森保監督に「スタメン固定化」の考えはナシ 3年後の顔ぶれはガラリと変わる可能性も

森保監督に「スタメン固定化」の考えはナシ 3年後の顔ぶれはガラリと変わる可能性も

戦術が丸裸でも平気?

 サッカー日本代表は9月10日、ミャンマー代表にアウェイで完勝した。サッカージャーナリズムの世界では、“森保ジャパン”の戦術・戦略を評価する記事が、徐々に発表されてきたようだ。

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 その中に「もうメンバーの固定化が始まってしまっている」という指摘が見受けられた。確かにミャンマー戦の先発は、大胆に若手を起用したわけではなかった。

 しかし森保一監督(51)は、伊東純也(26)、鈴木武蔵(25)、久保建英(18)を交代で起用した。ミャンマー戦は2−0のまま相手の反撃もなかったので、メンバーを交代しないで試合を終わらせる選択肢もあったはずだ。

 主力選手を休ませる目的があったのは間違いない。その上で、「短時間でもW杯予選のプレッシャーを経験して欲しい」という若手への期待があっての起用と考えられる。

 その上で、気がかりなことが2点あった。65分に堂安律(21)と伊東を交代させたが、81分に久保を起用した際、伊東をわざわざ左サイドにコンバートした。これが1点目だ。

 さらに2点目は、76分に南野拓実(24)を下げ、鈴木を投入した際、大迫勇也(29)をトップ下に配置したことだ。

 この2点から、「久保を起用するなら右MF、鈴木か永井謙佑(30)を1トップに起用した場合は、大迫がトップ下」というスタメンやオプションの方針を、アジア2次予選の初戦から披露してしまったと言える。敵チームは必死で日本を研究している。これほど早く手の内をさらけだしたことは議論の対象になっておかしくないだろう。

 おまけに交代の結果も、決して良くはなかった。南野と大迫は2トップを組むなど、流動的な動きでスペースを作っていた。しかし鈴木が1トップになると、トップ下となった大迫は動きが止まってしまった。久保が出場したのは81分だが、中に入ってプレーするスペースがなかったのだ。

 一方、パラグアイ戦に続き興味深かったのが、ただ一人のJリーガー橋本拳人(26)だ。FC東京ではボランチの右が定位置だが、パラグアイ戦とミャンマー戦では左に入り、中島翔哉(25)と長友佑都(33)と“旧FC東京トリオ”で攻撃を活性化し、ミャンマー戦ではあわやゴールというきわどいミドルシュートも放った。

 本来なら攻撃的なボランチは柴崎岳(27)であり、守備的なボランチは橋本の役割だったはずだ。しかしながら2試合を見て感じたのは、柴崎がカバーに回り、橋本を意図的に高い位置に押し上げて彼の攻撃力を引き出そうとしていることだった。それは久保にも当てはまり、味方選手が久保の良さを引き出そうと彼にボールを集めていた。

 それほど森保監督を含め日本代表の選手たちは18歳の久保に期待を寄せている。この期待に応えるためにも、久保にはゴールという結果を残して欲しい。

 本題に戻れば、森保監督はフル代表と五輪代表の監督を兼任しているため「ラージグループ」と表現して両チームの戦術の浸透度を図っている。

 このため現時点で手の内を見せたからといって、それほど影響はないと判断しているのかもしれない。なぜなら来夏の東京五輪のメンバーは、アンダー世代の台頭もあり、オーバーエイジ枠も含めて現時点では誰が選出されるのか予測不可能だからだ。

 森保監督に「スタメン固定化」の考えは全くないと断言していい。フル代表は、東京五輪を経てのメンバー選考ということもあり、3年後の顔ぶれはガラリと変わっているかもしれないからだ。

 事実、昨夏のロシアW杯、そして今年1月のアジアカップから着実に若返りを図っている森保ジャパンだけに、今後もレギュラー争いはますます激化するだろう。

 まずは来月10日、ホームでのモンゴル戦に誰が招集されるのか。それは所属チームでのパフォーマンス次第だが、それを予想するのがサッカーの楽しみのひとつであることは言うまでもないだろう。

六川亨(ろくかわ・とおる)
1957年、東京都生まれ。法政大学卒。「サッカーダイジェスト」の記者・編集長としてW杯、EURO、南米選手権などを取材。その後「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。

週刊新潮WEB取材班編集

2019年9月16日 掲載


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