自分は相手をそんなに意識していないのに、相手は異常なくらい自分をライバル視している――。誰しもそんな経験があるだろう。五輪における日韓関係がそれだ。“韓日戦”となると韓国人は、どんな種目であってもテレビにかじりつくという。バドミントン男子シングルスで世界ランキング38位の許コウ熙が、同1位の桃田賢斗を破った試合では、中継をスルーしたテレビ局が批判を受けている。

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どの競技でも徹底して日本をライバル視

 サッカーなら日本人にとっても因縁のある日韓戦。だが、韓国ではどんな種目でも“韓日戦”は特別なのだという。

「やはり過去、植民地化された“恨み”が根底にあるのでしょう」(韓国人ジャーナリスト)

 例えば、7月26日に行われたアーチェリー男子団体。強豪・韓国は金メダル、日本は惜しくも銅メダルとなったが、韓国の聯合ニュース(日本語版)は翌日、〈アーチェリー男子団体 韓国の金を脅かした日本の弓は韓国製〉という見出しの記事を配信した。

〈韓国を追い込んだ河田とオランダへの勝利を決めた武藤の弓は韓国メーカー「MKアーチェリー」によるもの。「リカーブボウ」と呼ばれる弓は、米国のホイット社と韓国のWIN & WIN社が市場を二分しており、MKアーチェリーはトップ選手のための特注品の製作に特化した後発メーカーだ〉

 自国の職人たちを褒め称えるのは結構なことだが、引っかかるのはこのあとのくだりだ。

〈そのため、MKアーチェリーにとっても、日本の銅メダル獲得は朗報だった。同社では社員8人が約6カ月かけて日本選手の注文に合わせた「作品」を作ったという。日本の選手からの注文ということで、迷いがないわけではなかったが、日本人である前に同じ「アーチェリー人」という思いで注文に応じた〉

 韓国人選手がミズノやアシックスのシューズを履いていようが我々は意識しないが、彼らにとって日本は、かようなまでに意識しなければならない存在なのである。

「恥ずかしくないのか」

 まさにこのアーチェリーで韓国が盛り上がった同日の夜、日本人が天を仰いだ番狂わせが起きた。バドミントン男子シングルスでの桃田賢斗の敗退である。相手は格下の世界ランキング38位の韓国・許コウ熙だった。

 だが、日本人同様、韓国メディアもこの結果は予期できなかったのだろう。韓国の地上波では中継されなかったのだ。そして、その判断を下したテレビ局に対し、韓国人の怒りの矛先が向かっているのである。

 29日、朝鮮日報(日本語版)は次のように報じた。

〈五輪中継を担当した韓国のテレビ局3社は、許侊熙の試合を放送しなかった。これに対し、東京五輪の韓国バドミントンを応援するチャットサイトでは、許侊熙の知人を名乗るネットユーザーが「今日、地上波で中継していないのを知って、ひどくあきれた」「その時間にテレビ局はすべて、日本とフランスのサッカーの試合を中継していた。恥ずかしくないのか」と書き込んだ〉

 毎日経済新聞もこんな調子だ。

〈ネット民たちは「勝つ見込みがないと思って中継しなかったのか」「人気種目だけテレビ中継するのか。ちゃんと編成していれば、中継できたはずなのに残念だ」「韓日戦バドミントン競技があることさえ知らなかった」と怒りのコメントをした〉

 韓国のテレビ局関係者は困り顔でこう語る。

「まさか許がこんな大金星を上げるなんて誰も予想がつかなかった。負け試合を流して視聴者をがっかりさせるよりも、人気のサッカーを流したほうがいいと判断していただけなんです。ただ、結果論で騒いでいるというのが実際のところ。逆の結果だったならば、『なんで予選のこんな負け試合をわざわざ』なんて叩かれていたかもしれません」

デイリー新潮取材班

2021年7月31日 掲載