「マシンガン継投」のツケ

 10月12日、東京ドームでの阪神戦に破れ、優勝の可能性が消滅して以降も負け続け20日にようやく10連敗を脱出した巨人。8月29日には単独首位に立ちながらも三日天下で終わり、22日現在、2位の阪神に11.0ゲーム差の3位で借金1。4位の広島に猛追され、眼前でヤクルトの胴上げを見つめる可能性も高まってきている。昨年まで2連覇してきた球団が失速した原因は何なのか? 記者に分析してもらった。

「打線が勝負どころで沈黙を続けたとか、今季大リーグに行こうとしていた菅野(智之投手)が本調子じゃなかったとかアレコレ言われていて、それぞれ間違っていないとは思いますが、勝てない原因は最終的には指揮官にあります。今季の原辰徳監督は編成権も付与された全権総指揮官ですから、いつも以上に優勝できなかった責任は重いはずです。問題は何がどんな風にV逸に繋がったのかという点だと思います」

 とプロ野球の担当記者A。具体的に挙げてもらうと、

「先発投手を早めに諦めて、あるいは諦めない場合も、中継ぎ投手を惜しみなく注ぎ込む『マシンガン継投』が注目されましたね」

中田翔獲得の波紋とは?

 それが端的に表れたのが、6月20日の阪神戦。7回裏2アウト1、2塁。高梨雄平が打者・北條史也に2ボール2ストライクとした時点で、原監督は鍵谷陽平との交代を指示。見事に打ち取ったが、

「代えられた方は信頼されていないのかなぁと不安になることは間違いないし、それが次の登板に影を落とす可能性がよくある。当然ながら、スクランブル状態が続けば疲弊して『投壊』する。結果的に見れば後半戦の失速の要因は打線の急ブレーキによるもので、中継ぎ陣はずいぶん踏ん張ったと思います。が、マシンガン継投を評価する声は聞こえてきません」(先の記者A)

 続いて記者Bに聞くと、

「中田翔を獲得したこと、これに尽きると思います。日ハムの同僚への暴力という、あってはならない一件直後の電撃移籍でした。実際、中田も選手同士で揉める中で目にケガをしたことがあったほどで、チーム内では浮いていたところ、栗山監督が原監督へのホットラインを生かして獲ってもらった。今季で栗山監督は退任する腹を固めていたこともあって、溺愛する中田の扱いを自分で判断できるうちに決めておきたかったわけです」

シラける選手たち

 記者Bが続ける。

「原監督も中田の気ままでマイペースな点はよく理解しており、それでも自分の言うことなら聞くだろう、結果として生まれ変わることができるだろうと踏んでいたようです」

 しかし、その目論見通りには行かなかった。

「練習は全く熱心ではないし、万能感と言うんでしょうか自分は才能があるから努力しなくてもいいっていう空気がありありと出ていて……。中田の成績が伴っていれば周囲も黙っている他ないわけでしょうが、絶不調だけにシラけた感じでした。中田を激励しにミスター(長嶋茂雄終身名誉監督)が足を運んだり、阿部慎之助の背番号10を受け継いでいたりと何かと特別待遇されているところも周りには不評でした」

 そのようなチームプレーにはマイナスでしかない周囲のやっかみやディスる声は、菅野智之にも向かっていたと言う。

 記者Cによると、

「菅野は自他ともに認める絶対的なエースで、自分以外の投手が出てこないと3連覇・日本一はおぼつかないと公言してきました。それでMLBへの移籍を画策したもののコロナの影響もあって、求める条件で手を上げる球団はなく今季1年契約で年俸は10億円とも言われています」

“早くポスティング行って”

 しかし、今季は数字だけ見れば、5勝7敗と全く振るわない。ここ最近はクオリティスタート(QS=6回を3失点以内)を継続できているとはいえ、いかんせん故障による戦線離脱が重なり過ぎた。

「それだけお金もらっていてその程度の活躍なのかという声は根強いですね。もちろん実働8年で100勝を超えていて防御率も2点台で、アレコレ言わせないだけの実績は積み上がっているわけですが、いくら金満球団とはいえ予算はあるし、菅野1人がこれだけもらっていると他にしわ寄せが来るのは間違いない。“早くポスティング行って若手にチャンスを”といったブーイングも聞こえてきますね」(先の記者C)

 CSからの下克上を果たすことだけが雑音を封印する手立てのはずだが、肝心のチームワークに亀裂が入ったままでは勝利はおぼつかないのもまた自明のことだろう。

デイリー新潮取材班

2021年10月23日 掲載