為があった。かつて在籍した元選手は頭部を平手打ちされムチ打ちの症状が出たなど、その信じがたい暴挙に驚かされるばかりだ。

 森井誠之球団社長は11月25日、

「私の耳にも入ってきているので、しっかりと調査する。被害者に対して誠実に対応する必要がある。まず本人(安楽)と話をして、派生する人にも話を聞く」

 などと取材に対応。100人以上の首脳陣、選手、スタッフらに対して、アンケートを実施し、直接的な被害を受けた選手が約10人いることも発覚した。

 安楽に球団は「契約更改の無期限の延期」を通達し、自宅待機を命じていた。この間、本人へのヒアリングを行い、30日に発表された来季の契約保留選手名簿に名前はなく、結局、自由契約になった。

田中マー君との関係性は

 だが、今回の一件が楽天に与えるダメージは甚大である。すでに球団行事や選手会の納会が中止になるなど様々な影響が出ている中、さる楽天担当記者は、

「安楽とマー君の関係があるので、問題がさらにややこしくなりそうです。何しろ、思わぬ形でマー君もクローズアップされ、チーム内での微妙な立ち位置も発覚してしまったわけですからね」

 と指摘する。

 安楽と田中将大投手(35)の親しい間柄はメディアや球団関係者には周知の事実で、実際、今回のパワハラ騒動では田中がそばで笑いながら見ていたという報道は波紋を呼んだ。安楽は常に「マサヒロさん」と呼んで尊敬の態度を示していたとされる。実は田中と親しいチームメイトは意外にも少なく、二人の関係性を冷ややかな目で見ていた者もいたという。

 その田中は12月1日になってSNSで今回の件について以下のような謝罪文を発表した。

「この度は皆様にご心配をおかけし、申し訳ございません。ハラスメントは許されないことです。球団のみならず、自分もチームの年長者として、もっと後輩たちの様子に気を配り、気軽に相談され、問題があれば率先して注意すべきであった、意識が甘かったと反省しています」

 田中は米大リーグの名門・ヤンキースから21年に年俸9億円の2年契約で楽天に復帰した。抜群のスター性と話題性で観客動員などに大きく貢献したが、初年度は4勝9敗にとどまった。防御率は3.01と上々だったものの、不思議と田中の登板試合は打線の援護が少なく白星に恵まれないことも多かった。先の記者が続ける。

「メジャー帰りのマー君は当初から、チームメイトと気さくに接することは多いと言えず、若手で萎縮していた選手もいました。取材対応もそっけなく、球団もマスコミも腫れ物に触る感じです。遠征先では彼だけがチームとは違う超高級ホテルに泊まることもあったといいます」

単年契約で

 その後の田中の“本業”は苦しい状況が続いている。

 22年も防御率3.31ながら9勝12敗と負け越し、今季の年俸は4億7500万円に大幅ダウン。雪辱を期した今季も7勝11敗にとどまり、すでに球団は来季、2億〜3億円の単年契約で下交渉を進めていたと言われている。

「まあ、これくらいが妥当な額だと思いますが、お金に苦労していなくても、『2年連続の大幅減俸』という報道をされるのは彼のプライドが許さないでしょう」(同)

 今後、球団との落としどころを探ることになりそうだという。

 楽天は親会社がモバイル事業の不振により、球団経営にかけられる予算は大幅に縮小している。本来であればさらなる減俸になってもおかしくないが、簡単にはできない事情も。通算200勝まで間近なのである。

 これまで田中は日米通算197勝を挙げており、名球会の資格を得る200勝まであと3勝だ。

 近年は投手の分業化が進み、登板間隔が中3〜4日から中6日に開いたことで、200勝を挙げるのは非常に困難とされている。そんな中、日本では08年の山本昌(中日)以来16年ぶりとなる偉業に向け、球団はすでに公式サイトで200勝へのカウントダウンを行う特設ページを公開。記念グッズの製作や大々的なイベントの準備も進めており、来季の序盤戦が盛り上がることは確実だ。

引退後の監督の可能性は

 田中は11年の東日本大震災を乗り越え、13年には24勝0敗の圧倒的な成績で球団初の日本一に貢献した大功労者。本来であれば引退後もコーチや監督として球団に残ると思われていた。

 楽天は他球団に移籍されては困るため、少なくとも来季の契約は結ぶことになるだろう。田中は今回の一件について、真摯に反省しているようだが、その後の去就はまだ見えてこない。

デイリー新潮編集部